お昼寝に付き合ってくれるフリンズさんの話

ライトキーパー事務員さん4

……………ん?」
 
 いつのまにか寝ていたらしい。
 今日は仕事がお休みで特に予定も無かったので、積んでいた映影作品をなんとなく見ていたはず?まだ瞼が重くて目が開かない。もう一度寝てしまおうか……と手近にあったはずのクッションへ手を伸ばして探そうとした……のだが、なにやら予想外の柔らかい感触があり、薄目を開けて確かめてみる。
 
――お目覚めですか?」
…………んえ??」
 
 思わず変な声が出た。
 いつのまにかフリンズが居る。先程の柔らかい感触は、彼の手であったらしい。あれ、でも今日予定あったっけ……?と、寝起きで働かない頭をゆっくり回転させてみる。
「あぁ、予定はありませんでしたよ。鍵を使って入らせてもらっただけです」
 私はまだ何も言ってないんだが……、勝手に私の思考回路を読むのはやめて頂きたい。そしてその鍵は返してもらってないだけで、フリンズにあげたわけじゃないんですけど。
 
 だんだんクリアになってきた頭と視界で周囲を確認してみる。
 見ていたはずの映影は画面が消えている。フリンズがいつの間にか居て、片手には本を持っている。時計は三時頃を差しているので、一時間ぐらい経っているっぽい。
 あと、何故かフリンズに膝枕をされている。頭上を見上げたところ、あの月のようなイエローアゲートの瞳が私を覗き込んでいた。
 
――なんで、膝枕……してるの?」
 様々な疑問点がある中で最初に聞きたいことがこれでいいのか?は、ひとまず置いておいて、ポロッと口から出てしまった問いの回答を待つ。
「ソファで昼寝するには首の高さが足りないでしょう?僕も座りたかったですし、丁度良いかと思いまして」
……丁度良いかなぁ?」
「えぇ、はい」
 満足気に頷きながらふわりと微笑むフリンズ。私はまだちょっと納得してないんですが。
 
 まぁいいか……フリンズにその気があるならば、もう少し寝かせて貰いましょう。体勢を横向きに変更して、寝直すことにする。
「おや、また寝てしまうのですか?僕が居るのに」
――枕役をご所望なんでしょう?なら何も問題ないじゃない」
「ふむ……そうかもしれませんね。であれば、あと一時間は枕役に徹しましょう。人間には仮眠も必要ですからね」
 人間には……?おかしな言い方をするフリンズだなぁと思いはしたが、とくに疑問を口にはしなかった。
 
 深く息を吸うと、嗅ぎ慣れたフロストランプの良い香りがした。頭を優しく撫でてくれる手に安心感を抱きながら、すぐに眠りの世界へと落ちることが出来た。
 
 
 
『何もない予定のない、優しい昼下がり』