微かな物音が聞こえた気がして、ウィンの意識はふわりと浮上した。
心地よい眠気がまとわりつく中でゆっくりと瞬きを繰り返し、再びとろりと閉じそうになる瞼を音の正体に辿り着いた思考が押し留める。うぅんと低く唸って長い手足を伸ばせば凝り固まった筋肉が柔らかくほぐれていく。伸びた腕を下ろすついでにサイドテーブルに置いたセルフォンを手に取った。
画面の眩しさに目をすがめれば金色のメダルを犬歯で噛みながら笑う濡れ髪の青年と目が合う。その隣には彼の頬に鼻を寄せている自分。笑うと盛り上がる頬と細まる目の中の黒目のきらめきを見るといつも画面の中の自分と同じ表情になってしまう。
まったりと口元を緩めながら視線をちょうど二人の額あたりに移すと、日没まであと数十分という時刻が表示されていた。
ベッドに入ったのは確か昼を過ぎたくらいだった気がする。夜勤明けにそのまま開店前の馴染みのタイレストラン、の裏手にあるシェフの家に寄り、親友の迷惑そうな揶揄いたそうな口ほどにものを言う視線を手で払いながら注文していた料理を受け取って帰宅した。開けてみればジョークの小袋も入っており、夜勤明けの胃袋にありがたく収めてから眠りについた。
普段なら二度寝をしてもう少しだけ睡眠時間を確保しておきたいところだが、ウィンにはもっと確保すべき時間があった。
指で目頭を擦りながらロック画面に溜まっているポップアップを一つずつ開いていき、有事が起こっていないことを確認してからもう一度サイドテーブルの上に置いた。そのまま指にぶつかったリモコンを手繰り寄せてエアコンに向かって下の矢印のボタンを二、三度押す。設定温度を下げられたエアコンが作動音を大きくして冷たい風を吐き出し始めた。
ウィンは寝起きの素肌に当たる冷気を心地よく感じながら、まだ夕日で目視ができる明るさの部屋に視線をゆっくりと巡らせた。
沢山のポップアップの中で今のウィンに必要なメッセージは一つだけ。二時間ほど前に送られてきていた「おれも今から帰る」というメッセージに既読マークがついたことをドアの向こうの相手はいつ気づくだろう。未読のままのメッセージと玄関の靴を見てウィンを起こさないように抑えられていたティームの活動音は、暫くしてドタドタと遠慮がなくなってから近づいてきた。分かりやすくて思わず喉の奥で小さく笑う。
ガチャリとノックもせずに開ける割には首から上だけ覗かせてこちらの様子を伺ってくる。
「あと三十分経っても起きなかったらベッドから蹴り落として起こしてたよ」
「物騒な男だな。なんでだよ」
「日が沈んじゃうだろ」
「沈んじゃまずいのか?」
「今日の日没までがクリスマスなんだよ、先輩」
黒髪のまるい頭がハキハキした口調で呆れているのに対して自分の口から出たのは少し舌ったらずな掠れ声で、その対比が面白くてじっとり見つめてくる目にニヤリと口角を上げた。
クリスマスの期限なんて気にしたこともなかった。ティームは割と博識だ。特にウィンが知らないシーズンイベントやロマンティックな方向には。
二十四日と二十五日、実家に泊まる、とティームが言ってきたのは十二月に入る少し前のことだった。だからウィンも早番と夜勤をシフトに入れてティームの帰りに休みを合わせて待つことにしたわけだったが。ウィンが思っていたよりも早い帰宅の理由に目はすっきりと醒めた。
いつまでも首だけをドアから覗かせているティームに、ポンポンと掛け布団を叩いて入室を促す。起き上がってこないウィンとその犬か猫を呼ぶような仕草にティームは一瞬もごりと口を動かしたが、素直に部屋に入るとパタリとドアを閉めてウィンの寝るベッドの側までゆったりと歩み寄った。ウィンは露わになったティームの全体像を目線で辿り、その顔が少し照れくさそうにしているのを見て笑みを深める。
ウィンが眠る前にリビングのクリスマスツリーの下に置いたプレゼントをティームは早速気づいて開けたようだ。パールホワイトに赤の縁取りがされたシルクのパジャマ。何かと小物が赤いティームにと選んだ色合いが、今日のティームには別の意味でもぴったりだった。
