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美味いものは冷めても美味い.zip
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バター犬
⚠️♡喘ぎ・攻めフェ要素があります⚠️
テレビの中で自認が犬になるバッドステータスをくらったままテレビから帰ってきた主人公が、足立の家の前にいた話。
最高のネタをありがとうございます眩さん。
足立は仕事を終えアパートの階段を上がったとき、自分の部屋の扉の前に何かがいた。
「な、なんだ
……
君か
……
」
暗がりに佇んでいたのは鳴上悠だった。見間違えるはずもない。けれど、様子が変だった。
地べたにしゃがんで両手を揃えてつき、まるで犬が主人を待つような姿勢で、凛と座っている。制服姿のまま、服が乱れている様子もなく、ただ帰宅してきた足立を見上げていた。
「
……
どうしたの?なんかあった?」
近づいて声をかけても、鳴上は口を開かなかった。瞬きすら忘れたように、ただじっと足立を見上げてくる。問いに対する返答はない。けれど、視線だけは、確かにこちらを追っていた。
「
……
え?具合悪い?でも、倒れてるわけじゃないし
……
」
首を傾げながら足立が鍵を取り出そうとポケットを探った瞬間、鳴上の体がぴくりと反応した──かと思えば、そのままぴとりと足立の脚に頬を寄せてきた。
「
……
は?」
鳴上の鼻先がぴとりと足に触れたかと思えば、次の瞬間、すんすん
……
と細かく空気を吸い込む音。まるで、匂いを確認するような獣の仕草だった。
「
……
な、なんなのさっきから!犬!?犬なの!?」
反射的に足を引こうとして、踏みとどまる。目の前の鳴上は、未だ一切の言葉を発さず、足に頬ずりをしてくる始末だ。
(
……
おかしい)
鳴上は何も喋らないだけじゃない。そもそも喋ろうとしていない。呼びかけには無反応。目は合うのに、意志が読み取れない。それなのに妙におとなしくて、足立の動きをじっと追って──
「
……
えーと、悠くん?」
名前を呼べば弾かれたようにこちらを見上げ、普段と変わらず可愛げのないすました顔のはずなのに、キラキラと効果音がつきそうなほど嬉しそうに足立を見上げてくる。
「いや、ほんとにどうしたの?てか喋ってよ?ねえ?悠くん
……
?」
流石の足立も心配になって肩に手を伸ばすと、鳴上はすっと体を引き、今度は横へ回り込み──
まるで飼い主の足元につく犬のように、足立の左側へぴたりと寄り添った。
(え、当たり前のように家に入ろうとしてないこれ
……
)
足立の思考が、じわじわと汗をかき始める。
(冗談?いや、こんな冗談するか?悠くんが?)
文字通り犬のような従順さ。言葉も理屈もなさそうだ。ただ、足立に危害を加える様子はない。そんな異様な存在。人間の姿をしたまま犬の魂が入ってしまったかのような──そんな気味の悪さがあった。
「
……
ねえ、君
……
」
足立は思わず屈みこみ、鳴上と目線を合わせた。冗談なら早く冗談と言ってくれ、そんな願いと共に、まっすぐに目を見て、再度問う。
「
……
自分のこと、犬だと思ってたり
……
しないよね?」
返事はない。ただ目を伏せ、甘えるように足立の頬に自分の頬をすり寄せてくる。
その姿は犬の苦手な足立でも容易に想像できる理想的な犬の姿で、背筋に冷たいものが走る。
「
……
本気で言ってる?」
呆然と呟いた足立の頬に、再び鳴上の頬がそっと押しあてられる。すり寄るように、ぴとりと温かい肌が触れてくる。満足したように顔を離せば、ただ、じっと従順に、そこにいる。
足立は立ち上がり一歩、二歩と後ずさる。鳴上は何も言わないまま、その動きに合わせてついてくる。
「ちょ
……
ちょっと悠くん、
……
君さ
……
」
言いかけたところで、階段のコンクリートを踏む靴音が、確かに聞こえた。誰かが上がってきている。この階まで、あと数段。
(こんなとこ見られたら
……
!)
