happasent
2025-12-07 00:05:12
1591文字
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連れエピ 朔弥


そこにあったのは過去の貴方の貴方達の絵画だった。
穏やかな西日が差し込む中で貴方と幼い朔弥はパズルに夢中で、それを貴方の姉が穏やかな笑顔で眺めていた。

その更に後ろには貴方の両親と朔弥の両親が談笑をしていて、貴方が過ごしたありし日の光景を遠巻きに見つめているようだった。

「まどか!ここにはこれだ!」
「さっくん、それは形が逆だから嵌まらないよ」
「やったらハマるかもしれないじゃん!こいひねーちゃんはみてなって!」

貴方の姉がその言葉に困ったように笑い、合わないピースを変に嵌めようとする朔弥を貴方が止める。

遠い遠い昔の、なんてことのない幸せな1ページだった。






それは夕暮れ時だった。
夕日に照らされた道路を貴方と朔弥が自転車で共に走っている。

この光景を貴方は覚えている。小学三年になる少し前の話だ。
この日は朔弥の誕生日。子供達の誕生日は二人の家族総出で祝うのがいつもの事で飾り付けの準備がある為、君達二人はその間少しだけ遠くの公園まで遊びに出ていた。

「やっぱあの公園はあの回るやつがいいな!あとは長い滑り台でもあればカンペキなんだけどな!」

そう言う朔弥の笑顔は公園が楽しかったと言う笑顔より、これからの誕生日会の方を楽しみにしているような笑顔で、貴方も少し笑ってしまう
ただ、貴方が覚えているのはこの笑顔ではない。

少し進んだ先、渋滞と人の多さが目立つ場所がある。
警察と救急車も来ているようでサイレンが嫌にうるさい。
貴方たちは自然とその光景に目を取られる。
トラックにぶつけられた車が、まるで銀紙のようにフロントが潰れている。
運転席に乗っていた人間は助からないことくらい、子供の貴方にもわかった。

しかし貴方、いや貴方たちにとって最も衝撃的なだったのはその車か『見慣れている車』であったことだ。

「あれ……俺の家の車だ





薄暗いその絵は、よく見ればリビングだった。
電気も付いていないリビングの机の上にはいくつか物が並んでいる。
消費期限が切れたせいで異臭を放つようになったケーキ。
冷め切っていて、いくつかはもう食べることも出来ないであろう料理の数々。
ぐしゃぐしゃになって、面影は見ることも出来ないラッピングされた誕生日プレゼント。
そして、その場には似つかわしくない白い箱。

朔弥はそれらを虚な瞳で眺めていた。
彼がフォークを取り出して、切られてすらいないホールのケーキの欠片を切り出すとそれを口に含む。

酷い味と匂いが彼を犯し、吐き出しそうになるのを堪えて無理やり胃に押し込む。
そうしてまた一口、また一口と、それを五回繰り返した後に耐え切れなくなって吐き出した。

戻したそれに、ケーキと胃液以外は含まれていない。
それを見つめながら、彼は葬儀の最中ですら流さなかった涙でケーキを崩しながら、惜しみもなく大声で泣き始めた。






「将来は宇宙ひこう士かパイロットになる!」
「おー!いいじゃん!」

幼い貴方と朔弥が、貴方の部屋で紙を見せながら笑い合っている。
その紙には『しゅくだい:しょうらいのゆめ』と大きく書かれていた。

「さくやは何にしたの?」
「おれはこれ!せいぎのみかた!」

そう宣言した朔弥の紙には枠線をはみ出すくらいデカデカと「せいぎのみかた!」と書かれていた。

「なぁに、それ」
「なんでもいいんだ!けいさつでもしょうぼうしでも!なんかひとを助けるしごとしたい!」
「ふーん、いいじゃん!」

それを聞いた朔弥は楽しそうに笑うと何かを思いついたのか、その紙に新しく綴り始めた。

「おまえが空にいるなら、おれはこれになってやらなきゃな!
そらでもうちゅうでも、おまえが迷わないように!」


『正義の味方』の下に新たに書き加えられたその言葉は、一体なんだっただろうか