河童の皿箱
2025-12-18 08:56:22
1059文字
Public 遊戯王:短め(2025年度)
 

中秋の名月

P.U.N.K.が中秋の名月を楽しむだけ

 流る風に、吹かれて揺れて、ざあざあさざめく芒の穂。庭先遊ぶ子らたちと、軒先涼む男らと。少し離れた窓辺では、小鬼と雷神連れ立って、厨でじっくり、白玉づくり。小鬼の手のひら乗っけた白を、丸めて丸めてまぁるめて。どんどんできるお団子たちを、今度は雷神手に取って、くつくつ煮え立つ鍋の中。ぷくぷくゆだって、つやつやり。湯気を纏った白玉が、なんともなんとも美しい。そうして何個も茹で上げて、積み上げできた、お月見団子。
 さあ出来たぞと雷神が、家主のもとにもってけば、すっかり酒の入った絵師は、ご機嫌笑ってさっそくぱくり。さらにもひとつ、ぱくぱくと。出来立てもちもちお月見団子、お味はどうかと小鬼がおずおず。さすれば絵師は飲み込んで、笑って答える。おいしいぞ、と。
 ともに座った縁側の、縁から足を降ろしては、冷たい冷たい風通る。空見上げれば、月が照る。むかぁしむかしの十五夜の、皆々愛でたお月様。今年の月はまん丸い、よりは少し早くて。わずかに満ち足りなかったが、いやはやしかし、どうしてこれが。
 ふと後ろから、雅楽師が。おぉ、おぉ、きれいじゃのうと笑って、また縁側にもうひとり。緑の御巫、空見上げ、こんなにきれいなお月さま。それがなんだかおかしくて、ふふふと顔を見合わせそして、絵師が差し出す月団子。ふたりもおひとついかがかと、それじゃあおひとついただくと。さすれば今度は庭の子ら、トトトとかけて、ちょうだい、ちょうだい。長たる絵師はほれどうぞと、3人ひとつ、ひとつとひとつ。手のひら乗っかる白い月、ぱくんと一口、もぐもぐと。すると揃って笑顔になって、おいしい、おいしい、うれしいな。
 ほらほら酒だと雅楽師が、御猪口にちょこっと酒を注ぎ、神に差し出す、おつかれさんと。神も微笑み仰々しく、わたしにこれをささげよと。さすれば雅楽師調子に乗って、口で唱えし祝詞の声に、子ら能楽師が舞い踊る。いつしか琵琶の音加わって、神らに捧げし音と舞。そんなこんなの宴や踊れ。月は眩く、けれども静かに照らし、見守り、薄絹纏う。色っぽいかと人形師、見上げて呟き酒を飲む。隣の絵師は微笑んだ。今宵の月も良い月、と。

 あぁなんと、愉快愉快なある月夜。愛でるは月と、仲間たち。歌声高く、舞美しく。何て贅沢なんだろう。絵師も、楽師も、子らも、黒衣も。居候たる小鬼も神も。心に留めて手を叩く。空にはキラキラ星々と、名月評するお月様。酒の水面にこぼれたそれを、くいとあおってごくんと一飲み。

 宴は長く、遅くまで。けれど楽しき、友らと共に。