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三毛田
2025-12-19 23:17:47
1082文字
Public
アドベント25
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19. もう戻れない
19日目
今までには戻れない
「
……
」
「
……
」
足を滑らせた俺を、受け止めた丹恒。
流石というべきか、俺を受け止めたのに彼の体は一切揺れなかった。
どんな体幹をしているんですか。
なんて思いながらありがとうと、お礼を告げようと顔を上げたらこちらを見てきた丹恒の唇と俺の唇が触れ合った。
柔らかい。なんて思ったのもつかの間。
俺の手を乱暴に振り払い、走り去っていく。
「た、丹恒!」
一歩踏み出したら、足がもつれて。
「ふぎゃっ」
無様に転んでしまった。
「うう
……
」
「穹? どうしたの」
俺が転んだ音でも聞こえたのか、なのが部屋から出てきて。
というか、丹恒何処に行くんだよ。資料室はすぐそこだぞ。
「転んだ」
「うん。それは見たらわかるよ」
「丹恒が逃げたから追いかけようとして、自分の足に足が絡まった」
「そういう時もあるよね。ウチも、写真を撮るのに夢中になってる時に、やっちゃうんだ」
そう言いながら、俺の隣でしゃがむ。
白い脚が眩しい。と思ったところで、丹恒って滅茶苦茶低露出だよなと気づく。
「で、何で丹恒が逃げたの? あの丹恒が逃げるのって珍しいじゃん」
「
……
」
これは、伝えてもいいのだろうか。
「穹?」
「事故ちゅーをしてしまったんです。はい」
「あー
……
」
納得したのか、ちょっと眉を下げて。
「もしウチがそういうことがあったら、確かに恥ずかしくて逃げちゃうかも」
「そんなにか?」
「びっくりして。っていうのもあるけど」
「なるほど」
床で転んだ体勢のまま、なのと話し込む。
「それか、何か思うところがあったんじゃないの?」
「思うところ、かぁ」
とりあえずゆっくりと起き上がり、あぐらをかく。
「言い訳をするにしても、丹恒を追いかけないと意味がないと思うよ」
「だよな。よし。聞いてくれてありがとう、なの」
「どういたしまして」
俺が先に起き上がり、なのはその後ゆっくり立ち上がって自室へ戻る。
「さて」
問題は、丹恒がどこに行ったのか、だな。
ラウンジへ行っても、彼の姿はなく。パーティー車両にもいない。つまり、可能性があるとすれば俺の部屋。
どうして? と思うかもしれないが、水が好きな人だ。お風呂にいるかもしれない。
あんなことがあった後では、親友のままではいられない。今までのようには戻れないだろう。
それなら、それでいい。どうせなら、一歩先に進みたいと思っていたんだ。
「丹恒、いるんだろ」
浴室のドアを開ければ、案の定。そして、飲月の姿で。
「きゅぅ」
俺を呼ぶ声は、とても弱々しい。
可愛すぎだ。
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