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もち
3120文字
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健全
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The 7AM Good morning baby.
・全ての道はハデシモに通ずる…。
浮気性ロキと苦しむシムナをNTRする始皇帝。最終的に紆余曲折あってハデ氏と落ち着くシムナ。
先刻までの賑やかさが嘘のように静まり返った酒宴。
響く慟哭。
レオニダスは元凶の隣でげんなりしていた。
(マジかよ
……
)
突然始まった白い死神、シモの男泣き。
能面のような表情。見開かれた大きな目から落ちる滂沱の涙。
戦闘時は一切の感情を殺した機械のような働きを見せる白い死神は、銃を握っていなければ意外にも涙もろい。
泣き上戸なのも把握した上で呼んだのだが、泣き方が尋常ではない。
その原因は彼のパートナーにあった。
レオニダスとは反対側の隣に座る始皇帝が、面白おかしく己の恋人との小旅行の話をしていた時だ。
シモが「仲が良さそうで、うらやましいです
…
」と呟いた。
乾いた笑いがどんどん引きつれていき、やがて嗚咽に。そこからは怒涛の展開。なんだなんだと周りが促すと、ロキの浮気について語られた。
携帯端末を覗き込めば、数日前の日付のメッセージが表示されている。
眉をひそめ、レオニダスは画面を睨む。
(「おはよう、ボクのかわいい人」ねぇ
……
)
送信時刻は朝の七時。シモがフィンランド軍同志と早朝訓練中の時間。
朝の挨拶はその数時間前、既にベッドの中でキスと共にし合ったはず。つまり明らかな誤爆。浮気のエビデンスだ。
「最近結婚指輪まで外していっているんです
……
」
耐えきれないのか、言いながらシモがテーブルに突っ伏す。
グラスを握りしめる手の左薬指には、シンプルなプラチナの指輪がはまっている。一度は輝いていたその光は今や鈍い。
実を言うと
…
レオニダスをはじめ一部の人類闘士たちは、この善良な小さき友人があの悪神と結婚すると聞いた時、嫌な予感がしていた。
シモ・ヘイへという男は良識がある人格者だ。英雄視されていることを差し置いても人に慕われている。
何かあるとすれば少々寡黙な事くらい。それも場合によっては美点で、思慮深く誠実、聞き上手とも捉えられる。
反対に、憎めないお調子者として関係者に好かれてはいるが、何かと敵も多いロキ。
内向的で静かな性格のシモと社交的で激情型のロキは対極にある。だからこそ互いの空白を埋める共依存関係に陥りやすい。
女房役として上手く手綱を引ければ良かったのだが、残念ながら、シモはそこまで器用ではなかった。というよりも、相手が悪かったのだろう。
お堅いシモを執拗に追いかけ回し、半ば無理やり手中に収めたと思ったら、今度は忍耐を試すような行為ばかり。
おまけに先のストーカー行為を働いていた戦乙女に対する一途さは、一体どこへいったのやら。ロキはとんだ浮気性を発揮していた。
「浮気は勘違いだろうって
…
もし、するとしたら僕の愛が足りないからだと
……
」
確かに僕も言葉が足りなくて。彼に愛情をうまく伝えられていないとは思うんです。
涙混じりの言葉から理解が深まる二人の関係性。
――
この哀れな狙撃手はトリックスターにガスライティングされている。
皆一様に口に運びかけていたつまみや酒を下ろす。
ゴクリ
…
と誰かが唾を飲む。これはついに離婚か。
夫の神は関係の破壊を厭わない行動を繰り返すのに、所有欲や支配欲だけは一丁前。
善悪の区別がつかず、衝動的。共感性の欠如。
(おまけに前科ありときた
…
)
多分その事に関して誰もシモに警告していないのでは。レオニダスも大分後から被害者側の供述を聞いた。
ロキの成長が無ければ、二人はもう終わりだろう。苦しむシモがかわいそうで、見ている方が滅入る。