制服姿の男子高校生が地べたに座り込み、自分の足に頬をすり寄せている。対する足立は刑事。職業柄それなりに顔は覚えられてしまっている。
(死ぬ、社会的に
……
!)
「
……
ちょ、悠くん!立って!」
促すように声を張り上げると、鳴上はすっと立ち上がった。まっすぐ足立を見下ろしてくる。その表情は、命令を待つ犬そのもの。
「早く入って
……
!お願いだから
……
!」
足立は鍵を乱暴に回し、ドアを開けた。鳴上は一拍置いてから、静かに足立の横を通り抜け、音もなく室内へ入っていく。
そして足立は最後に周囲を振り返り──ちょうど階段を上がってきた同じ階の住人と目が合った。
「
……
あっ、ど、どうも
……
お、おつかれさまです
……
」
ぎこちなく会釈して、ドアを閉め内鍵をかけた。
「あっぶなぁ
……
」
ひとまず第三者に目撃されることはなかった。しかしまだ問題は一ミリも解決していない。
「
……
なにこれ
……
どうなってんの
……
」
ドアに寄りかかりながら、足立はため息を吐く。ふと部屋の中を見ると、鳴上は部屋の中央──テーブルの脇で、正座に近い座り方でちょこんと座っていた。足立をじっと見つめながら。
「
……
ちょっと」
返事はない。その代わりにぴくりと肩が揺れて、再び嬉しそうな視線が向けられる。キラキラと効果音がつきそうな、あの目。
「
……
君、マジでどうしちゃったの
……
」
ようやく足立は、これは冗談ではないと確信しはじめていた。
「
……
堂島さんに説明とかできないでしょ、これ
……
」
仮に「すいません、お宅の甥っ子くんがうちの前で犬になってました」と言ってもだ。心配されるどころか「お前がなに言ってんだ」で終わる。
いろんな考えが頭の中を駆け巡るなか、体の方はもっとシンプルな指令を出していた。
「
……
というか、お腹空いたな
……
」
部屋の真ん中に座って、じっとこっちを見てる鳴上に背を向けて、足立はそのままキッチンへ向かった。
「
……
一旦保留!腹ごしらえくらいさせてよね」
棚を覗く。何も考えず、手が食パンの袋に伸びていた。朝に食べるはずだったもの。結局食べずに出勤したせいで残ったまま。
「夕飯にパンって
……
まあ、今に始まったことじゃないか
……
」
電気ケトルの電源をつけ、トースターにパンを突っ込む。いつ買ったかも覚えていないバターは、かろうじて残っていた。
後ろから視線が刺さってるのは分かっている。でも足立はあえて振り返らなかった。
パンを焼きながら、ふと思う。
(いや、マジでどういう状況なのこれ
……
)
パンの焼けていく匂いだけが、妙に現実的だった。
◇◇◇
チン、と乾いた音がして、トーストが焼き上がる。
「お、できたできた
……
」
手元にあった皿へ焼きたてのトーストを乗せると、足立はバターの箱を開けて、ナイフを突っ込んだ。
「せめて焼き立てに塗るくらいはちゃんとしとこうねぇ
……
」
ぼそぼそ言いながら、バターをナイフで掬って──そのまま、トーストの上にぐりぐりと塗っていく。
「うーん、絶対これ塗りすぎだよね。でもまあ、いっか」
結局のところ、味が濃い方が頭が食べた気になる。それは足立の経験談だった。
皿を持ってテーブルへ移動し、端に置いて床に座る。横を見れば、鳴上は正座のまま微動だにせず、足立を見ていた。
「
……
ほんとに動かないな
……
ま、それはそれで静かで助かるけど
……
」
トーストをひと口かじる。バターの味が口の中に広がっていく。想像よりカリカリしていた。結構美味い。
そう思って二口目にかじりついた瞬間──とろけたバターがつたい、指を汚していく。
「あーあ
……
」
慌てて反対の手で拭うも間に合わず、指先がぬるりとする。
「だからトーストってあんま好きじゃないんだよねぇ、これがあるからさ
……
」
小さくこぼすように言った、そのとき。視界の端で、何かが動いた気配がした。
ふと顔を上げると、さっきまでテーブルの脇にいた鳴上が、いつの間にか少し距離を詰めていた。
