ひよこ
2025-12-10 06:19:41
1569文字
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安寧ホンのほんわかピュアサンルシストーリーを書こうとしてまた失敗しました

・研究所時代の話
・文字を書く事に熱中してた時の産物なので今なら書こうと思わなかっただろうなと思う程の謎作品(オチが暗い)

 最近、俺は絵を描く事が趣味になっている。きっかけは俺がメモ用紙の隅に描いた鳥達の絵だった。以前に白い羽と茶色い羽の二羽の鳥が戯れていたのを、畏れ多くもルシフェル様と俺のようだと例えてしまった。ルシフェル様は何も問題はないよ、と答えてくださったが。そんなやり取りを思い出しながらその二羽を描いたのだが、後でルシフェル様に見られてしまったのだ。ルシフェル様は俺が勉学の最中落書きをしてしまったことを嗜めるどころかとても上手だと褒めてくださった。私達に確かに似ているかもしれないね、と。嬉しかった。とても嬉しかった。

 その喜びがルシフェル様にも伝わったのか、次にお会いした際に絵を描く為の画用紙の束を頂いた。スケッチブックと言うらしい。俺は夢中になって絵を描いた。木炭で手が汚れる事を一切気にせず毎日絵を描く事に勤しんだ。そして、完成した絵をルシフェル様に見て頂き、感想を頂く。なんて幸福なのだろう。以前はルシフェル様が来ない日々を悶々と過ごしていたが嘘のようだ。一枚でも多くルシフェル様に俺の絵を見て頂きたいと夢中で手を動かした。

* * *

 絵を描き過ぎてスケッチブックで山が作れるほどになった頃、補佐官が中庭に訪れた。ルシフェル様が俺の描く絵が素晴らしいと言うから気になって見に来たとの事だ。ルシフェル様が俺を絵の事を他者に伝える程に気に入ってくださっている事実に胸を躍らせながら、描き溜めたスケッチブックの山を補佐官に紹介した。補佐官は俺が手渡したスケッチブックの一冊をパラパラとめくり始めた。その表情からは何も読み取れない。一通りめくり終わると別の一冊を取り、まためくり始めた。一冊、一冊と確認される。補佐官は何も話しかけてこない。段々と不安になってきた。

 最後の一冊まで見終わると、補佐官は突然高笑いを始めた。何がそんなに可笑しいのだろうか。俺が質問すると、笑って申し訳なかったが俺の絵は笑わずにはいられないとの事だった。俺の絵はどこか可笑しいのかもしれない。ルシフェル様はお優しいから指摘しなかっただけで。不安になり、どこが可笑しいか補佐官に伺った。補佐官は目を見開き、笑顔と言うには不気味すぎる表情をしながらこう言った。

「サンディの描いた絵、ルシフェルしか描かれていないんだぜ。笑わずにはいられないだろう!?」

一枚くらいオレを描いてくれたっていいのに、どれだけルシフェルに執着しているんだ、と補佐官は続けた。俺は持っていたスケッチブックを思わず落としてしまった。

* * *

 補佐官とのやり取りがあってから俺は絵を描く事をやめた。ルシフェル様以外を題材に絵を描こうと木炭を持った事もあったのだが、一向に手が進まなかった。木炭で汚れた手を見ると、今では自分自身まで汚れたようにも感じてしまう。そんな自分がルシフェル様に接する事でルシフェル様まで汚れてしまうのではと。

 ルシフェル様が中庭に訪れた時に絵について問われた。絵を描く事に飽きてしまったと嘘をつくと、また絵を描いたら見せて欲しいと一言だけ仰った。その時のルシフェル様の表情はいつもより少し寂しそうに感じられた。この表情を描きたいと欲望が湧く。ダメだ、俺は可笑しいとまた指摘されてしまう。そんな俺に接してくださるルシフェル様も可笑しいと評価されてしまったら申し訳ない。現に補佐官にはそのような事を言及されてしまった。これ以上ルシフェル様の評価に傷がついてはいけない。

 俺はルシフェル様が中庭を立ち去られた後、直ぐに今まで描いた絵を全て燃やした。全て灰になるまで瞬きせずに見届けた。これでルシフェル様の評価を汚す事はなくなる。良かった。本当に良かった。安堵しているはずなのに涙が溢れるのを抑える事ができなかった。




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