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望月 鏡翠
2025-12-07 01:00:50
932文字
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日課
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#1927 ミノーフィッシュの男たち5
#毎日最低800文字のSSを書く/我らが王の身罷りて 二次創作
トルガを拾った女性は、妙齢の頃に夫と死に別れた未亡人だった。
夫の亡き後、家の資産をうまく動かして、残された家族と家を支えた。息子よりも年下を好む少年趣味はともかくとして、それ以外の部分は尊敬できる人だった。
そこで部屋付きの楽師として、彼女を楽しませた。彼女の家にはたくさんの商人が出入りして、あれやこれやを売りつけようとしていた。
女主人は流行に敏感で、しかも物の価値に厳しい人だった。
同じようなものを商っていても、手に取ってもらえるものともらえないものがある。
彼らのやり口と目利きは、そこで培った。
彼女は見る目があったのだ。彼女が見出したのだから、トルガの音楽の才能も本物なのだということもその時に自覚した。
貴族の生活を始めて垣間見た瞬間だった。
居心地は良かったが、永遠に過ごすことができる場所ではなかった。彼女の愛人に大人の男はいないというのは、そういうことだろう。
母のところを離れたときから性徴は始まっていて、体はどんどんと大人に近づいていく。
次に生きる場所を、トルガは商人の中に見出した。
自分で言うのもなんだが、口は上手い方だ。それに同じ商人なら、人は気に入った人間から買う。人に気に入られるのは得意だった。
弟子として支持するにしても、できれば自分のことを快く思ってくれる人の元が良かった。相応しい相手を見定めるべく、彼女を訪れてくる商人に愛想よく振る舞った。
扱っている商品はどんなものなのか。どんな服装をしているのか。屋敷を訪れるときに使っている馬車はどんなものか。彼らの靴や身だしなみ。
これという人を見出して、自分を売り込みに行った。
「どうしてお前なんかを雇わなくちゃならない」
商人は当然の疑問を投げかけてきた。
「俺は、顔がいい。貴族の女に好まれるだろ? だから俺が話した方がきっとよく売れる」
帰ってきたのは、苦笑いだった。しかし、結果としてトルガは彼の元に迎え入れられた。彼には家を継ぐべき子供がいたが、実の子供達は家業に対して熱意はなく、仕事を覚えて実務的な部分を支えてくれる秘書を必要としていた。
その役目を果たしてくれるならと、彼らはトルガに仕事を教えてくれたのだ。
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