足立が持っているトーストではなく──その指先をじっと見ている。
「なに、君も食べ──」
そう言いかけたときだった。
ぺろりと、柔らかいものが指先に触れた。舌だった。
「
……
は?」
戸惑う間もなく、もう一度。ぺろ、ぺろ、と湿った熱が指を這う。
ゆっくり、念入りに。まるで味わうように、拭うように。指先から付け根まで、丁寧に舌がなぞっていく。
「ちょ、ちょっと
……
っ!マジで舐めてる!?や、やめろってば
……
!」
咄嗟に手を引こうとした足立より早く、鳴上の手が、そっと足立の手首を掴んだ。
そのまま舌は、指の腹をなぞる。ぬるりと体温を残しながら、もう一度撫でていく。熱くて、湿っていて、生々しい。唾液がじんわりと絡みついて、舌の些細な動きさえ伝わってくる。
(
……
なに、これ
……
)
ただの指先なのに、まるでそこに心臓があるみたいに、じくじくと脈打つ。
やっとのことで手を引くと、鳴上は名残惜しそうに前のめりになる。けれど、足立が無理やり手をふりほどくと──ぴたりと動きを止め、その場に座り直した。
まるで叱られた犬のように。その目は、ほんの少しだけ潤んでいるようにも見えた。
足立は言葉を失ったまま、自分の手元を見下ろす。指先がぬるりと濡れている。そこに残っているのは、バターだけじゃない。
──誰かの舌の熱と、欲の痕跡だった。
呆然としながら、トーストが消えて何も乗っていない皿を見て、また自分の手に視線を戻す。じっとりとした熱が、指の内側にまだ残っている気がした。
口の中でバターの香りが残っている。けれど、脳裏にこびりついているのは──あの、舌の感触だった。
(
……
ぬるかった
……
舌、柔らかくて
……
って、なに思い出してんの僕
……
)
無理やり首を振る。と、同時に、なぜか脳裏に浮かんだ言葉があった。
──バター犬。
「いやいやいやいや
……
」
思わず声に出して否定した。今拭ってしまいたいのは、指先のぬめりじゃなく、脳裏に浮かんだワードの方だった。
ちらり、と目の端で鳴上を見る。手を引き剥がされた彼は、先ほどのことなどなかったかのように、静かに足立を見つめていた。けれど、まるで「次の命令は?」とでも言いたげな、待機姿勢だった。
(いや、ありえないって
……
引くわ
……
)
そう思いながらも、脳裏ではどこかで「そんなことができる状況が目の前にあるって、すごくない?」なんて好奇心が生まれていた。
(いや、ちが
……
え?いやでも、ちょっと待って?)
思考が迷路をぐるぐると回り始めるも、なぜかひとつの可能性へ引き戻されていく。まさかとは思うけど、仮に。仮にだ。──鳴上の自認が犬になってるこのタイミングで、バターを他の場所に垂らしたら、どうなったんだろう。
指先じゃなくて、もっと別の場所に。
「
……
いや、ほんと何考えてんの僕」
小声で吐き捨てて、手近にあったティッシュで指を乱暴に拭った。熱は拭えない。頭の中に残った言葉も、消えてくれなかった。
けれど足立の喉の奥は、いつのまにか乾きかけていた。口では否定しても、体のどこかが──あの舌の感触を、忘れられずにいた。
その発想は、ほんの出来心だった。思いついてしまった以上、止める理由もない。
ただちょっと、新たに焼いたトーストに多めにバターをのせて溶かし、手に取ったトーストを、うっかりズボンに落としてしまう。
「
……
うわ、やっちゃった。バターついちゃったなー」
ひどく芝居がかった独り言。
バターは狙い通り、ズボンに染みこみ始める。足立は、ごくりと喉を鳴らした。
(
……
これ、気づくかな)
口に出す間もなく、鳴上はすぐに足立の太腿の間に鼻を突っ込んでいた。鼻先を押し当てて、ふがふがと匂いを嗅ぎながら、布越しにぺろ、と──
「っあ、
……
やば、それ、やっぱやめ
……
!」
舌が触れた瞬間、意識より先に、腰が跳ねた。ぬるい湿気が、じわじわと布を透かして、肌の奥まで染みこんでいく。
(やば、これ、普通にえっちなやつじゃん
……
!)
