akmtakr
2025-12-21 00:03:14
1283文字
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ささめごと


「あかつきの夢」の号福チャンのその後の日常のなんてことないイチャイチャ、ありがちな内容のSSです。短い。拙者推しCPの同衾大好き侍と申す者!


 しんと静まる部屋。丑三つ時を過ぎた頃だ、本丸の奴らもほとんどが寝静まり、冬の庭には鳴く虫一匹居やしねえ。
 夕方には帰還できる予定の任務がごたついて、かなり時間がかかっちまった。本丸に戻れたのは零時過ぎ、生憎オレが第二部隊の隊長を仰せつかっていたもんで、他の奴らを先に休ませて主と近侍に報告。運が悪かっただけだ、特にお咎めも無えが、経緯の説明がややこしくてまた時間を食った。そのあと手入れ部屋で軽く手入れして貰って漸く風呂、厨番が冷蔵庫に残してくれていた夕飯を有難く頂いた。
 部屋は暗いが、足を踏み入れると仄かにあたたかい気がした。暗さに慣れてきた目が、部屋の真ん中に敷かれた一対の布団、そこに眠る一振の太刀の人の身の姿を捉える。
 ゆっくり、慎重に足音を忍ばせながら近づく。とっくに気づいていたが、この太刀が寝ているのはオレの布団だ。ついでにオレの枕を両腕でぎゅうと抱えて、……いつ枕の布変えたかふと心配になったが、まあ、こいつと同じ部屋で暮らすようになってからオレもいろいろと気に掛けるようになったし、問題無えだろ、たぶん。
 敷いてある布団は一対だけだ。大太刀や槍用のでかい布団に一振で眠る光忠は、普段よりも小さく、頼りなく見える。光忠は──オレを、待っていてくれたんだろう。
 整った寝顔を、畳の上に胡座をかいてしみじみと眺める。一定の間隔でゆったりと息を吸い、ゆっくりと吐く。眠りの深いところに居るんだろう、オレの気配に気づきもしない。まったく、無防備なこって。
 無垢な寝顔は眉間の皺も無く、雰囲気ある切長の眼も閉じているせいか、顔立ちが妙に幼い。オレはこいつがチビの頃を知らねえが、この顔を見てるとなんか想像付くよな。
 ……寂しかったかよ?
 柔い頬をゆびさきで、そっとなぞる。光忠は、んん、と、むずかるみたいに鼻声で唸った。
 気持ちよさそうに寝てるとこ起こしたくはねえが、これはオレの布団なんでな。こうやってわざわざオレの布団で眠るこいつは、帰ったオレに起こして欲しいんだと解釈してるし、多分理由の一つで間違っちゃいないだろう。
「光忠。そっち寄れ」
……ご、ちぁ……?」
 殆ど眠ったままの光忠は、全く回らない舌で呟く。思考なんざ有って無えようなもんだろうに、条件反射のように身を捩りながら横にずれて、オレが収まる分の場所を空けた。
 人の身の湯たんぽで布団はすっかり温まってる。湯冷めしかけのオレの身体が滑り込むと、待ってましたとばかりに寝間着の浴衣から伸びた両腕が首の後ろにするりと回った。
「ごぉちゃ……おつかれさま……
「おう。待たせちまったなァ」
 温かな布団の中で、より温かな身体に腕を回して、しっかりと抱く。鼻先を首すじに押し付けるとさすがに冷たかったのか小さく肩が跳ねて、ふふ、と微笑んで首を竦めた。
……うん、まってた。おかえり……な、さ……
 もそもそと囁きながら、光忠は再び眠りに落ちていった。あまりの微笑ましさに思わず喉で小さく笑って、
「ああ、……ただいま、光忠」
 白い頬に、そっとくちづけた。