苦艾キコ
2025-12-18 13:43:14
6935文字
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グリムハーツ感想(自PCの生い立ち編)

生い立ちだけでやたら長くなってしまった。

PLとして抱いたPCへの感想


先に言っておこう、ここから先は取り留めのない自分語りであり、駄文である。

語彙力はグリムハーツ2の世界に置いて来てしまった。
それでも読んでくれたら嬉しいな。


私に割り振られたキャラクター。

察していた人もいるかもしれないが等と悠長に書いている内にさりゅさんに察されてしまった。

ジェスター君だ。

割り振りを発表された時は正直頭を抱えた。

私が苦手な、好きではない要素だけで構成したと言っても過言ではないキャラクターだった。
あえてそれで作り上げたキャラクターである。

(※もちろん創作キャラとしてはとても愛している)

そもそも”美少年”という概念が苦手だった、BLと汚い大人達の加害の匂いがするからだ。

一昔前は男性同士の恋愛がやたらと耽美扱いされる風潮にあったが、別にそれ自体美しくも尊くもない。昔から存在したし、異性愛のそれと変わらない。愛は愛である。等しく尊くて醜いものである。
知ったのが10代だった事もあり、子どもにエロスや神秘性、倒錯性を見出すジャンルや現実、そんな大人が存在することが不快で気持ち悪くて仕方なかった。
少女◯◯、とかいうタイトルも好きではない。
確かに一過性の儚い美だとか幼なさ故の尊さを感じる気持ちは分からなくもないが、寒気がする。歴史的に見ても理由を付けた搾取でしかない。“耽美”という言葉に長年嫌悪感があった原因もここにある。子どもはなんだかんだ健やかに真っ直ぐ生きることを良しとし、己には難しいかったからこそ、それに憧れてきた人間なので、不健康でジットリした空気感と、爛れたものを賛美する異様さと、それに陶酔している人達が苦手だった。
獄本のばら氏なんて、、変態の隠れ蓑としてロリィタを消費しているようなものだ。美少年と耽美といえばの映画「ベニスに死す」だって、確かに彼は途方もなく美しかったが、その裏では。「レオン」も、「ロリータ」も。少年少女特有の危うさや美しさを賛美されても、子どもとして大切に守られて、嫌な思いなんてせず、トラウマも抱えず、健やかな日常を送って欲しかった。どう足掻いても、「耽美的なキャラ」と「性的搾取」はセットだ。

それに耽美主義を謳う割に本人達は醜これ以上はシンプルに悪口なので控える。だからこそ美しい物に手を伸ばし、それを穢す嗜好を正当化したいのだろう。私は幼少期からそう思っていた。そういう大人に手を伸ばされたこともあるし、その魔の手から子供を守った事もある。

ここ数年、月前さんを通じてやっと別の種類の耽美とその愛好家が存在する事に気付き、多少は認識を改めて今に至る。

話が逸れた。

ジェスター君は真っ白な肌に赤い巻き毛、少女と少年の中間のような、まだ幼さを残す未成熟な体。曖昧な自我と他者との境界。他人に対する冷笑的な態度。どこか病的な美しさを持ち、大人を惑わすほど蠱惑的な美少年

文字通り「耽美」と「性的搾取」がワンセットになるであろう、若かりし頃の私なら発狂するほど苦手なタイプのキャラである。

しかし、動かせるか動かせないかで言えば、動かせる。

私に割り振られた理由もなんとなく理解した。
なんせ動かす上での精神負荷が最高レベルに高いキャラクターだ。こんなキャラクターを喜んで動かし、自身にダメージを追うことなく運用ができるのは山崎さんのように屈強な精神を持ったドMか、サイコ気質のある李季さんか、もしくは生み出した張本人である私しかいない。

されど選定理由は「気質が1番合っているから」だった。

そんなバナナ、私をなんだと思っている。こんなメンヘラと一緒にしないで欲しい。
最初はそう思ったが、私は後にその意味を痛いほど思い知ることになる

初日。
ゲームを始める前に注意事項を読み、誓約書にサインをする所から始まった。
今作はR-18以上で、精神負荷の高いゲームであること、他者を気遣いながら遊ぶ事etc

一通り読んだところで誓約書が出現した。
嫌なBGMと共に血塗れの誓約書が画面にバーンと出てきて、私はちょっと泣きそうになったし、リアルに息が引っ込んだ。
ホラー演出なんて聞いてないよ。
そこにはこう書かれていた。