「ん」
掛け布団をめくり今度はベッドのシーツをポンポンと手のひらで叩く。少し身体をずらしたその場所はウィンの高い体温で温まっている。
「あ、色違い!」
ティームはベッドの中のウィンを見て、思わずふはっと照れ笑いをこぼしてから、すっかりシンデレラフィットするようになったスペースへするりと潜り込んだ。
擦り寄るティームとパジャマの肌触りが心地いい。いつも通り上半身は裸のまま、下はスウェットではなく裾に青いラインの入ったパールホワイトのパジャマを穿いて寝た。その足を赤のラインが入ったパジャマの裾に絡ませる。長い腕はティームを抱き込みながらこめかみに鼻先をつけて囁いた。
「おかえり、サンタクロース」
「ただいま。先輩もお疲れ様。それにプレゼントありがとう。このパジャマ、めっちゃスベスベして冷たくて気持ちいい」
合宿の引率の時にも持ってこう、とくふくふ笑うティームの動きに合わせて黒髪が鼻先をさらさらとくすぐる。洗いたての髪は嗅ぎ慣れたミュゲの匂いがして、吸い込めば瑞々しさに体内が澄んでいくようだった。ウィンを覚醒に向かわせた微かな物音はティームが自室でドライヤーを使っていた音か。普段は自然乾燥どころか水滴を垂らすことも今だに少なくない男の行動に、もう一度愛しさを込めてすんと鼻を鳴らした。
スベスベして気持ちいいという割にティームの手はパジャマではなくウィンの腰元をポンポンと労るように叩き、墨色の羽先を指の腹で撫でる。
ひとしきり思い思いに合流の喜びを伝え合い、黒髪の少し離れる仕草に腕の力を緩めれば、ティームの血色の良い顔がキラキラとウィンを見つめていた。カーテンが閉まったままの薄暗い部屋にあるベッドの中で見るには生き生きとしている。
「で、〝三番お嬢さま”へのミッションはどうだったんだ?」
ティームのしたいことを読み取って、ウィンが柔らかく問いかける。よしきたとばかりにティームの口が大きく開いた。
「大成功だったよ! プレゼントも喜んでたけどサンタさんが来てくれたーって父さんと母さんに嬉しそうに報告してた。何回も何回も言っててさ、分かったよって言ってもまたすぐに『ぴてぃーむ聞いて~』って」
「良かったな。結局あのトンチキなサンタのアレは着たのか?」
「トンチキってなんだよ。可愛かっただろ。着たよ、起きてる時に。本番はちゃんとした格好したけど」
ウィンはティームと出かけた先でどうしても買うと言って聞かなかったパーティーグッズを意気揚々と着たティームを思い描いて苦笑した。それは履くとサンタクロースに肩車をされているように見える着ぐるみで、足の長いティームが履くと珍妙さに拍車がかかる代物だった。安価だったのでウィンの前で試着した時点でサンタが項垂れていたのだが、それも思い出してくつくつと笑ってしまい、ティームに胸を小突かれた。
可愛いは可愛いでも、それそのものにではなく、はしゃぐティームが可愛いのだ。
「でさ、それはいいとして、先輩と選んだプレゼントもすごい喜んでたよ」
「おぉ」
「ポーチに仕舞えるものにしただろ? だから幼稚園に持って行くってきかなくってさ。母さんに園の門までねって諭されてた」
「そんなに気に入ってもらえたならリサーチした甲斐があったな」
見てきたことを思い出してか、ベッドの中で身振り手振り身体を動かしながら喋るティームに、ウィンも枕から頭を起こし手で支える。ティームの溌剌とした顔を見るにはこのくらいの距離がちょうどいい。
ティームと彼の実家へ遊びに行った時に一緒におままごとをして遊んだ。お出かけしますよ、と言った〝ママ〝が鏡の前でおもちゃのお煎餅を頬にポンポンと当て、アスバラガスを口にグリグリ押し付けている様子を〝パパ〟は見ていて、〝赤ちゃん”と自分たちの家に帰ってきてから『おままごと お化粧セット』とネットで検索を始めた。結構悩んだもんねと言いながらうんうんと頷く顔は達成感に満ちた兄の顔をしていた。
