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いを
2025-12-14 18:37:00
1269文字
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刀神
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神様たちの残り香
水隠、青嵐
宗匠
せんせい
のことですか?
ああ
――
あのひとはですねえ、狂ってますよ。僕からいうことじゃないかもしれませんけれど。呪咀いというものに焦がれて、取り憑かれてしまっているんです。人間っていうのはひとを呪わなければ生きていけない生き物でもありますし。
――
呪いっていっても、妬みとか、嫉みとか。そういったものです。そういうものも真っ当な呪いになると宗匠はいっていました。人間が当たり前に生きていく中で、祝いもあれば呪いもある。天照にいればそれが顕著でしょう。人間以外のものがたくさんいるから、ただしくみえているだけで。あ、ここはオフレコでおねがいしますね。宗匠は人間らしく生きようとしていませんし、人間であるべきとも思っていなさそうなんです。でも、それじゃああのひとはなんだっていう話なんですけど、たぶん、人間と人間じゃないものの真ん中みたいな存在なんじゃないかなあって。生者と死者の合間というか。生きたことも死んだこともないような。まあ、ここにいる人間は死んだことなんてないんですけど。死んでたら肉体はありませんものね。あのひとね、なにを見ているんでしょうね。此岸、彼岸
……
そういったものを見ているような、見ていないような。そんなあいまいなふうを装って、実際はしっかり現実を見ているんじゃないかなって。そこからあえて自分を遠ざけているんじゃないでしょうか。
「でも僕彼の怒りを買ってしまったみたいで破門されちゃいました」
なにをしたかって、まだ秘密です。そんな大したことじゃないです。きっとね。あなたがたにとっては。けどねえ今も僕にとってはいい宗匠ですよ。僕って結構ふつうの家で、宗匠みたいなこんがらがった家じゃないし。そういう家のこと昔も今も分からないけれど、そういう、ふつうの家の人間が運良く
……
いや運悪くといったほうがいいのかな。刀遣いになるための力があって、ちょっとだけふつうから踏み出てしまった。僕の目は色を映さないけれど全然分からないっていうわけじゃないんです。薄い色はちょっと分からないし、赤や緑や青みたいな色の区別がつかないくらいで。概念くらいは分かります。赤は火の色、血の色。緑は植物や風の色、青は空や海の色。あれ、風には色がない?そうでしたか。けれどマアそんなことは些細なことです。宗匠の名前は青嵐といって、青い嵐と書くんです。そうそう。初夏の季語ですね。だから緑色に見えるんじゃないかと。それはそれとして、宗匠のことでしたね。狂ってますよ。ええ。間違いようがありません。そしてちょっと可哀想です。そんなこといったら僕はっ倒されそうですけど。人間なのに人間が分からない。でも人間の妬みや嫉みといった感情を呪いだと理解してしまっている。ええ、世間一般的に汚いと呼ばれる感情をよくご存知です。けれどもそれさえ本人は分かっていないんです。それが人間であることの証明なのに。汚くとも美しくとも、ひとはひとなんです。それ以上にもそれ以下にもなれない。あのひとは一体なにになろうとしているのでしょうねぇ。僕にも分かりません。
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