〜穢らわしい呪いの子。バロール家に降り掛かった厄災の子。お前の存在は赦されない。お前はその運命から逃れられない〜(うろ覚え)

後で聞いた話、他PCは普通の誓約書で、この世界で生き抜く覚悟があるか問うものが多かったそうだ。一部の高難度キャラがこのようなホラー仕様だったらしい。

折角なので、常に繋ぎっぱなしのペンタブを使って恐る恐るサインを書いた。他の皆はマウスで書いたのだろうか。


さて、感想を書く前にジェスターの生い立ちについて解説したいと思う。
ジェスター・ヴェル・バロール。まだ14歳の少年で、学生である。
父は法政界の名門、バロール家の血を引くラムダ(最高裁判事)。
母は魔法を持たぬ人間であるキサラ(弁護士)。

かつて毒を打たれ死の淵にラムダ瀕したラムダが、イクサでいう特質顕現をし、百眼の怪物の姿となって毒から逃れるも反動で理性を喪失。助けようとした妻キサラに本能のまま襲い掛かり。グリムハーツ無印のワンシーンだったが、「触手プ◯イだ!?」と大いに話題になったものである。

そうして宿ったジェスター。怪物の特性を強く引き継いでいるであろうその子を産むべきか産まざるべきか、夫婦の間で議論になったが、キサラがラムダの猛反対を押し切って産むに至った。

ラムダもバロールの力の一部と、微弱ながら魔眼を保有している。ラムダはそのことを酷く嫌悪しており、グリムエルファミリーの一員であることも嫌悪し、自己の存在を否定し続けている。妻のキサラは、そんな彼の中に流れる”怪物”の一面を、あるいは彼の全てを、生まれた子を心から愛し幸せにすることで肯定してあげたかった──、という気持ちがあったが、現実はそう上手くはいかなかった。

ジェスターは百眼の怪物バロールの特性が想像以上に強く出て、この世に生まれ落ちた瞬間から強力な力を発揮した。それは分娩に立ち会った医師や看護師を発狂させ、死に至らしめるほど強力なものだった。
この悲惨な事故を隠蔽する為、ラムダの行った関係者の抹殺含む一連の行動が「バロール家の真実」という取得可能な情報として登場するのだが長くなるので、今回は置いておく。

なお、キサラはその隠蔽工作の事を一切知らなかった。

そうして産まれたジェスター。
悪魔ジョーカーのように強く聡明で心優しい子に育って欲しいそんなキサラの願いを込めて名付けられた。

キサラは産後すぐ仕事に復帰するつもりだったが、想像以上に出産のダメージが酷く、一時は生死を彷徨うほどであったため、しばらく入院する羽目になった。退院後も、ジェスターの特性から他人に育児を委託することも出来ず、キサラは子育てに専念することにした。

しかしこのジェスター、いわゆる”育てにくい子ども”であった。

発達が遅く、笑いもせず、偏食で感覚過敏。不規則な生理的周期、情緒不安定で衝動的。酷い癇癪持ち。おまけに泣き声は耳を劈いて空間に反響し、酷い頭痛を引き起こし、窓ガラスを割る始末。一体何が悲しくて泣いているのか、何に怒っているのか、何が嫌でこうも絶叫するのか、全く持って分からない。

これでは公共の支援にも頼れない。そして案の定、キサラとラムダはあっという間に育児ノイローゼになった。それでも必死に育てたのだから、二人には敬意しかない。

しかし、そんな状況が面白くなかったのはジェスターの姉、ソフィリアとアイヴィーだ。両親がジェスターに掛かりきりになり、どんどんやつれていくのを見ればジェスターを嫌うのも仕方ない。ラムダはもちろんキサラに任せきりにはしなかったが、最高裁判事となった彼は多忙を極めており、助力するにも限界があった。
両親を不幸にするジェスターに対し、気の強い次女アイヴィーは日頃から意地悪をしていたが、飼っていたペットの兎がジェスターの魔眼でショック死してしまってからはいよいよ嫌悪し、日々罵声を浴びせるようになった。
長女のソフィリアはあの両親から生まれたとは思えぬほど繊細で心優しく、弟に意地悪こそしなかったが、彼女は特に魔眼耐性が弱く、共に食卓を囲むだけで吐き気を催してしまう始末。家族団欒での食事は諦めざるを得ず、ジェスターは自室で食事を摂る事になった。最初はキサラが一緒に食事をしていたが、やがてジェスターも遠慮して1人で食事を摂るようになった。