「盛り下げるような、話をしてっ
…
ご、ごめんな゛さっ
…
「よい」
…
あ」
横から伸びた手が謝るシモの肩を抱く。
「気にするな
――
誰にでも悩みはある」
「そら、あまり泣くな」と始皇帝がシモの涙を無骨な指で拭う。それをレオニダスは胡乱げに見る。
ちなみにこの男も大概だ。
先ほどシモは「うらやましい」と言ったが、誤解がある。始皇帝とその恋人は特に彼が思うように「仲良く」はないからだ。
神にしては寛容で生真面目なハデスを恋人としておきながら、傍若無人な振る舞いを平気でする。
始めは美しい友情。同じ王としての器を認め合い、好敵手の仲だった彼らは急接近した。
しかし始皇帝の気に入った者に対するバグった距離感と、ハデスの長男らしく面倒見の良さが災いしたのか。
気づけば神界の大物を人の王は意図せず釣り上げてしまっていた。恋愛的な意味で。
さすがに冥王の方は悩み抜いての決断だったようだが、交際を申し込まれた始皇帝の方の返事は軽く、拍子抜けする程だった。
(「戯れとはいえ、何故か付き合うことになった!」
…
とかヘラヘラ笑ってたよな)
想いの深さの差はゆっくりと時間をかけて埋めていこうと、思いを巡らせていたハデスとは裏腹に、彼は興味本位で付き合ってみただけ。
しかも、悲しいかな。柱は二本立たぬ。
どちらも男役を譲らないために、性生活は破綻している。
始皇帝いわく「ハデスの分厚い胸板は思い出すだけで冷める」のだという。
そこまでダメならしょうがない。潔く関係を解消すればいい。
だが恋人を手放したくない一心で、冥王は粘っていた。まるで怒ってみろと言わんばかりに、始皇帝が好き放題するにも関わらず。
人類闘士たち仲間にはしてこないが、この始まりの王は、自分の恋人には試し行為を働く。
嫌いな神相手だとしても、やられっぱなしのハデスがあまりにも痛々しい。
手綱を握れない“玉無し”に同情する気はないものの、始皇帝のそのどこか嬲るようなやり方に、レオニダスはさすがに眉をひそめざるを得なかった。
…
だからか、対比が明確になる。
死神と始まりの王。同じく神をパートナーとしながらも、その在り方はまるで対極。
「ふぅん
…
?」
「わ、あ、しこうてい
…
?」
(こいつーー狙っていやがる)
覆い被さるようにして、じっとシモの顔を覗き込む中華の王。顎を掴まれたシモの頭の上にはてなが浮かんでいるのが見えた。
いかにも不穏な雰囲気にレオニダスは「げっ」と苦虫を噛み潰したような顔をする。
「シムナ、朕と外の空気を吸おう!」
「えーーあっ
…
」
掬うように小柄なシモの腰を始皇帝の腕が引き寄せる。止める間もなくサッと消えてゆく二人。
レオニダスの咥える葉巻から落ちる灰。
端に固まって座りがちな日本勢はきょとんとし、正面にいたテスラは目を見開いたまま固まっている。
釈迦と連れの金時は「やっば
…
」と口端を引きつらせていた。
二人が連れ立って消えた扉を皆たっぷりと見つめてから、互いに顔を見合わせる。
新たな波乱の予感に人類側闘士たちは身を震わすのであった。
未来予想:
最終的にはハデシモになる。
ロキは執着・固執がより悪化。
始は「朕は朕のもの」と我が道を行く。
・始シモ
「玩具(雌の蜜は甘いが、雄の牙は刺さる)」
恋愛感情は柔軟だが、性的には女性性を支配する事を求める朕様とメス扱いされるシムニャエル。
・始シモハプニング後のロキシモ
「最悪で最愛(じんせいでさいあくのひ)」
最悪なナルシストのロキは自分こそが最愛。
「Greed is a fucking disease.」
自我がある限り誰も彼も欲望は際限ない。
・ハデ→→→始
「始まってもいなければ、終わりもない」
タイトル通り。一方通行だった。
・結婚するハデシモ
「安息(またの名を救済)」
弄ばれた純心と傷ついたプライドを癒す日々。冥王が誘拐婚からの愛妻家になるまで。トラウマボンディング。
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