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望月 鏡翠
2025-12-08 00:07:52
904文字
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日課
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#1932 ミノーフィッシュの男たち10
#毎日最低800文字のSSを書く/我らが王の身罷りて 二次創作
うまくいかなければ、状況に応じて別の手を取るつもりでいる。不測の事態は常に起こる。完璧な計画などあるわけがない。
しかし、目的に辿り着くまでの道中に、一体どれほどの数の死の口が開いているのだろう。間違えたら死ぬ選択を、この先ずっと続けていくのだ。
「トルガ様、今日はどなたと楽しまれたんですか?」
御者席から全く的外れな言葉が聞こえた。
気を紛らわそうと冗談を言うような気が聞くタイプではないから、トルガの悪態が聞こえていたら声をかけては来なかっただろう。と言うことは、馬車の中の声は聞こえていなかったはずだ。
返事をするのも面倒で、馬車の中で目を閉じた。
目を覚ましたのは、カーテンの向こうから差し込む朝日が瞼を刺したからだ。
御者窓を開ける。
「起きてるか?」
エリセオの後頭部に声をかけた。
「あ、寝てるわけないじゃないですか。疲れましたよぉ」
実際、疲れ切っているらしかった。
無理もない。寝ずに半日ほど馬を操り続けているのだ。
「途中の宿場で馬を変えました」
「よし。無事に着きそうだな」
「少し休んじゃだめですか?」
「駄目だ。着いてからにしろ」
厳しい口調で命じると、悲鳴のような呻き声が聞こえた。可哀想だが仕方ない。
宿に着いたらいくらでも柔らかいベッドで寝てもらうことにしよう。
「眠くならないように、話し相手になってくださいよ」
「
……
いいぜ」
玉の輿を狙うメイドと、叛逆を企む家令と、身分をわきまえない侍従。今、自分の元にいるのはそれだけだ。
そう思うと頭が痛くなる。折角命をかけたのだから、ジョアンが少しくらいは靡いてくれるといいのだが。
エリセオにもいずれ、身分を弁えた振る舞いを学んでもらわなくてはいけないが、少なくとも今取り組むべき問題ではない。
概ねの不敬もそれで許していた。
そのおおらかさがエリセオからの好意を引き出し、何も言わずに協力してくれているということもわかっていたからだ。
「トルガ様はなぜミノーフィッシュなのですか?」
「なぜ
……
?」
「リュネストの人なのでしょう?」
理解できない言葉に、トルガはしばし声を失った。
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