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雪成はす子
2025-12-14 22:37:40
1888文字
Public
ポメガバース
バロックパールの憂鬱
🐧🐬
⚠ポメガバース時空で🐬がずっとポメラニアンのまま
🐧のベッドで寝ていたポメ🐬と一緒に眠りながら🐧が優越感に浸る話
無断転載・AI学習・コピペ・自作発言禁止Repost is prohibited
照明を落とした部屋の中は、うっすらと暗かった。
どうやらシャチは既に寝てるらしい。音を立てないようにそろりそろりとベッドに近付くと、ぴすぴすと小さな寝息が聞こえて来た。
見れば、二段ベッドの下、つまりは俺のベッドの上に、こんもりと小さな塊が見える。
そろりと覗き込むと、そこにはポメラニアンの姿になったシャチがぴすぴすと小さないびきをかいていた。呼吸の度に膨らんだり縮んだりする毛玉に、思わず口角が上がる。けれどすぐに表情を引き締め、俺はシャチの毛をそっと撫でた。
「いつも寂しい思いをさせてごめんな」
そう語りかけ、俺は着替えを持って一旦は部屋を後にする。手早くシャワーを済ませ、再び部屋に戻ると、やはり変わらずシャチは俺のベッドで寝ていた。伏せの姿勢のまま寝ているのは、きっと俺のベッドに潜り込んだままポメラニアンになってしまったからだろう。俺はベッドに乗り上げ、シャチに毛布を掛けながらベッドに横になった。シャチの体を抱き締めると、ほんのりと温かくてふわふわの毛並みの感触が俺の手のひらに伝わる。温かくて、ほわほわで、安心する。
シャチには悪いけれど、ポメラニアンになったシャチの毛並みの感触はやはり心地いい。シャチを独り占めしてずるい、と言われた事もあるが、俺が戻るとすぐにシャチは元に戻ってしまうので意外とゆっくりシャチを撫でる機会はあまり無いのだ。
無論、元に戻ってくれたらそれはそれで嬉しい事には変わりない。
ポメラニアンになったシャチはとても可愛らしいが、やはりいつものシャチも可愛い事には違いない。
――
と言うと必ず「いやシャチはゴツイだろ」と言われてしまうが、それでも俺から見ればシャチは可愛いのだから仕方がない。昔に比べたらシャチは確かに筋肉もついて大きくなったが、それでも俺にとってシャチは誰よりも可愛い存在なのは間違いないのだ。
ぴす、ぴす、と沈黙の中でシャチの小さないびきが聞こえる。
毛布の中のシャチを抱き締め、俺はぽんぽんと背中を叩いた。
ポメ化したシャチに、いつもやっていた仕草。ぽんぽんと背中を叩き、大丈夫だよ。と小さく囁く。
「大丈夫だよ、シャチ。俺はずっとここに居るから」
小さな時から、ポメ化したシャチをこうやって慰めるのは俺の役目だった。
その事を重荷に思った事は無い。たまに拗ねて色んな所に迷惑をかける事もあるが、そんな所もまたいじらしくて可愛いなと思うのだ。もふもふになったシャチを抱き締めながら、何度も何度も大丈夫だと囁く。ぴす、とシャチがまた小さくいびきをかいた。
シャチにとって、ポメラニアンになるのは煩わしくて嫌な事でしかないのだろうと思う。
実際に戦闘では役には立たないし、ポメラニアンになる事によってシャチは何度も嫌な目に遭ってきた。小さな事件から、大きな事件まで。何度も何度も嫌な目に遭ってきたのだ。
だが。
だけどああ、駄目だ。
シャチは何度も嫌な目に遭ってきたのを俺は誰よりも知っている。
けれど知っているからこそ
――
口角が上がるのを、止められない。
シャチの背中を撫でる。ぴす、とまたシャチは小さくいびきをかいた。
「シャチ、大丈夫だよ。俺はお前から離れたりはしないから」
小さく語りかける、その言葉は慰めを借りた呪いの言葉だ。
シャチは俺から離れられない。俺から離れたら、シャチはまたポメラニアンになってしまうだから。
そして俺もまた、シャチからは離れられないという事も分かっている。
俺もまた、シャチから離れて生きていられる筈が無いのだ。
「シャチ。好きだよ。愛してる」
言い聞かせるように、俺はシャチにそう語りかける。
シャチのもふもふの毛に顔を埋めて、俺は目を瞑った。
シャチは俺から離れられない。
俺がシャチから離れて生きていけないように。
俺の腕の中で丸くなっているこの無垢な存在が、自分だけに反応してこの姿になっているという事実
――
その事こそが、俺に何よりの優越感を与えてくれる。
人好きのするシャチが、他の誰よりも俺を一番に思ってくれているという事こそが。
己が誰よりも歪んでいるのは分かっている。
だからせめて、朝が来たら
――
シャチが元の姿に戻ったら、その時は目一杯甘やかしてやろう。
シャチが寂しい思いをした分だけ、充分に甘やかして甘やかして
――
それから。
「たのしみ、だな
……
」
とろりと意識が沈んで、眠りの淵に落ちていく。
すう、と静かな寝息が聞こえ、ポメラニアンの耳がぴくりと動いた。
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