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三毛田
2025-12-13 23:19:18
1073文字
Public
アドベント25
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13. あと5cmが遠くて
13日目
それはまるで心の距離
「ふんぐぐぅ
……
」
「何唸っているんだ」
呆れた声が投げかけられる。
きっと素直に手を繋ぎたい。と告げれば、彼は仕方ないという表情で手を繋いでくれる。
でも、それじゃ駄目なんだ。
勇気を出して彼に触れようとするけれど、なかなか縮まらない数センチがもどかしい。
「
……
」
「ひょわっ」
急に冷たいものが手に触れて、悲鳴を上げてしまう。
「へ、へ?」
「不満か?」
「えーと
……
犯人は丹恒先生?」
「そうだ。俺の手だ」
「ぎょわっ」
丹恒と手を繋いだまま、座り込む。
そんな俺を、彼は特に文句を言うわけでもなくジッと見つめてくるだけ。
「俺の手に触れたかったのだろう?」
「ふ、んぐぅ。そう、です」
変な声のまま肯定すると、
「そうか」
少々強張った声色で。
「ずっとそう。丹恒と手を繋ぎたかった。でも、嫌がられたら立ち直れないからさ」
ちょっとだけ繋いだ手に力を入れてみる。一瞬、変な力の入り方をしたみたいだけど気にしないことに。
「お前は」
「何?」
「もしかして、俺が好きなのか」
「んぐぅっ」
立ち上がろうとしたけれど、また座り込んでしまう。
「そうなのか」
淡々としているけれど、動揺しているのがちょっとだけわかった。
きっと、俺が彼を好きだからなのかもしれない。
「気持ち悪い、とか思ったりする?」
「いや。俺もお前が好きだ」
「うん」
「多分、お前が俺に向けてくるものとは違うとは思う。それでも」
「それでも?」
「お前から向けられている好意に応えたいと、報いたいと。お前から与えられているから、俺もお前に返したいと。考えるようになった」
「無理しなくていい。それは一方的なもので、俺は返してもらおうとは思ってないから」
深呼吸してから立ち上がり、繋いだ手をそっともう片方の手で包む。
「だが、俺はお前に返したい。一方的なのは、嫌だ」
俺の言葉に、嫌だと口にしながら首を横に振って。
ああ。そういう律儀なところが、愛しくて仕方ないんだ。
「好きだ、丹恒。お前が少しでも俺を好いてくれているだけで、俺は幸せなんだ」
こうして手を繋いでいるだけでも、とても幸せで。
話をするだけでも、一緒に出掛けるだけでも。
与えられているから、返したい。その気持ちはよくわかる。性に合わないのだろう。
「少しずつでいい。同じものを返せるようになったらでいい」
俺の言葉に、彼は困惑した表情を浮かべ。
「俺の言葉の意味が分かるようになったら、返してくれればいいんだ」
今はこれでいい。これ以上は望めないから。
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