芳汀×博士

二人がただ会話しているだけ。中途半端。

日頃から子供扱いされていることに納得がいっていない芳汀はある時、博士にこう言った。
「センセーは僕のことを子供扱いするけど、こう見えても大人だよ」
「本当に?」
「そうだよ。だから.」
オフィスチェアに二人分の体重が乗りギシッと音を立てた。
「僕を“大人”扱いしてくれる?」
大人という単語を妙に強調させながらそう囁き、顔を近づける。
芳汀の言う“大人”という意味はどういった意味なのか。彼自身がきちんと理解しているのだろうか。
「今後の君次第だね」
――が、芳汀の動きが止まった。
「それって今はダメってこと?」
声がだんだん不機嫌になっていく。
「今のその反応を見ていたら余計にまだ早いって思うよ」
「あっそ。じゃもういいや」
不満げな声で吐き捨てるようにそう言ったあと、オフィスチェアから降りた。
大人びていても精神的にはまだまだ未熟な彼だ。
「無理して背伸びをする必要なんてないんだよ」
博士はポソリとそう呟いたが、芳汀の耳には入っていなかったのだった。