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河童の皿箱
2025-12-18 09:03:31
1028文字
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遊戯王:短め(2025年度)
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傷物
麁正が草那藝に傷物にされたと騒ぐだけ
細い袖に口元隠し、長い白髪は風に揺れる。すいと細めた目元の色気に、対するは黒き巨体。
私はお前に傷物にされてしまったからね。
その一言に、黒き剣は眉間を押さえた。その言い方はやめないか、と。けれど白き剣はなお、口元を抑えて笑った。なに、間違いなどひとつもないだろう? と。
そのものそれそのものたる剣のような、線の細い白。フイと他所を向く目は、けれど黒き剣をケラリ笑う。そう、間違いではないのだ。しなやかなる白き剣は、大蛇の尾を切るために振るわれ、その尾の中で産声を上げた黒く剛き剣によって、欠けた。そうだ、こいつはそれを、傷物にされたと宣う。
間違いではない。ではないのだが。黒き剣は溜息をついた。もう、昔の話だろうと。けれど白き剣は言った。ここに傷が残っている、と。袖をぐいとたくしあげれば、なるほどあの時の。
しかしながら黒き剣は眉間を摘んだ。事実故に反論ができぬのだ。当時は悪き蛇の尾たる我が身、次第に神々に納められ、火の放たれた草を薙ぎ、そして我を得、今がある。人々の願いに耳を傾け、邪気を祓い、共にある。けれどこいつは、折々にしてこの傷を見せつけてくるわけだ。
しばらく頭を捻っていれば、白き剣はその様に満足げに笑った。くるり振り返るその背中、棚引く髪も優美なるとは思うのだが。いかんせん、その髭面さえ隠せば女に見えなくもない
…
というのが、黒き剣をさらに悩ませていた。
去った白と、入れ替わりにやってきた赤。なんだ、また揶揄われていたのかと。黒き剣は唸った。あいつはなぜ、あそこまであの傷にこだわるのだ、と。
すると、赤は笑った。お前がそうやって困るからだよ、と。けれど黒き剣は再び溜息を吐いた。違う、なぜ傷をわざわざ見せつけてくるかだ。けれど、赤はなお笑った。
あの傷は、あいつにとっての初めての敗北の証だ。お前よりも剛く、鋭くと望んでいるのではないか。
赤き剣はそう考えを述べた。しかし程なくして苦笑をこぼした。黒き剣は三度、溜息をついた。己はどうするべきなのだ、と。はて。惚けた赤に、黒は渋面する。
…
お前たちは、己で遊びたいだけだろう。
バレたかと。赤がピャアッと駆け出せば、黒は追いもしなかった。
それならそれで良い。傷が痛むのであれば良心の叱責もあったが。あとで引っ捕まえて、拳骨を見舞ってやる。この胸の炉に燃ゆる炎が如く、容赦なく。黒き剣は八つ首蛇に変化しては、ずいと這い出た。
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