三毛田
2025-12-04 21:44:58
1076文字
Public アドベント25
 

04. デートなんかじゃない

4日目
残念ながらデートではなかった

 これは、デートなのだろうか。
 客観的な指摘が欲しいと思ったのは、初めてだ。
『丹恒! 付き合ってください!』
『ちょうどよかった。人手が欲しかった。三月。夕飯のデザートをやるから、お前も頼む』
『ほへ?』
 あちゃ?。という表情で額に手を当てるたのが、視界の端に映っていた。
 俺の一世一代の告白は、勘違いを起こした丹恒により、あっけなくスルーされたのだった。悲しい。
 そして、彼の手伝いをしている今に至る。
「お前が手伝ってくれて、助かる」
「いいえ?」
「ヴェルトさんや姫子さんに頼むのは、少々憚られる」
「俺やなのは、暇人か? って言いたいのかよ」 思わず拗ねた声が出た。ちょっと離れたところで、なのも高速で頷いているのが見えた。
「違う。お前たちといる時間のほうが、心地よいからだ」
……
 持っていたものを台に置き、なのと二人で丹恒に抱きつく。
「どうした」
「俺、お前が好き」
「ウチも丹恒が好き」
「俺も、その……好きだ」
 照れているのか、ボソボソとした声。でも、あの丹恒先生が俺たちを好きだと素直に告げてくれたのだ。
 喜ばないわけがない。 
「よーし! 張り切っちゃうぞ?!」
「ウチも!」
「ほどほどにな」
 二人で手分けして、本の整理を再開する。
 なんとか夕飯前に、全ての作業が終了した。とはいかず。残りは、少しずつ時間をかけて行うことにすると伝えられた。
「もういいのか?」
「ああ。運んでもらった上、ここまで手伝ってもらえたおかげで、後の作業がだいぶ楽になった」
「丹恒。夕飯のデザートの件、忘れないでよ」
「パムに伝えておこう」
「やった?!」
 るんるんとスキップしながら、食堂へ向かう背を見送る。
「丹恒。俺へのご褒美がないんだけど」
 彼の後ろへ移動し、肩にあごを乗せてちょっと拗ねた声を出す。
「何がいいんだ?」
「丹恒と、買い物」
「お前の都合がいい日を教えてもらえば、その日にしよう」
 お腹に腕を回したら、その手にそっと手を重ねて。
「うん」
 優しい声色に、拗ねていたのが馬鹿みたいに思えてきて。格好つかない。
「デート、だけどわかってるか」
「でっ」
 まさかデートだとは思っていなかったようで、言葉を失いじわじわと顔を赤らめていく。
 なんだこの可愛い生き物。
「じゃあ、当日楽しみにしてるから。逃げるなよ? 痛い痛い痛い!」
 耳元で囁いたら、重ねていた手をぎゅっと握られた。
 丹恒って、力が強いからすごく痛い。
「手がもげるかと思った」
「流石にそんなに力は強くない」
「え?」