revan0ley
2025-12-05 00:36:07
2090文字
Public
 

コスモ・ダンス・フロア

アルカディア組グノーシアパロ ほぼ🐸と🐺しかいない

【投票結果をお知らせします】

無機質な機械音声が部屋に響き渡る。今から言い渡される結果次第では、取り返しのつかないことになる──レザラは、ぐっと拳を握り締めた。


宇宙の果て、小さな宇宙船に逃げ込んだ僕らの中に、『グノーシア』という未知の敵がいる。そんな話をヘクトールから聞いた時は、思わず笑ってしまった。昔見た映画で似たようなシーンがあったからだ。現実味がない。そう言ってレザラは話をそこで切り上げた。──次の日、ヘクトールが跡形もなく消えてしまうなんて、そのときは全く思いもしなかった。

「『グノーシア』ってのは、どうやら人間を消すことができるらしいんだ」
「消す……
「ただ、グノーシアが人間を消せるのは、宇宙船が空間転移をしてる時に、一人だけ。だから、グノーシアを特定してコールドスリープにしない限り、人数は減っていく」
「もし、人間とグノーシアの数が同じになったら……どうなるんだい?」
「ゲームで言えば『負け』だな。宇宙船はグノーシアに乗っ取られて、残された人間は消されるか、飼い殺されるか……
「ふふ、まるで人狼ゲームみたいだ」

──そう、これは人狼ゲーム。それも、一番リアルで、最悪な。

【今回コールドスリープに選ばれたのは──ヤーナ様です】

「っ、なんで!?アタシ……!」
映し出されたモニターには、レザラに1票、ヤーナに2票、ダンシンググリーンは0票だった。
……仕方ねえけどよ、規則なんだ。気持ちの整理ができたらコールドスリープルームに来い」
そう言ってダンシンググリーンは会議室を出ていく。残されたのは、動揺と悲しみを浮かべたヤーナと、レザラだけだった。
「確かに、アタシは口数が少なかったけど……でも、でも……
ヤーナは、会議中、妙に口数が少なかったのだ。人数がまだたくさんいるなら、別に気にはならなかっただろう。だが、ヤーナとレザラ、そしてダンシンググリーンしかいない会議で、黙られてしまっては、彼女を吊る流れになってしまうだろう。
「とりあえず、行こう。まだ時間はあるから……
動揺を抑えきれないヤーナを連れ、レザラ達はコールドスリープルームに向かう。3人しかいなくなった船内はすっかり静まり返り、ただの廊下もやけに長く感じた。
「お、来たか」
コールドスリープルームに並ぶ、無数の箱。ヤーナが入る予定の箱の隣には、前の会議で選ばれたユトロープの名前が表示されていた。
「ユトロープ……
彼女は必死に訴えていた。自分はグノーシアではない、人間だ、と。だが、結果は虚しくコールドスリープ。レザラも庇ったが、逆にラインを疑われ、口を閉ざすしかなかったのだ。
「ユト姉の隣なら、少しは怖くないかな……
箱に入りながら、ヤーナは呟く。レザラはただ、黙っているだけだった。

──最終的に、ユトロープに票を入れて、コールドスリープに追い込んだのは、ボクなのだから。

……レザラ」
……何だい」
……もし、アタシよりユト姉が先に目覚めたらさ、ユト姉のこと、よろしくね」
「ああ……
箱の蓋が閉まり、中の様子が見えなくなる。そのまま箱は壁にしまわれ、ヤーナの名前が表示された。
……すまない……ヤーナ……ユトロープ……!本当に……
「──ああ、本当に……残念だったな、人間」
「え──」
思わず振り向けば、そこには先程の言葉と表情が噛み合わない、ダンシンググリーンの姿があった。
「キミが、まさか……
「──そのまさかだ。グノーシアはオレだ」
サングラスの下から、底光りする赤い瞳に、レザラは恐怖で床に崩れ落ちた。
「最初にBちゃんがコールドスリープに選ばれた時は、マジで焦ったんだぜ?これから1人で戦うのかよーって。だけど向こうも焦ってたんだろな。あんなに考察が鋭かった彼女を、コールドスリープ送りなんてなぁ……
……ヘクトールを」
「ん?」
「ヘクトールを消したのは……キミかい?」
最初の会議、コールドスリープに選ばれたのはハニーB・ラブリー。そしてその後、空間転移中にヘクトールはグノーシアに襲われ、消えた。
……そうだぜ。てっきりアンタの名前でも呼ぶのかと思ったけど、案外普通の悲鳴だったぜ」
その言葉にカッとなって、レザラはダンシンググリーンの胸ぐらをつかむ。だが、すぐにまた座り込んでしまった。ここで怒りをぶちまけたところで、何も解決はしないのだから。
「ボクも……ヘクトールのように、消すのかい……?」
「こればっかりは抑えきれねぇんだ。アンタを消したいっていう欲望が、湧き上がって、どうしようもなくなって……

「だから」

「じゃあな、レザラ」

ぶつり、とレザラの意識は途絶え、跡形もなく消えてしまったのだった。

【船内がグノーシアに占拠されました】

END



「それで、今日は誰を消すんだい?発言力の高いヘクトール?それとも推理が鋭いユトロープ?──ああ、確かにそれは厄介だね。

──じゃあ、消そうか」
赤い瞳を光らせ、レザラはほくそ笑む。すべてをグノースへ捧げる為に。