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三毛田
2025-12-20 22:03:48
1067文字
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1000字6
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12 し. 幸せと笑うから
12日目
君はそのまま幸せでいて
「丹恒は、今幸せ?」
寝転がって本を読む俺の隣にわざわざやってきて寝転がったかと思うと、穹はそんなことを問いかけてきて。
「何をもって幸せなのかは、人それぞれだ。だが、昔と比べれば幸福度や満足度が高い生活を送れているのは確かだ」
「なるほど」
「そういうお前は、どうなんだ。幸せなのか」
「俺は、前のことなんか全くわからない。でも、みんなと出会ってこうして旅をして、日々を過ごしているのは
……
うん。幸せだな」
「それならよかった」
頭を撫でると、嬉しそうに表情を緩ませ。
「なあ、丹恒」
「何だ?」
「俺と一緒に幸せになろう」
「それは」
彼がそう口にした理由がわからず、うまく言葉が紡げない。
そんな俺など気にすることなく。
「お前が俺に向けてくれている愛を、俺も返したいううん。その何倍もの愛をお前にあげたい」
「俺は今のままで十分だ」
彼から愛が欲しくて、愛情を向けているわけじゃないのだ。
「俺と家族になろうよ」
「無理だ」
「何で最初から諦めるんだ」
語気を強めに断りを入れるが、穹は諦めない。
そして、こういう時の彼は諦めが悪いししつこいことを知っているから俺ではどうしようもなくて。
「お前には、普通の幸せを」
「普通の幸せって? 丹恒や、列車のみんながいないと俺の幸せは成立しない。手を掴む前から、振り払おうとするな」
これは、少し怒っている?
わからない。こういう時に、どう返せばいいのか。
「ごめん。言葉が強すぎた」
「いや。俺も、悪いと思っている」
本を閉じ、抱きしめる。
背中に腕が周り、痛いくらい強く抱きしめてきて。
「今の俺にとってはね、丹恒と列車が全てなんだ。だから、お前と幸せになりたいって願う」
「ずっと一緒にいられないっていうのは、薄々わかってる。それでも、最後の最後までみんなと一緒にいたいんだ」
「それは、俺も」
「うん。だから、家族になろう」
「だが」
「今すぐじゃなくていい。丹恒の心の整理がついたらで、いいから」
祈るように、願うように。俺の手を握りながら。
そんな彼に、俺は何と返したのだったか。
「思い出せない」
一人孤独に世界を旅する中、ふとそんなやりとりを思い出した。
こうなるのだったら、あの時きちんと了承すればよかったのだと。
悔いたところで、時間は巻き戻らない。
それよりも、早く穹を探し出さなければ。
「お前が、俺の隣で幸せだと笑っていないのならば
……
俺の世界に、色はない」
そして、生きる意味もない。それくらい、大きな存在に。
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