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望月 鏡翠
2025-12-04 12:46:16
1078文字
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日課
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#1924 ミノーフィッシュの男たち2
#毎日最低800文字のSSを書く/我らが王の身罷りて 二次創作
貴族とは、かくも素晴らしい生活を送っているものなのだ。
今までは、金が欲しい。安全な生活を手に入れたいとただ漠然と思っていただけだった。馬車に乗って守られながら路地を通り過ぎていくだけの彼らが何をしているのか、知る術はない。
貴族というその言葉は、富の象徴であり幸福へ至る門だった。エリセオはトルガの屋敷でその一端に触れられるようになり、より具体的に思い描くことができるようになった。
豪華な家具に囲まれて生活し、自分で歩かずともこうしてエリセオのようなものに馬車を用意させれば良い。飢えることはなく、家に戻ればすでに暖炉に火が入って家は温められている。
常に清潔で高価な衣服と寝具が与えられている。
そうして家に飽きたらぶらぶらと酒場に出かけて歌い、美しい女と一夜を過ごして自分を慰めることができる。トルガ・ミノーフィッシュという男が、平民の出身だというのも夢があった。
もしかしたら、と考えてしまう。
初めはただの下男としてやってきたのに、もう侍従に昇格になった。他ならぬトルガに声をかけられたからだ。エリセオは彼に気に入られているらしい。
このまま行けば家令や執事になることだってできるんじゃないだろうか。あるいはもっと上の、貴族にだってなれるかもしれない。だって、トルガ自身が、リュネストの人ではない平民だったのだ。
自分がエリセオ・リュネストになるところを想像してみた。
いや、それともエリセオ・ミノーフィッシュなのだろうか。
今の主は、どうして苗字が違うのにリュネストの家にいるのだろう。平民から貴族になってリュネストの家に迎え入れられたんじゃないのだろうか。それとも、ミノーフィッシュ家というのがリュネスト勢力の貴族に加わったという話になるのだろうか。
何かすごく難しい貴族社会のルールがあるのかもしれない。今度トルガに聞いてみよう。道中の暇なときにでも。ただ、この貴族が乗る馬車というやつは、御者席ですらあまり揺れなくて乗り心地はいいが、中にいる人に話かけることが難しいのだ。
エリセオが知る馬車というのは、単に貨物を載せるもので、扉も屋根も壁もないから、御者席から簡単に荷台に話かけることができた。
なにしろ箱の中に入ってしまうと声は聞こえない。中からドンドンと叩く音が聞こえてきたら、出発していいという合図だ。目的地に着いたら馬を停らせ階段を下ろし、扉を開く。それしか許されない。
間には小さな扉がついているが、そこは滅多に開くことはなかったし、御者の側からは開いてはいけないことになっていた。
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