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三毛田
2025-12-11 22:20:28
1068文字
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アドベント25
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11. 「好き」と呟くのに
11日目
伝わって欲しいでも同時に欲しくない
彼が好きだ。
無意識にその感情を抱いていたのか、それとも元々抱いていたものが育っていったのか。
理由もきっかけも思い出せないけれど、恋とはそういうものだという。
理解するのは難しい。己には縁がないものだ。そう思っていた。思い込んでいがゆえに、動揺が隠せない。
「好き」
隣からその言葉が聞こえて、動揺したのが悟られないかと一人ドキドキしている。
「うーん
……
こっちは嫌い? よくわからないや」
「な、何の話だ」
「これこれ! 貰ったいいところのクッキーらしいんだけどさ、俺はこっちの味は好きだけど、こっちの味はあんまり好きじゃないなって。だからといって嫌いって言うのもなんか違うなって」
「な、なるほど」
「丹恒も食べてみるか?」
「それならば、一枚」
「ほら」
自分で撮ろうとしたら、口元に差し出されて。勢いがありすぎて、一瞬体が勝手に反応して叩き落しそうに。
なんとかそれを我慢して、クッキーを口へと招き入れる。
「どうだ?
「確かに、人を選ぶ味だな」
「だよな~。パムの味に慣れてるからか? 高級お菓子って、個人的に口に合わない気がする」
「俺も似たようなものだな。パムの食事は口に合うが、高級店の食事はあまり合わない」
「一緒だ」
嬉しそうにニカッと笑い、パムが作っておいていったクッキーを手にして口へ。
笑えているかわからないが、自分なりに彼へとほほ笑みかけ。俺も、彼と同じようにクッキーを口へ運ぶ。
「うん! パムが作った方が美味しい」
「ああ。このほのかな甘さが好きだ」
「え? 俺のはかなり甘いけど」
「もしかしたら、俺とお前とでは甘さを変えているのかもしれないな」
「うわ。味がない」
俺のクッキーを差し出すと、目を丸くした後眉間にしわを寄せ。
「こちらは甘すぎるな」
穹が差し出したクッキーを食べるも、甘すぎてカフェオレを一気飲み。
「各自の好みに合わせて作っているということだな」
「うんうん。パムに感謝しないと!」
クッキーを口へ放り入れ、俺の肩にもたれかかってくる。
「こら。飲食するならきちんと体を起こせ」
「はーい」
彼が触れていた箇所が、ひどく熱い。錯覚だとは思うのだが、恋をしているというのもあるのだろうか。
「丹恒」
「なんだ」
「好き」
「ぇ」
耳元で囁かれ、そちらを振り向くと唇が押し付けられ。
「きゅ、う?」
「丹恒、お前が好き。クッキーよりも、ジュースよりも。多分、これが恋」
言葉に驚いて声が出せないでいると、また口づけられた。
もう親友には戻れない。
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