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匣舟
2025-12-07 01:58:25
1586文字
Public
RKRN
あたたかな温もりに包まれて
ショートショートの仙乱です。
もこもこパジャマを着るふたりの話です。
仙蔵と乱太郎が一緒に住んでいる部屋では、冬になると必ず二人がする服装があり、それが冬の風物詩となっておりこれを着ると冬が来たなあ。という感じがすると乱太郎は思っている。
「ふうぅ~。いい湯だったあ~!」
脱衣所からほかほかと湯気を体から放出させながら出てきた乱太郎はもこもこのクマのパジャマを着て、そのまま冷蔵庫に行ってその中で冷えていたお茶をコップに入れて飲んだ。あ~おいしいぃ~。と色気のない声を出す乱太郎の背後に、先に風呂から上がっていた乱太郎と同じ格好をした仙蔵が近付き、彼の首に両腕を回した。
「乱太郎。」
「はあい。」
「
…
髪を乾かしてくれないか?」
仙蔵はそう言うと乱太郎の頬に口付けた。乱太郎は仙蔵さん、まだ乾かしてなかったんですか?もう、しょうがないなあ。と返事をすると、ドライヤーを持ってきて彼の髪を乾かした。
仙蔵の髪は長いので乾くまで時間がかかるけれど、乱太郎はこの仙蔵の長い髪の毛を乾かすのが好きだった。艶々の髪は絹糸のように指通りが良くて、触っているだけで乱太郎が幸せになるからだ。
乱太郎の梳く手が気持ちよかったのか、仙蔵はソファーに背を預けて微睡んでいる。そんな仙蔵の様子に、乱太郎は微笑むと、丁寧に髪を乾かし始めた。最初はぶわりと音を立てていたドライヤーの音も終わりに近付くにつれ静かになって、ついには消えた。乱太郎は最後に櫛で仙蔵の髪を丁寧に梳いてやった。
仙蔵の髪を梳くたびに自分と同じシャンプーの匂いが乱太郎の鼻を掠めて、なんだか幸せな気持ちになった。仙蔵の髪を梳き終わると乱太郎は仙蔵に声を掛けた。
「はい、仙蔵さん、終わりましたよ。」
そう言って乱太郎が気持ちよさそうに目を細めている仙蔵を優しく揺さぶると、彼は目を開けて、ありがとう、乱太郎。と言って乱太郎の首筋に顔を埋めた。乱太郎はそんな仙蔵の頭を撫でてやりながら言った。
「もう眠くなっちゃいました?」
乱太郎が問いかけると、仙蔵はうつらうつらしながら少し
……
。と答える。
「じゃあもう寝ましょうか。ベッドに行きましょう?」
乱太郎が促すと、仙蔵は素直に起き上がり、二人は手を繋いで寝室へ向かった。既に布団乾燥機によって温められていた羽毛布団に潜り込むと、お互いのもこもこパジャマが触れ合い、柔らかな感触が広がる。
「
…
乱太郎
……
明日は何をする?」
仙蔵が目を閉じたまま尋ねた。声には微睡みが混ざっていて、いつもより少し幼く聞こえる。
「ん~そうだなぁ
……
。何がしたいですか?仙蔵さん。」
乱太郎は彼の額に口づけながら応えると、仙蔵は小さく目を閉じながら笑った。
「
…
らんたろうと一緒に過ごせるならなんでもいい
…
。」
仙蔵の甘えたような声に乱太郎は心臓がぎゅっと掴まれるのを感じる。嬉しさと愛しさで胸がいっぱいになる感覚。乱太郎はその思いを噛みしめながら答える。
「もう!じゃあ明日は二人でのんびりしましょう?ゆっくり朝寝坊して、それから一緒にパンケーキ焼いて、映画観たりして
……
そ
れからその後は仙蔵さんがしたいこと、全部しましょ?」
乱太郎がそう言うと、仙蔵は満足げに頷いた後、乱太郎の胸に顔を擦り寄せた。
「
……
うん、そうしよ
…
う。」
仙蔵の寝むたそうな声が聞こえたまたすぐに、規則正しい呼吸音が耳元で聞こえ始める。その寝息に乱太郎はそっと微笑んで彼の寝息に合わせるようにリズムよく彼の背中を軽く叩いた。
「おやすみなさい、仙蔵さん
……
だいすきですよ
…
?」
しばらくして、仙蔵の体温と柔らかな毛布の中で、乱太郎にも眠気がやってくる。乱太郎は仙蔵の隣で瞼を閉じながら、これからもずっと、こんな穏やかな日々が続きますように。と願った。そして、隣で眠る愛しい人の存在を感じながら、彼の髪に唇を落とし、そっと目を閉じたのだった。
了
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