三毛田
2025-12-07 21:45:17
1084文字
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99 099. 薔薇の下で君が笑う

99日目
酷く眩しい

「丹恒、こっちこっち!」
「落ち着け」
 薔薇で彩られたアーチの下。
 手を振りながら、笑顔で俺を呼ぶ穹。
 電車を乗り継ぎ、有名なフラワーパークへやって来た。
 所謂デートというやつ。
 穹の様子を収めてきてくれと言われ、三月に渡されたカメラで彼を撮影する。
 彼女ほど上手くはないけれど、俺なりに満足するものが撮れている気が。
「写真を撮るなら、二人で撮ろうぜ?」
 俺の手からカメラを取り上げ、スタッフにお願いしている。
 せめてこちらの返事を聞いてからにして欲しいんだが。
 男同士だからと厭うことはなく、スタッフは写真を撮ってカメラを返してくれて。
「ありがとうございます」
「いいえ。楽しんでください」
「はい! ありがとうございます!」
 穹は、笑顔でお礼を告げる。
 多分、一般人だったら彼の無邪気な笑顔に釘付けになっていただろう。
 相手がスタッフでよかった。
「嫌だった?」
 少し離れた場所にいあるベンチで写真を確認していると、そう問いかけてきて。
 その顔は、若干不安そう。
「嫌だったら、お前の手をとっくに振りほどいていた」
「たんこ~! へぶっ」
 勢いよく飛びついてこようとしたので、顔を掴むと変な声。
「ここは外だ」
「知ってる!」
「家と同じ動きをするな」
「はーい」
 素直な返事だが、本当にわかっているのだろうか。
 彼だけじゃなく、三月や星も素直に返事をするけれど理解しているのか不明な時がある。
「丹恒」
……
 しょんぼりした表情を向けられると、無意識に甘やかしてしまいそうになって。
 だが、ここは外。人目が多い。
「家に帰ってからだ」
「でもさぁ」
「なんだ」
「丹恒って、自分の見た目に無頓着だよな」
「今の会話に関係があるのか、それは」
「あるよ。だって、丹恒はかっこいいからさ。他の人が、お前の事を振り返ってでも見ようとするし」
 それはお前もだ。
 と言おうとして、グッと我慢。悟られたくないとかそういう問題ではなく、話しがそれてしまいそうだから。
「それがどうした。今は関係ないだろう」
「むむむ……俺は、丹恒が俺の彼氏だって主張したいんだよ」
「しなくていい」
「やだ! 無意味な嫉妬をしたくない!」
「嫉妬……するのか」
「するよ。俺も人間だし」
 驚いた。
 嫉妬とかの感情とは無縁だと、勝手に思い込んでいたから。
「好きな人が自分以外に注目されていたら、誰だって嫉妬するだろ」
……そう、だな」
 俺も密かに嫉妬していたりするから、素直に頷く。
「だろ?」
「だが、それは説明にはならない」