三毛田
2025-12-09 22:22:01
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09. 「友達」なら言えたのに

9日目
そういうこともあるけれど

「あ〜……クソッ」
「珍しく荒れているな」
「俺だって、機嫌が悪くなるときもあるんだよ。人間だからな」
 拗ねたように告げると、丹恒は目元を和らげ俺を見る。
 駄目だ。そんな表情を向けられたら、起こっていたのが馬鹿らしくなってきた。
「丹恒、わかっててその顔してるだろ」
 肘をついて、唇を尖らせる。
「さあ。どうだろうな」
 そして、優しい手つきで頭を撫でてきて。
……好き」
「それはよかった」
「本当だし」
「知ってる」
 ここが家だったならば、彼はキスをくれたかもしれない。
 まだ学校であることが、残念だ。
「友達以上恋人未満。って思われてるのすごく嫌だ」
「周囲には、そう思われているのか」
 そう。それが問題。
 その上、友達なら言えたことも、恋人になってしまえば簡単にはいかない。そんなことも多々あって。
「ままならないな」
「それもまた人生だ」
「何でそんな達観してんだよ」
 また拗ねた声が出てしまう。
「諦めなければいけない選択が、多かったからな」
……ごめん」
「それは、何に対しての謝罪だ」
「嫌なこと、思い出しただろ」
「お前がいれば、思い出したとしても悪いことばかりじゃない」
「丹恒って、たまにズルいよな」
「そうだろうか」
「そうだよ」
 また頭を撫でてきたので、自分から頭をその手のひらにグイグイ押し付け。
「もう帰ろう」
「三月と星を置いていくにはいかない」
「さっさと戻ってこいよ~」
 二人は委員会活動で、どうしても待っていてくれと言われたので教室で待っている状態。
 早く帰って丹恒とイチャイチャしたいのに~! っていう気持ちちばかりが強くなっていく。
「もうだいぶ暗くなってきたな」
「帰り道、ライトがないと真っ暗な道があるよな」
「だから、女子二人で歩かせるのは危ない」
「そうなんだよな~」
 ギシッと、背もたれに体重をかけたことで椅子が音を立てる。
「二人とも、ごめん! ようやく終わったよ~」
「お腹空いた」
 少々焦ったように教室に入ってくるなのと、腹をさすりながら入ってくる星。
「今日はグラタンだと言っていた」
「やった~!」
「パムのグラタンって、ホワイトソースから手作りだから美味しいんだよね~」
 鞄を持ち、教室を後にする。マフラーをしっかりまき直し、コートのボタンもちゃんと止めて学校を後に。
「丹恒」
「どうした?」
「好き」
 友達なら言える言葉もあるけれど、これは友達では言えないこと。
「俺もお前が好きだ」
「嬉しい。一緒に寝よう」
「いつも寝ているだろう」
 と苦笑。