未子がそんな事になっていると世に知られれば、バロール家の評判は落ちてしまうだろう。夫妻はジェスターを居ない子として育てる事にした。キサラは反対したが、お互いに立場ある職業、信頼で食べている身。そうするしかなかった。外ではジェスターに対する話題を徹底的に避けた。部屋は防音室に、窓は分厚いアクリルの小窓に替え、そこに閉じ込める形で育てた。

そんな環境で育てば、物心が付く頃には嫌でも分かるだろう。「自分は両親の負担でしかなく、産まれてきてはいけなかった。」ジェスターがそう思い至るのは必然だ。

幼いジェスターには、まだその理不尽に対して怒るだけの気力があった。人はおろか、虫も動物も傍に寄ってきてはくれない。彼らは本能に忠実な分、真っ直ぐに嫌悪を向けてきた。ジェスターはそれが不愉快で寂しくて仕方なくて、追いかけて捕まえようとしてはうっかり死なせてしまうことを繰り返し、それが癖になり、習慣化してしまった。
死骸になればそのぬくもりに触れることが出来る。それでもすぐ冷え切ってしまうので、切り開いて肉に手を突っ込むようになった。生温かい血の温度が一時の慰めになった。しかし、それを知ったキサラはジェスターをきつく叱った。ラムダは叱りつつも、目に見える場所でやらないならと黙認した。
かつてラムダにも似たような趣味(解剖癖)があったらしい。彼は今でも生肉嗜好がある。

そんなジェスターにも何度か転機があった。

一つは、キサラと共に育て始めた花の球根。日本の小学生なら一度は課題として朝顔やチューリップ、フウセンカズラなんかを育てた事があるだろう。ジェスターにもそのような課題があった。
植物ならばジェスターの魔眼は無関係で、むしろ害虫駆除に有効に働く。教師の指導も必須ではない。
芽が出て成長していくのを見たジェスターは、毎日様子を見て観察日記を付けた。一日中鉢の前に座っていたこともあったという。そうして開花に至ったのを見て心が動いたらしい。以降、誕生日の度に植物の種苗をねだる様になった。すっかり虜になったジェスターは後に両親に頼み込み、植物栽培用のガラス張りの温室を買い与えられている。光溢れる温室は家の外を出歩く事が許されていなかったジェスターにとって大切な居場所となり、家族の出入りを禁じた。この温室は購入費に数百万、暖房など維持費に月数万掛かっていると見込まれるが、ラムダはこれで息子を黙らせておけるなら安いものだと語っている。買ってやったのだから真面目に勉強に励み、問題行動を起こすな。そう約束し、ジェスターはそれに従った。

もう一つはルナリエルとノクスエルとの出逢い。
夫妻は仕事と教育のためにジェスターを幼稚園に預けたかったが、何処へ行っても当然断られた。

シグマとエプサイロンがグリムハーツ教団の孤児院での養育を申し出たが、彼らを快く思わないラムダは断固拒否した。

そんな中ルナリエルとノクスエルが神殿で育てられていることを知り、その両親のラオやイスと知人であったこともあり、ラムダは彼等を頼ることにした。生まれて初めて友達が出来たジェスター。週に数回通い、共に遊び、教育を受けた。ジェスターは近しい境遇のルナリエルとならパートナーとして一緒に生きていけるのかもしれない。そんな淡い期待さえしていた。しかし、実際は皆に愛されて育った彼女と、疎まれて育ったジェスターには埋めようのない溝があり、それは後々亀裂となった。

神殿では吟遊詩人ラウロとの出逢いも大きな影響があった。ラウロは魔眼耐性こそ弱かったが、それ以上に「孤独なこの子に詩歌や戯曲、音楽の楽しさを教えてあげたい」という使命感が強かった。ラウロの教育によってジェスターは歌と楽器演奏で素晴らしい才能を発揮したが、音楽を奏でればどうしても演奏者に注目が向くもの。聴かせる相手もいない。目立つことを恐れたジェスターはそれ以上の練習を辞めてしまった。ラウロは残念がったが、責めることもなく優しく受け入れた。教育を施す以外にも、頭を撫でるなど健全なスキンシップを取り、話し相手になって絵本を読んでやったり、愛情深く接してくれるラウロの真心を、ジェスターは確かに受け取っていたと思う。彼が本当の父親だったらと思ったこともある。ジェスターが僅かでも心に値するものを持てたのは、ラウロと後述するモフモフさんのお陰かもしれない。

