三毛田
2025-12-05 22:35:20
1077文字
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97 097. 二人分の温もり

97日目
嬉しいけれど、枕にするのはやめてほしい

……
 俺、いつの間に寝ていたんだろう。
 動いたら、何か落ちた。丹恒の上着だ。
「ん……
「んぅ……きゅ~、それ、ウチの~」
「ふた、り……騒ぐ……ぐぅ」
 丹恒となのが、俺の両隣で寝言を呟いている。なんだこの可愛い生き物たち。
「ふふ。両手に花かしら?」
「姫子。二人はいつから?」
 コーヒーカップを手に、微笑ましそうな表情を浮かべる姫子に小声でそっと訊ねる。
「あんたが寝て、ちょっと経ってからよ。三月ちゃんが最初に座って、その後丹恒が三月ちゃんに毛布をかけて、あんたに自分の上着をかけたの。よかったわね」
 それを聞いて、丹恒は寒くないのかな? って思って彼の上着をかけ直す。
 二人を起こさないように動き、トイレに行って帰ってきてから軽く体をほぐして。
「っと」
 俺がいなくなったことで、二人とも頭をぶつけそうになっていた。
 慌てて手で支える。
……きゅ、ぅ?」
 まだ眠そうな声色で、丹恒は俺を呼ぶ。
 胸にキュンてきて、ギュンってきた。下半身に。
「おはよう、丹恒。起きるか?」
「ん……
 珍しく寝起きがイマイチなのか、俺の手に頬を擦り付けてくる。
 可愛いけれど、なのの頭を支えているから起きて欲しい。
 姫子になのを任せたくて振り返るけれど、既に姿はなく。
「丹恒、頼むから起きてくれっ」
「んんぅ……
 彼は再び眠ってしまった。
 俺の手には、二人分の温もり。
 嬉しいのだけれど、だんだん腰もつらくなってきたから正直起きて欲しいのが本音。
「ん~! 久しぶりに昼寝しちゃった。あれ? 穹?」
 床に膝をついてソファーに上半身を倒し、うなだれている俺を不思議そうに見てくるなの。
「おはよう、なの。起きてくれて助かった」
「ウチ、何かした?」
「ううん。二人とも、寝顔が可愛かったな~って」
「もうっ。涎、垂れてなかったよね?」
「うん。そこは大丈夫」
 可愛かった。可愛かったけれど、俺の手を枕にしていたのは大変だった。
 未だ丹恒は寝ているから、まだまだ支えていなくちゃいけないし。
「丹恒、まだ寝てるんだ。珍しい」
 意外。と口にし、手鏡を出して髪の毛を直す。
「やっと片手が空いた……
「ごめんって。じゃあ、ウチは部屋に戻るね」
「おやすみ」
「まだ寝ないって!」
 俺が寝る挨拶をすると、頬を膨らませ。ちょっとだけぷりぷり怒りながら部屋へ戻っていく。
「丹恒、起きてるんだろ」
……さっき起きたばかりだ」
 俺が指摘するけど、ちょっと不機嫌そうな声を返すだけ。
「ちゅーしていい?」
「駄目だ」