「『ひあうぃんありがとう』だってさ。トゥリーが」
十二月に入る少し前のこと。
ちょうどクリスマスプレゼントの目星がついた矢先に、母親との電話を切ったティームが言ったことはウィンにとっては懐かしい経験だった。
歳の離れたティームの妹が幼稚園の友達にサンタクロースの正体がパパとママだと言われてケンカをして帰ってきたらしい。去年までは漠然としていたクリスマスが、どんなイベントなのかを認識してとても楽しみにしていたトゥリーは「違う、サンタさんはちゃんといる」と泣きじゃくり、母親にクリスマスイブの夜はパパとママの手を離さないで寝ると言ってその日から眠りが浅くなってしまった。どちらか一方が夜中にトイレや水を飲みに起きると、その動きで起きてくるようになった。プレゼントを置けるかどうかよりも娘が眠れないことに気を揉んだ母親がティームにサンタ役を打診してきたのだ。
クリスマスと同様に〝普段は一緒に住んでいないけど会えば遊んでくれるウチのお兄ちゃん”として地位がやっと確立したティームは可愛い妹のことならば例え火の中水の中の勢いでウィンに相談を持ちかけた。
ウィンは遥か昔に五歳年下の弟が深刻な顔で問いかけてきたことを思い出した。いつもウィンと一緒に寝ていたウィウをその日は両親のところで寝かせて、面倒くさそうにする兄を引っ張って一緒に枕元にプレゼントを置いたのだ。勿論両親は寝てないし、ウィウも眠気の限界の中で薄目を開けてこっちを見てから寝落ちをしていたのを覚えている。翌朝プレゼントを手に「サンタさんとトナカイを見た!」とはしゃぐウィウをよそに、ワンとどちらがトナカイだったのかで揉めた記憶も鮮明に蘇ってきて、思わず笑って話しながらティームの申し出を快諾した。
そんなワンだって、ウィンの枕元にプレゼントを置きにきたことがあると知っている。兄は皆、自分がやってもらったことを下の子にしたいのだ。
「うとうとした頃を見計らって、そっと入っていったらバレないように薄目開けてるの。おれがじっと顔見たらギュッと目つぶってさ。あれって〝起きてたらプレゼント貰えない”って言葉が効いてるんだよね。目を瞑ったら眠いからすぐ寝ちゃったのも可愛かったよ。いっぱい遊んだし、安心したのかな、その後は起きてこなかったよ」
朝、腕にすっぽり嵌るぬいぐるみを抱えて起きてきたトゥリーが可愛過ぎて写真もいっぱい撮った、とティームは鼻息荒くウィンに言った。きっとあの日のウィウと同じ笑顔をしてただろう。
ティームよりさらに丸みと柔らかみを持った、あの部屋の写真の少年と良く似た女の子の顔を、目の前のくふくふ笑う男に重ねる。そして代わり、ではないが労りと愛しさを込めて形の良い丸い頭を手のひらで撫でた。
「ちゃんとミッション完遂出来て偉かったな、サンタさん」
「妙に鋭くて『ぴてぃーむがサンタさんなの?』って訊かれたから、おれの方が早く寝たんだよ」
「ふは、流石三番目。真ん中はいつも苦労するな」
何年経っても塩素に負けない滑らかな黒髪を撫でながら柔らかく同意を求めれば、まだ五年ほどしかたっていない新米の中間子が小さく瞬きをして大人しくなった。うん、と頷く声に、ウィンは手を頬に下ろして親指で目元を優しくさすってやる。その目はもう悲しい涙は流れず、違う感情で暖かく満ちていた。今度は猫のようにゆっくりと瞬いてから、ウィンの手に白いまろやかな手を重ねた。
「
……あとで写真と動画、見せるね。おれ達からのプレゼントで遊んでるところも撮ってきたから」
「楽しみにしてる」
自ら手のひらに甘えにくるティームにウィンもひっそりと返す。穏やかな口調に含まれたものが何か、分かっていると含ませて応えれば、ティームもちゃんと受け取った。
「あと、トゥリーがサンタさんに用意したクッキーとホットミルクも。可愛かったから撮ってきたよ」
