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みずあめ
2025-12-05 17:56:15
2253文字
Public
rkrn
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久々綾
綾部女体化の音大パロ(これ→
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=23259119
)の付き合った後の久々綾と四年。四年全員女体化ですが一人称変更以外は名前など全てそのままです。全て雰囲気で読んでください。
「定番なのはやっぱりハンドクリームじゃないか? 出し過ぎちゃったと言って先輩の手を握ればいい」
「二人ともピアノ科なんだから寒くて指が動かないって言って先輩に温めてもらうのはどうだろう」
「え〜、やっぱり素直に手を繋ぎたいって甘えて言うのが一番じゃない?」
「
……
喜八郎、これってなんの話し合いなんだ?」
「しらなぁい」
頬杖をついたわたしに、一人だけ首を傾げている守一郎が聞いてきたけれど、わたしだってなんでこんなことになっているのか聞きたいくらいだ。
キッカケは、わたしと久々知先輩が手を繋ぐところを滝夜叉丸に見られたことだった。久々知先輩はいつもわたしのこと大好きって目で見てくるくせに、告白した時にぎゅーってしてくれて以来、全然わたしに触れようとしなかった。わたしは好きな人とは手を繋ぎたいし、先輩とだったらキスだってしてみたいのに。
だからもう自分からいっちゃえって思って一緒に帰るため隣を歩いていた先輩の手をがしっと両手で掴んでみた。だけど先輩は目をまんまるくしてわたしを見つめて固まり、わたしはわたしでこれなんか違うかも?と首を傾げた。
そこにタイミング悪く通りがかった滝夜叉丸が、久々知先輩に「すみません、ちょっと失礼します!!」と言ってわたしのことを引っ張っていき、仲の良い三木ヱ門、タカ丸さん、そして守一郎に召集をかけて今に至る。いくら試験が終わったばかりだからってみんな暇人なの? せっかく今日は久々知先輩と一緒に帰れる日だったのに、ここまで場を整えられると簡単には抜け出せなかった。
「守一郎は何か良い案はないか?」
「ええと、ごめん、まずなんの話?」
「なんだ、聞いてなかったのか。喜八郎と久々知先輩がどうやったら自然に手を繋げるか、という話だよ。喜八郎は彼氏ができたのは初めてだろう? 私たちで知恵を貸してやらないと」
「まあ初めてだからこその初々しい感じもわたしは好きだけどね。久々知くんの方が年上だし、リードしてもらうのもいいと思うなぁ」
「悪く言うつもりはないが、久々知先輩は奥手過ぎないか? 慎重なのはいいけれどまだ手も繋いでいなかったなんて
……
」
「本当に信じられないほど清い付き合いをしている
……
!」
「あ、ねえねえそういえば三木ヱ門の彼氏ってさぁ」
盛り上がる四人を放置して、わたしはスマホを取り出しメッセージアプリの先輩とのトーク画面を開いた。すこし前に『どこにいる? 俺はまだ校内にいるけど、お友達とどこか行くようだったら連絡してね。俺と帰るのはまた今度でも大丈夫だから気を遣わないで』と連絡が来ている。優しいところだって好きだけれど、久々知先輩はもっとわたしと一緒にいたいとか、思わないのかな。
『カフェテリアにいます。わたしは久々知先輩と帰りたいけど、先輩は?』
すぐに既読がつく。それなのにしばらく待っても返信はなくて、わたしはため息を吐きスマホをカバンに放り込んだ。
「喜八郎、お前の話だぞ、聞いているのか」
「聞いてないよ」
「そもそも久々知先輩とどこまで、っ!」
「まだ手すら繋いでないのにどこまでもなにもないでしょ。先輩、ピアノバカだからあんまりそういうことに興味ないんじゃない」
「き、きはちろう、ちょっとストップ」
「なんですか? そういえばタカ丸さんは昔の先輩知ってるんですよね。先輩ってその時彼女とか」
「いなかったよ。タカ丸さんと同じピアノ教室だったのは小学生の頃だしなぁ。前に付き合ってた人のことが気になるなら今度話すけど、俺が初めてちゃんと好きだと思ったのは綾部だよ」
突然後ろから聞こえた声にバッと振り向くと、そこには久々知先輩が立っていた。なんで教えてくれなかったのかと四人のことを睨み、それから自分の発言を慌てて振り返る。先輩に聞かれたらまずいことは
……
ピアノバカとか、言っちゃってるな。久々知先輩の前ではそんなふうに言ったこと一度もないし、そもそもわたしは先輩のピアノが好きで、本当の本当にそんなこと思ってるわけじゃない。
もう一度振り向いて先輩を見るとさっきより近付いた先輩がわたしの頭を優しく撫でたから、わたしは何か言わなきゃと開いた口をそのままにして先輩のことをぽかんと見上げてしまった。ごめんな、と小さく囁いた先輩は顔を上げてわたしから視線を逸らすと、他の四人に向かって「綾部、借りてもいいかな?」と聞く。四人が台本のように声を揃えて「どうぞ!」と言って、久々知先輩がちょっとだけ笑った。
先輩はみんなにありがとうと言うとわたしの方を向き、やっぱりいつもみたいに大好きって顔でわたしを見つめた。
「本当は俺も一緒に帰りたかった。綾部に言わせちゃってごめんな。今からでも一緒に帰ってくれる?」
「
……
手、繋いでくれるなら」
「
……
うん、もちろん」
差し出された手を取って、優しく引かれるままに席を立つ。わたしのカバンはいつのまにか久々知先輩が持っていた。
「邪魔しちゃってごめんね。今日だけ、綾部のこと借ります」
「いえいえいえ! 今日だけじゃなく、いつでも!」
「あはは、ありがとう。でもお友達も大切にしないと」
「先輩」
「わっ。ふふ、照れてる。綾部のお友達にも会いたかったから逆にちょうどよかったかな」
ばしっともう一度叩けば先輩は嬉しそうにあははと笑った。これ以上みんなに見られたくなくて、わたしは繋がっている手を引っ張り席を離れようとする。先輩は笑いながら「待ってよ」と言い、繋いだ手をぎゅっと握った。
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