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2025-12-05 00:51:36
1887文字
Public 助手2号のお兄ちゃんのイトアキ
 

余計なお世話/ 助手2号のお兄ちゃんのイトアキ

イトアキの周りの人っていい迷惑被ってそうだな…と思いながら書いた

これはあまりよろしくない界隈に赴いたときのことだ。
アキラは一人で行動していた。リンとやってくることもあったが、彼女にこういうところにいてほしくないという勝手な自分の願いによって、今回は連れてこなかった。
用事を済ませてぶらぶらと歩く。どんなところに情報が転がっているかわからない。なじみの屋台でアルコールを頼み、それを手にして辺りを観察した。
ここに集まる人は誰もが脛に傷を持っている。知られたくない腹を探り合いながら近況を共有するのが常であった。
知り合いの情報屋や事情通と言葉を交わしていると、言い争う声が聞こえてきた。いつもなら気にしないが、聞いたことのある名前を耳にして、アキラは騒ぎの中心に近づいた。
諍いはあまり珍しくもない。だが、知り合いが関わっているなら別だ。
首を伸ばして確かめてみると、やはりカリュドーンの子のチャンピオンがいた。その前には女性がいて彼を詰っていた。「どうして何も答えてくれないのか」というようなことを言葉を換えてぶつけていた。
アキラはしばらく観察していた。趣味が悪いと思ったが、飄々としていて余裕のある男がどんな風に人をいなすのか見てみたい気持ちが勝った。
カリュドーンの子のチャンピオン、ライトはただ、黙って彼女の嘆きやそしりを受け止めていた。
当初は懇願のようだった。思いの丈をぶつけて、反応を見る。期待した返事がもらえないとわかってから、それは段々と厳しい言葉に変わっていった。口をついて出るものが彼女自身を傷つけかねないものになりそうになったところで、アキラは二人の間に割って入った。
「失礼」
二人は闖入者に驚いて動きを止めた。特に、ライトは口をあんぐり開けて間抜けな表情になる。アキラは内心、ほくそ笑んだ。
「あなた、何?」
女性が眉をひそめて尋ねた。
「うん、邪魔をするつもりはあまりなかったんだけど、これくらいにしておいたほうがいいかと思って」
アキラはビデオ屋あるいはプロキシ業でよく使う表情を作った。つまり、張り付いたような笑顔というやつだ。
「この人に片思いをしているんだろうか。それなら、あまり色よい返事はないだろう」
ねえ、とアキラはライトに頷いてみせる。ライトは口を開けたままだった。
「何しろ、この人は男と寝ていてそれで満足しているらしいから」
「おい」
「おや、違ったっけ」
……違わない」
「ということなんだ。だから、諦めた方がいい。まあ、それを聞き入れなくても問題ないのだけれど」
女性もまた、訝しげにアキラの言うことに耳を傾けていたが、諦めろという言葉に歯がみし、いきり立った。
「さっきから、何なの、わけのわからないことを言って」
「理解はしているんじゃないかな。納得できないのはしかたがない」
「もう、いきなり現れて、好き勝手言って! あんた、一体ライトのなんなのよ」
「僕は……ひとことで言うなら、いい仲、だろうね」
アキラは微笑んだ。
「毎週会って一緒に仕事をしている。空き時間が合えばご飯を食べるし、映画を観ることもある。それから、お互いその気になればセックスする関係だよ」
女性は顔を真っ赤にした。それは、アキラが露骨な言い方をして恥じらいを持ったというより、アキラの話す内容に侮蔑の色を感じたからだった。
彼女は何か言おうと口を開いたが、アキラが凪いだ表情をしており、しかも静かな威圧感を放っていたため、結局は何も告げずに二人の前から去って行った。憤懣やるかたないといった様子で。
「迷惑だった?」
アキラはライトに尋ねた。
「まさか……が、あんたはちっとばかし意地が悪いな」
「そうか。自分としてはふつうに話しているつもりなんだ。辛辣だと言われることが多いから気をつけないとね」
「あんたはよかったのか? 俺と……その……
「いい仲」
「それだ。みんなに知られる」
「別に、特に隠すことでもない事実だから構わない。嘘をつく方が大変だ」
「そうか」
「ライトさんの方こそ、いいのかな。もう言ってしまった後だけど。困るのでは?」
「それこそ杞憂というやつだ」
「よかった。じゃあ、行こうか」
アキラはライトの手を握った。
「どこへ?」
「せっかく会えたんだ。この時間を最大限活用しなきゃ。あなたと僕の時間が合う限り、僕たちにしかできないことをしよう」
ライトはまたも驚いた顔をしていたが、すぐに笑って、「あんたにはかなわん」と言った。
何がかなわないのか、アキラにはわからなかったが、興味もなかったので黙って歩き出した。
その後彼らが何をしたかは、想像に任せることとする。