「ちゃんとサンタが食べてきたんだろ」
「もちろん。母さんとアイシングしたんだって。ジンジャーブレッドマン。ホットミルクも自分のお気に入りのマグカップで用意してくれてさ。良い子すぎてもう一つくらいプレゼント置いてきたかったよ」
ティームが話を続けながら、握ったウィンの手から腕のタトゥーに指を伝わせる。ウィンは自身の頭を支えていた手を枕に押し付け、ティームの方へと身を乗り出した。二人の間に起きた布ずれの音に、あ、とぽってりとした唇が薄く開くと、先程よりもはっきりと意図を露わに囁いた。
「あとで
……見せるからね」
学生時代の自分なら「じゃあ先に何がしたいんだ?」なんて揶揄ってティームにじっとり睨まれるのを楽しんでいただろう。何度も何度も繰り返されるティームとのやりとりも年を重ねるごとに少しずつ変わっていく。今は何も言わず合わせていた目をゆっくり伏せれば見つめる先の唇がゆっくりと近づいてきた。
背中に回した手のひらがシルクの滑らかさとその中にある鍛えられた背筋に触れると同時に、唇にも同じくらい心地いい柔らかな唇がふにりと押し当てられた。力を抜いて柔らかく開く隙間に舌先を滑り込ませて温かな咥内をくるりと巡れば、覚えのある甘さを味蕾が拾った。すっと顎を引くと食いしん坊の愛嬌にしてはいくらか色が乗っている舌が自身の唇をペロリと舐めるのが見えた。
「先輩の部屋に来る前に最後の一個を放り込んできた」
「どおりで甘いわけだ。まさかあの量を全部食ったのか?」
「そうだよ。だってあれは先輩がサンタに用意したんだろ。だったら全部食べなきゃ」
それがサンタクロースの心得だとばかりに、目と鼻の先でティームがあーんと空に食らいつく。色気の際に居ても食い気はいつでも忘れない。絶妙なパワーバランスを唯一無二の魅力にするティームをウィンは心の底から愛しており、腹の底からぶわりと熱が上がってきた。
「運動前の腹ごしらえには足りたか? 途中で補給出来ないぞ」
「
……ウィン先輩さぁ」
揶揄うことは少なくなったと思っていた舌の根も乾かぬうちにまだまだ健在なウィンの厄介な口先はティームの目をじっとりと細めさせた。図星を含ませたため息の最後を掬い上げるように唇を合わせて吸い込む。鼻から抜けた低い抗議の唸りはすぐに笑いに変わり、甘くなる。
ティームの口の中が本来のティームの味だけになる頃、捕食の楽しさに自然と口角を上げたウィンは唇を離すと額をこつりとぶつけて囁いた。
「それで、食べた分のプレゼントは貰えるんだよな。俺のサンタクロース」
だいぶ熱を含み始めた声色が語尾を震わせながらもまだ軽口を叩く。腕をウィンの首に回していたティームは合わせた額を顎を上げて押しのけて、火照った唇でウィンの鼻先を文字通り食べた。どうせなら首や鎖骨に吸い付いて欲しい強さで、ぢゅう、ちゅぱっと吸い上げられて、思わず「痛ぇっ」と抗議の声を上げる。そうだった。ウィンの目の前にいるのは、小動物ではなく一丁前の猛獣だった。ウィンがただ捕食しているだけで。
その黒い獣は、うっとりと目を細めながら、ブラウンに色が落ち着いたウィンの後ろ毛を愛おしそうにくしゃくしゃと掻き混ぜて得意げに鼻を鳴らした。
「おれがプレゼントをあげない年はあったかな。おれの赤鼻のトナカイさん?」
腹の奥からわきあがった熱に、楽しさと愛しさと、何もかもが混じり合ってティームに向かう。ぎゅうと抱きしめたティームからも似たものを受け取って、ウィンの今年のクリスマスが始まった。
ウィンとティームにとってのクリスマスは、あのヤドリギに見立てた野菜の下でキスをした時から一年の中でも特別な日になっていた。だが付き合ってからというもの一緒に過ごすことが一年の中でも難しい日の一つになった。とウィンは思っていた。
