三毛田
2025-12-14 22:24:44
1078文字
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14. 偶然に触れた手

14日目
それだけで幸せなのに

「す、すまないっ」
「ううん。大丈夫。丹恒こそ、大丈夫か?」
「あ、ああ」
 偶然手が触れてしまい、慌てて引っ込める。
 気を悪くした様子はなく、それどころか俺を心配そうに見て。
 彼の優しさに、泣きそうになってしまいそうだ。
 彼に触れたい。でも、触れてしまったら何かが壊れてしまいそうな気もして。
 好きになってしまった。けれど、それを伝えてはいけない。
 そんな感情に支配され、臆病になっている。
『誰かを好きになるのは、自由だと思うよ。ウチはそう考えるけどな』
 調べ物ついでに、三月に問いかけたらそんな答えが。
 なるほどと納得すると同時に、そういうものなのか? という疑問も。
 己が誰かを好きになるなど、ないと思っていたから。
「緊張してたのか? 手が冷たかったけど」
「あ、ああ」
 本当は違う。
 元々、彼より体温が低いのだ。でも、咄嗟に頷くことしか出来なくて。
 自ら彼に触れたいけれど、この手で触れていいのかわからず。
 にっちもさっちもいかない。
「丹恒、ご飯行こう」
「そうだな』
 触れた手をそのまま握り、パーティー車両へ。
 シャラップにモクテルを作ってもらい、出された軽食のサンドイッチを食べる。
「ん。今日のは美味いな」
「確かに」
 シャラップが何か言おうとするのを止め、食堂車へと移動。
 今日もパムのの作った食事が美味いと二人で舌鼓を打ちつつ、食後の飲み物で気持ちを落ち着けてから穹の部屋へ。
 初めの頃は特に気にならなかったが、彼に好意を寄せるようになってからは緊張する。
「このゲーム、二人で協力する奴なんだ。チュートリアルをやったら、手伝ってほしい」
「わかった。まずは操作を覚えさえてもらおう」
 ワイヤレスのコントローラーを渡され、言われたとおりにチュートリアルをこなす。
「やった!」
「意外と面白いな」
「だろ!? 丹恒のおかげで、全部一回でクリアできたよ。ありがとう!」
「っ」
 コントローラーをベッドの方へ放り投げつつ、俺に飛びついてきて。
 心臓がうるさい。自分が自分じゃなくなるようだ。
「ごめん。ちょっと強く抱き着きすぎたよな?」
「だ、大丈夫だ」
 慌てたように離れていく。心臓がうるさくなってきたので、少しほっとした。
「うーん……眠くなってきた」
「昼寝をしたらいい。俺は資料室へ戻る」
「一緒に寝よう。いいだろ?」
「だが」
「俺が一緒に寝たい」
 そう言いながら、俺の上着を脱がしてそのままベッドへ引きずり込む。
 どうしたらいいのだろう。
 心臓がうるさくて、壊れそうだ。