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墨色
2025-12-21 16:52:24
2300文字
Public
れめししお題
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相性なんて、ただの言い訳
れめししお題企画「相性」お借りしました
星占いする👿🦁
「敬一君て八月生まれだよな?」
叶に聞かれ、獅子神は頷いて返す。
「そうだけどよ、なんだ?」
「昨日の配信で星占いの話になってさ」
「星占い?」
眼の前の男に似つかわしくない単語に、獅子神が首を傾げた。
「いわゆる乙女ゲー?の生配信してて」
ますます意味が分からなくなる獅子神だが、いちいち聞き返していては話が進まないので、大人しく口を閉じて続きを待つ。
「さすが乙女と言うべきか、その中で星占いで好感度アップって言うのがあったわけだな」
最後まで聞いても、やっぱりよく分からなかったが、とにかく叶が星占いをしたいことは分かった。
「星占いって、何が出来るんだ?」
「んー
……
性格とか?」
スマホをスワイプしながら、叶が答える。
「でも、オレがやりたいのは、相性占いだ」
「相性占い?」
「オレたちの仲が星座に認められているか確認しようじゃないか」
芝居がかったセリフに、ニヤリとした笑みを付けて叶が言う。
「オレが五月の牡牛座で
……
敬一君が八月で獅子座
……
敬一君にピッタリだな」
「一言余計なんだよ」
テーブルに置かれたスマホを二人で覗き込む。
「牡牛座と獅子座の相性は
――
」
叶が綺麗に整えられた指先で、画面をスクロールする。
『価値観やペースの違いから最初は衝突しやすいものの、お互いの違いを認め合えば深い絆で結ばれる好相性です』
「へぇ」
「マジか」
満足そうな叶に対し、獅子神は驚いたように目を丸くした。
「ちょっと?!どういう意味?」
「いや
……
」
ムッと眉を上げた叶に睨まれ、獅子神が視線を宙へずらす。
しかし、無駄な抵抗とすぐに観念して言葉を続けた。
「
……
当たってんな、って思ってよ」
視線は逸らしたままだが、その頬は薄っすらと染まっている。
(全く、よくコレでギャンブラーやってるな)その感想と裏腹に、叶は口角が自然と上がるのを自覚する(オレも人のこと言えないか)
「オレたちのための星占いだな」
「バーカ、んなわけあるかよ」
抱きついてくる叶を肘で軽く突き放しながら、獅子神はスマホを手に取った。
「他には何て書いてあんだ?」
叶も後ろから覗き込む。
ススっとスクロールしていた画面がピタッと止まった。
「気になるのがあったか?
……
あー、コレもオレたちピッタリじゃないか」
叶がさらに画面をスクロールして、ある項目を指さす。
『特に身体的な相性やスキンシップは抜群』
叶が固まる獅子神の肩を抱き寄せ、耳朶にキスを落とした。
「今から星占いが当たってるか試そうか」
耳元に囁く言葉に、獅子神の指が滑りスマホの画面がスルスルと変わっていった。
「ほらほら、スマホは置いて」
取り上げようとした叶の手を、
「オレは了承してねえぞ!」
掴んで止める。
「えー、占いなんて興味ないくせにー」
「今!興味湧いたんだ!!」
別に雰囲気のまま流されることも拒否しなくてもイイのだが、なんとなく悔しくて獅子神は抵抗した。そして、口にした言い訳通り、星占いの詳細に目を通す。
最高の相性と言われ、くすぐったさに座りが悪い。画面を見ていても、あまり中身は頭に入ってこなかったが、
「ほら、見てもオレたちサイコーしか書いてないよ?」
勝手に占い結果を縮める叶の言葉に、もう一度画面を見つめる。
「
……
ん?叶、これ」
獅子神がスマホをひっくり返し、液晶画面を叶の眼の前に差し出す。
「オレ、獅子座じゃねえみたいだぞ?」
「え?!」
思いがけない指摘に、叶が獅子神の手からスマホを奪い取る。
獅子神が指し示したのは、獅子座の誕生日期間だった。
『獅子座生まれの方(七月二十三日から八月二十二日)』
「マジかっ?!」
「獅子座の次っつーと、オレは
……
乙女座か」
『乙女』と言う響きに顔を顰めながら獅子神が呟く。
「ええ~、じゃあじゃあ!オレたちの相性は?」
叶が必死の形相で、素早く検索し直す。
「別に、占いなんて気にしねえだろ?」
「気にはしないけど、世界に認められるのは気持ちがイイだろ?」
(いや、別にオレら二人を認めてるわけじゃねえよ)呆れながらも、声には出さない。
「よし、牡牛座と乙女座は
――
」
二人で見れるよう、再度叶がテーブルにスマホを置き直した。
二人で覗き込んだ画面には
――
『穏やかで安定した関係を築ける最高の相性の一つです』
「「穏やか」」
二人の声がハモった。
「程遠いな」
獅子神が肩を竦めれば、
「そんなの退屈だろ」
叶が八重歯を覗かせて笑みを浮かべる。
「ほらな、占いなんて関係ねえだろ」
「まあねぇ
……
あ、でもココ」
叶がある文章をタップした。
『特に恋愛や結婚では安心感のある長く続く関係になりやすい』
「安心感
……
は、どっちでもイイけど」
「安心安全と距離がありすぎるもんな、オメーは」
その言葉に、叶がニヤニヤとした表情で獅子神の顔を見る。
「後半は否定しないんだ?」
「
……
どーだかな」
口元を隠そうとした右手を制して、叶が自分の左手の指を絡める。
「占いに振り回されるつもりはないけど、信じてみてもイイな」
「オメーが信じるのは、お前自身だろ?」
「そうだぞ、だからこの占いは当たりだ」
「
……
言ってろ」
空いている右手を獅子神の腰に回し、叶が顔を近付ける。
「言ってやるよ、一生な」
返事を聞く前に、唇を重ねた。
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