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リレン
2197文字
Public
フリンズとLK事務員夢主
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フリンズさんがお見舞いに来てくれる話
ライトキーパー事務員さん3
(さすがにしんどいな
…
)
昨日の仕事途中から、なんとなく喉に違和感があったのは分かっていた。明日は休みの日だし、ゆっくりしようと早めに就寝したのだが、そんな努力も虚しくしっかり風邪をひいてしまった。幸い昔から、熱が出ても食べて寝てれば一日程度で治るタイプなので、今日を乗り切ればなんとかなる
…
と思う。そんなことを考えていると、
――
コンコン。
誰か尋ねて来たようだ。昨日少し体調が悪いと話した女性同僚だろうか?ゆっくりと体を起こして玄関に向かい、「はい」と言って扉を少し開けると、予想外の人物が立っていた。
「え、フリンズ
……
?」
「はい、貴女のフリンズですよ」
「どうして
……
」
「あぁ、声がガラガラで辛そうですね、喋らなくて良いです。
――
少しだけお邪魔しても良いでしょうか。色々買ってきたので」
コクンと頷くだけにして、大きな紙袋を抱えた彼を部屋に迎える。迎え入れてから気付いたが部屋の片付けが適当だな
……
諦めるか。
「さきほど『どうして?』とおっしゃいましたが、逆に僕が聞きたいところですよ。なぜ昨日会った時に僕へ声をかけてくれなかったのか、と」
「それは
…
「いえ、喋らなくて良いですから。今度改めて詳しく伺いますから」
言葉を遮られ、言い訳すらさせてくれない。しかもこれ、絶対あとで怒られるやつだ。
「事務所の方に寄った時に、貴方が昨日辛そうにしていたと数人から声を掛けられましたよ。様子を見れるなら見て欲しい、とね」
……
それは先日、大々的に君が外堀埋めてくれたおかげで、もう職場の皆が知ってるからね
……
。これについては困ったもんである。このフリンズ、なかなか怖い男だ。
フリンズが買ってきたものを、キッチンに並べてくれている。お水、ハチミツ、林檎、ミルク、ホワイトベリー。スープのテイクアウトまである。最近お気に入りのお店の品だ。これは嬉しい。
「さて、いま食べられそうな物はありそうですか?」
そう聞かれたので、ミルクとハチミツを指さしておいた。
「わかりました。少しだけキッチンをお借りしますね。貴女は横になっててくださいね」
と言うと、さっと私を抱え上げて、数歩先のベッドに乗せてくれた。(これぐらい歩けるのに)、という顔をしたところ、彼は目を細めてフフっと笑うだけだった。こちらの意図が伝わっているかは分からないが、まぁいいでしょう。
「ホットミルクのハチミツ入りですよ。熱いので気をつけて」
ベッドでゴロゴロしていると、マグカップを持ったフリンズが近寄ってきた。私が起き上がると、彼はベッドの端に座って背中を支えてくれた。受け取った温かいマグカップから甘い香りがして、ほっと落ち着く。まだ痛む喉にも優しい甘さが助かる。私の顔を見ていたフリンズも、少し表情が柔らかくなった気がする。
ゆっくり飲み終わったマグカップは、手を差し出してきたフリンズに渡した。至れり尽くせりである。
「さて、僕はそろそろお暇します。人がいると休めないでしょうから。スープは食べられそうな時にでもどうぞ」
そう言いながら立ち上がる彼の背中を見て、手が伸びてしまった。逃げる服の裾をくいっと掴む。無意識だったその行動に自分が驚いて慌てて手を離したが、もちろんソレに気付いたフリンズは立ち止まり、顔だけ振り返って目を丸くさせていた。
「
――
あ、えと
……
」
「はい、どうしましたか?」
「なんでもない
……
の
…
」
彼はすぐに向き直り、マグカップをサイドテーブルにコトンと置いてもう一度ベッド端に座ってくれた。私の方は無意識の行動が恥ずかしくて、シーツを顔まで引き上げて隠れる。その引き上げたシーツは少し引き下げられてしまい、出てきた私の顔を眺めて微笑むフリンズ。穴があったら入りたい。
私の頭を撫でながら、彼は少し顔を近づけて、耳元でおかしなことを言ってくる。
「風邪は人に移すと良くなるとも聞きます。僕に移してくれませんか?」
「それは、私が嫌だよ
……
」
「おや、それは残念です」
冗談だか本気なんだか分からない提案をされたが、それは全力でお断りしたい。
今度は掴まれなかった裾を翻し、彼がキッチンに向かう。カップを洗ってくれているようだ。
戻ってきた彼に、サイドテーブルの引き出しを開けるように指差す。取り出してもらったのは鍵束である。チェーンから一つ鍵を外して、フリンズに押し付けた。
「
――
これは?」
「うちの鍵
…
。まだ時間ある
…
なら、寝るまで手を、握ってくれる
…
?寝たら鍵
…
閉めてね
……
」
「えぇ勿論。その可愛らしいご用命、承りました」
自身の胸元に手を添えて、私の目を見ながら恭しくお辞儀をするフリンズ。執事か何かかな?
手を握ってもらって安心したのか、私はそのまますぐ眠ってしまった。良い夢見た気がする。
***
ふと目が覚めた。
外が暗くなっている。今は何時なのだろうと思ったところで、暗闇の中に青い光が少し見えた。まさか。
「おはようございます。ご気分はいかがですか?」と、青い炎のランプを持ち上げてフリンズが微笑む。
鍵を渡した意味とは
……
、と少し呆れてしまった。ほんとに風邪が移ってたら
……
もう、知らないんだからね。
『貴方のその、手の温もりと優しさを求めて』
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