三毛田
2025-12-04 21:36:57
1086文字
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96 096. 重ねた手と指と視線と

96日目
君の唇

 彼の隣に立つのに、ふさわしい男になりたい。
 この決意をきっと丹恒が聞いたら、『お前はそのままでいい』と、優しく微笑むだろう。
 彼の反応など、わかりきっている。そう決心した時、近くにいたなのにも
『丹恒なら、今のままでいい。って言うよ』
 そう、ちょっとだけ呆れた顔と声で言われたもの。
 みんながみんな、俺の決意が空回りすることを見越している。失礼な!
 とりあえず、ネットやアーカイブにある知識を詰め込んでいく。
 ちょくちょく資料室へ突撃しては、丹恒とイチャイチャして。それから、アーカイブで空べもの。それを数日繰り返し。
「なあ、丹恒」
 あとは実践あるのみ! と、俺の部屋のパソコンでネットチェスをしていた丹恒へ声をかける。
「少し待て。次の一手で終わらせる」
「わかった」
 そして宣言通り、ゲームを終わらせ大きく伸び。
 デスクへと置いた手へ、俺の手を重ね。そっと指を絡めれば。
 驚いたようで、勢いよくこちらを振り返る。
 絡み合う視線と視線。
「好き」
 好意を伝えながら顔を近づけていき。
「ん……
 重なった唇から伝わる、異なる体温に溺れそうになる。
「せめて、一言欲しかった」
「ごめん」
「次からは、そうしてくれ」
「うん」
「急に口付けられると、心の準備が出来ていないから、その……お前を、突き飛ばしてしまいそうになる」
 照れたように頬を赤く染め、髪の毛を耳にかけるような仕草。
 何この可愛い生き物。
「丹恒、もう一回……いい?」
「ん。構わない」
 もう一度唇を重ね、背中に腕を回す。
「丹恒、幸せ?」
「ああ。幸せ、だな」
 んぐぅ。
 何でそんな嬉しそうに笑うんだ。
 胸がきゅっと締め付けられて。だけど、同時に嬉しくなる。幸せで。
「ふふ」
「嬉しそうだな」
 手を重ね、指を絡め合う。
 視線も絡み合う。たったそれだけ。それだけなのに、本当に幸せなのだ。
「うん、嬉しい。丹恒が、幸せだって口にすることが出来るようになったことが」
「自分じゃなくて、か」
「そうだ。だって、丹恒が好きだからな」
 頬に手を添えて、額をくっつける。
 拒否されるかと思ったけれど、そんなことはなく。
 むしろ頬に添えた手に、自分の手を重ねてきて。
「丹恒?」
「俺もお前が好きなのだと、改めて気づかされた」
 優しく、愛しさを込めた声色。
 きっと、俺じゃなかったら気づかない変化。
「そんなこと言われたら、ますます好きになるじゃん」
「ふ。俺も、お前が好きだからな」
「はあぁ……
 俺、よく我慢してるな。
 偉いと、褒めて欲しい。