思っていたのはティームも同じだったようだが、留学した年のクリスマスにサプライズで渡英してきて全く暖まっていないフラットの部屋で抱きついてきた豪胆な恋人は、社会人になった年にはチェックイン客で混雑しているホテルのロビーに大学帰りのジャージ姿で現れて、荷物を押し付けながらルームキーを目の前にちらつかせてきた。そんな事をされたら終業間近のベルボーイはたまったものじゃない。部屋に荷物を運び入れ、そこから丸一日その部屋から出ることはなかった。
思えば最初のクリスマスからして野菜を持ち歩き相手の気を引くためにロマンスを持ち出したのは自分だったが、誘ってきたのはティームだった。最初から、ウィンのクリスマスはティームのものだった。
先輩が動けないならおれが動く、と言ったティームの胆力にウィンの心はいつだって攫われる。
今年だって新たに家族への〝サンタ業”があったのに、ウィンにクリスマスを届けにきた。ウィンが寝る前にプレゼントと共に用意した山盛りのミンスパイと酔わないようにほんの少しだけグラスに入れたブランデーをきっちり食して、プレゼントを持って寝室へ。
「ね、ウィ、せんぱ
……もう、脱ぎたい」
「駄目。まだそのままで」
「くそっ、も、ぐちょぐちょじゃん
……ぁ、あっ」
ティームの熱で温まったシルクのパジャマとウィンの熱で高められたティームの、最高に触り心地の良い組み合わせにうっとりと身も心も浸らせて、日がとっぷり沈んだ後も暫くウィンはプレゼントに夢中になった。
リビングにある大きな壁掛け時計の針は、二十六日に差し掛かっている。
予定が大幅に後ろにずれ込んだが、パームの店から引き取ってきたクリスマス特別メニューをテーブルに広げると、すっかりカロリーを消費し切ったティームが喜びでスプーンとフォークを持った手を万歳させた。
てらりと艶めきハーブとにんにくの匂いが魅力のローストチキンにはホクホクとカリカリのポテトやとうもろこし、パプリカがチキンの脂をたっぷり吸って添えてある。サラダはヤムウンセンと生野菜にティーム好みに調合されたナムプリックとバーニャカウダソースの二種類が用意されていた。バケットはウィンの勤務するホテルのブーランジェリーのものだ。スープボウルにはパイ生地が被さったオニオングラタンスープが。冷蔵庫にはチョコレートとコーヒーの風味が香り高いオペラケーキも入っている。
ウィンがキッチンから次々と運んできたそれらは彼の目には宝石のように輝いて見えるだろう。ウィンが席に着いた瞬間に「いただきまぁす!」とスタートを切った。こんな時間だからアルコールはやめたものの乾杯くらいはしろよ、と思いつつティームのカロリーを消費させた張本人はその自覚があるのでフレーバーウォーターの入ったグラスに大人しく口を付けた。
カリカリしてるのは先輩にあげる、と皿に置かれたポテトをフォークで突き刺し口に放り込んだタイミングで、ふと視界の端に違和感を感じて視線を動かす。
クリスマスツリーの足元に金色のリボンがついたコバルトブルーの箱がちょこんと置いてあった。
「ティーム」
呼びかけにチラリと目を上げたティームは、ウィンの目線の先が何かわかり、あぁと口からチキンが溢れないように呟いた。
「ウィン先輩へのクリスマスプレゼントだよ。あとで開けてみて」
片頬にリスみたいに押し込んで、それでも咀嚼をやめない食いしん坊に、ウィンはてろりと崩れそうになる表情を誤魔化すように首を横に振ってから、同じく大きな口でジューシーでほろほろと柔らかいチキンをがぶりと頬張った。
参った。本当に。やみつきだ。
この若きサンタクロースは、どこまでもウィンを驚かせ魅了するクリスマスの過ごし方を心得ている。
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たぬさん(X:tanukotai00)ありがとうございます
素敵素敵なイラストをいただきました\(^o^)/
お揃いパジャマのWTと職場に突撃してくる男前な恋人と、可愛いみんなの末っ子ちゃん動画を見返すWTたち。宝物!