梟のモフモフさんは、森の動物と心を通わせていたグリムエルの孫に動物虐待の趣味があることが信じられなかった。しかし、幼いジェスターが自分を捕まえて羽を毟ろうとするのを見て驚愕し、危機感を抱いた。されど我らが博愛のモフモフさんは、それでジェスターが動物との接し方を知らないことを見抜き、癇癪を起こして泣き出すジェスターを宥め、羽を引っ張ろうとする手を止め、動物に嫌がられない触れ方を根気よく教えた。生まれて初めて自分から逃げ出さず、真っ直ぐに向き合ってくれた柔く温かい生き物、モフモフさんは幼いジェスターにとって大切な存在になった。ジェスターはモフモフさんと共に過ごしたいと願ったが、番と遠方で暮らしているモフモフさんにはそれを叶えてやることが出来なかった。代わりに、ジェスターが大きくなって使い魔が必要になった時、自分の雛鳥を託すと約束した。それが後のフワフワさんである。皆がジェスターの加害性について問題視し遠ざける中、彼を信用して我が子を託してくれたモフモフさん。そして天真爛漫なフワフワさんは、ジェスターの孤独な学校生活を支えてくれた。実際、サイヤ・レンと出会うまではフワフワさんとばかり話していた。時点でルームメイトだろう。名は出ていないがマルコフ君という。

マルコフ君はPCとしては存在せず、名を出して描写はされないが、レンが来るまではジェスター唯一のルームメイトであった。己を鍛えることに重きを置いているいわゆるマッチョマンとして描写されていて、精神力の高さゆえか魔眼耐性が少しあり、ジェスターにも気さくに接している。必要があれば一緒に授業を受け、おそらく食事も共にしていたであろう。日頃から鍛錬のため寮を空けている事が多い。成績優秀だが少々悪ガキの側面があったようであり、「悪童3人組」としてレンとも仲良くしていた。お洒落なところも一目置かれている。

さて、お察しの通りジェスターは魔法学校に入るまでは殆ど学校に通えていなかった。
英国では5歳から11歳までがプライマリースクール(いわゆる小学校)なのだが、登校初日から他の子ども達や教師から猛烈に拒絶され、ホームスクーリング(自宅学習。英国では選択肢として認められている)で卒業に至った。次のセカンダリースクールこそ通わせようとしたが、やはり他の生徒とトラブルを繰り返し、転校を余儀なくされた。

そして行き着いたのがあの魔法学校であった。ラムダ曰く異常者の多い魔法学校には通わせたくなかったようだが、他に選択肢はなかった。魔法学校側にも最初は渋られたが、何かしらの弱みを握って入学させたらしい。フクロウ便くらいしか連絡手段がない学校へ入れることをキサラは心配していたが、ジェスターはあっさり受け入れた。全寮制の魔法学校。厄介払いであることくらい分かっていた。家から自分の存在が消えることで、家族を解放出来る、母キサラが仕事を再開出来る。皆それを望んでいるだろうと。

幸か不幸か、曲者の多い魔法学校でのジェスターは腫れ物扱い程度で済んだ。この頃、ようやく魔眼封じのコンタクトレンズと眼鏡が併用出来るようになったことも理由の一つだろう。最も、最初のルームメイトは逃げ出したようだが。それなりに親しく接してくれるマルコフ君のお陰で、話題にも事欠かなかった。ジェスターは両親への手紙の中で理想を演じた。母キサラへは、友達と楽しく学園生活を送り、まだ子供らしい甘えを見せる可愛い息子として。父ラムダへは、問題を起こさず真面目に勉強に取り組んでいる当たり障りのない優等生として。

それでも、本性は何も変わっていなかった。裏では夜な夜な学園近くの森に出掛けては、そこにいる生物を虐殺して楽しんでいた。ラムダは気付いていたが、何も言わなかった。

そんな学園生活を送っている内に、サイヤ・レンがやってきた───。

つづく