善意、忠誠、好奇心──全部混ざった無垢のまま、ただ純粋に、そこにバターがあるからという理由で、ぺろぺろと、ぬるい舌が布越しに何度も往復していく。
「っ
……
、ちょ、
……
だめ、って
……
っ」
声に出しても、鳴上は止まらない。
足立は唇を噛んだ。自分の身体が、明らかに反応していることにも、もう気づいていた。
布越しでもわかる。そこに熱が集まり、皮膚がじわじわと敏感になっていく感覚。呼吸も、いつのまにか浅くなっていた。
(
……
これ、もう
……
邪魔だな
……
)
気づけば指が、ベルトの留め具にかかっていた。
「ぼ、僕が変態なわけじゃないからね
……
!」
震え混じりの声が漏れる。自分にすら通じてない言い訳。けれど口にせずにはいられなかった。
ベルトを外し、ファスナーをゆっくり下ろす。わざとらしくないように、けれど確実に、ズボンと下着を、腿の付け根が見えるくらいまでずらしていく。
目を逸らしてから、ぽつりと呟いた。
「
……
ほら、これで
……
濡れたとこ、ちゃんと拭けるでしょ
……
」
声が掠れていた。もう自分でも、なにを言ってるのか分からなかった。
けれど鳴上は、それだけで理解したように、ぴたりと顔を近づけ──すん、と鼻を鳴らす。そしてすぐさま舌を伸ばし、今度は直に、そこをぺろりとなぞった。
「──っぁ、
……
!」
熱い。生々しい舌の温度が、直接、肌に触れる。一度舐められるたび、身体の奥にじんわりと、熱が降りてくる。
ぺろ、ぺろ。鳴上は、ただバターを追うように、淡々と舌を這わせていく。
◇◇◇
「っ、ふ、あ
……
♡だめっ、そんな舌、
……
っあ
……
っ♡」
もう下着越しかも怪しい。下着の隙間を縫って、鳴上の舌は足立の敏感な部分を、じっくりと濡らし、ねぶるように動いている。何度も舌を押し当て、擦られ、びしょ濡れになったそこへ──ゆっくりと、円を描くような動き。
「っ、ぁ
……
っ?な、なん、か
……
っ」
思考の端がざわめく。最初はただ舐められているだけだった。バターの匂いに反応して、無心で舌を這わせてくる犬のような鳴上。けれど、今のこれは。
「っ、あっ
……
や、やば
……
なに、それ、
……
そんな舐めかた、
……
っん♡」
舌の圧が、リズムが、一定だったはずなのに、妙に緩急がついている。わざとらしくて、急に巧くなっていて。震える声で、思わず足立は呟いてしまった。
「
……
ゆう、くん
……
?」
舐める動きが、一瞬だけ止まる。けれど、返事はなく、すぐに動きは再開された。
「っぁ
……
っ♡、や、っ
……
ちょ、
……
ゆうくん
……
戻って、ない
……
?」
掠れた声に、もう一度ぴくりと反応する体温。やがて、動きを止めた鳴上が、顔を上げた。さっきまでの獣めいた気配は消えていて、その瞳はいつもの鳴上悠のものに戻っていた。
「
……
あだち、さん」
柔らかな声。返事をしようとしても、喉がひどく乾いていて、うまく返せない。
鳴上は少し間を置いて、まるで確かめるように口を開いた。
「
……
続き、いいですよね」
足立は言葉の代わりに小さく息を吐いて、顔を背けた。
それを許可と受け取った鳴上は、静かに瞳を細める。
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