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望月 鏡翠
2025-12-22 01:12:05
923文字
Public
日課
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#1944 ディルストーン居城にて9
#毎日最低800文字のSSを書く/我らが王の身罷りて 二次創作
リュネストからの客人を歓迎するためか、晩餐の楽や余興はレシー風のものが集められていた。
異国の文化に真っ先に触れることができるのは、権威と財力の証でもある。トルガも商人だったときはよくトロフィーとして、彼らに招かれたものだ。
リュネストが先般バンデイアで発言力を拡大できたのは、異国の文化のブランド化に成功したからといっても過言ではない。それを維持しつつ自分たちの足場を盤石なものとすることが、トルガの責務だった。
やるべきことはわかっているが、足元を盤石にすると言っても、放っておいたら勝手に固められていくわけではない。
「リュネストと友誼を結び、我が国は一層豊かになった。サロンも盛り上がっておるよ」
「それは何よりです。ディルストーン家の方々が率先して受け入れてくれたおかげです」
流行を作る有力サロンの貴族が取り上げてくれたから、異国の文化がこの国に受け入れられるっようになったのだ。それは平和な時代の功績だろう。庶民にも、文化の発展や嗜好品に目を向ける余裕ができた。
「しかしお主がいうように、外国人の流入で治安が揺らぐのも事実。芸人や商人たちも少しの間、入国を制限するべきかもしれんな」
「ご冗談を。既にバンデイア内のレシーの者は、無視できない数になってきているはずです。それに突然娯楽を民から取り上げるのは戦の臭いが強すぎましょう」
突然祖国との繋がりを断たれたら混乱するし、貴族であれ庶民であれ、抑圧は民の不満を増し、不安を高める。それも治安を悪化させる一因だ。
しかしこれ以上リュネストの若造が大きな顔をしないように、頭を押さえつけておきたいというのも、正直なところだろう。
できうる限り避けたい事態だが、今この場に用意できる反対材料は根拠が薄い。口車に乗せてなんとか思い直してもらうより他ない。
「戦は起こると思うか?」
「ええ、起こるでしょうね」
試すような問いに、衒うことも誤魔化すこともなく、真っ直ぐに答えた。
「我が国の輸出品は、楽と踊り、食事だけではありません。サンドリエイルはそちらの方に随分と関心があるようです。どこと戦うためかなど、問うまでもないことでしょう」
トルガは肩を竦めた。
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