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羅繊(せら)
2025-12-04 11:32:15
2175文字
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【よだつか】バイト初心者🦅(23)×高1☀️(15)
エイヴァに発見される前の夜鷹(23)×高1でカフェのバイトを始めたばかりの司(15)
夜鷹はスケート以外のことを色々やってみたが何も続かず、しかしまだどうにかスケート以外のことで気を逸らしたいと思っていた。
それで、今までやったことのない体験
……
そう、労働をしてみようと思い立ったのだ。
お金には困っていないから、働く必要はない。しかし、世の中には働くことが生き甲斐という人種も多くいるのは知っている。
やったことがないから、どこでも良かった。
『急募! フロアスタッフ! ※未経験者歓迎』
そんな貼り紙がちょうど目について、ふらりとドアを押し開ける。
カランカランとドアベルが鳴って、制服と思われる白いフリルの付いたシャツとアッシュブルーのソムリエエプロンを身に着けた店員がやってきた。ここで働くことになれば、僕もこれを着るのか。既にやる気が削がれてきた。
「いらっしゃいませ! 一名様ですか?」
明るい髪色で右目の下にほくろがある店員が声を掛けてくる。まだジュニアの年頃と思われる、若い店員だ。微妙な時間帯だからか、店内には客がほとんどいなかった。
「
……
スタッフ、募集してるんだろう」
「あっ、バイト希望なんですね。店長ー!」
若い店員が奥に向かって声を掛けると、冴えない風体の男性が出てきた。
「司くん、どうしたの?」
「バイト希望の人だそうですよ」
「
…………
」
これが上司になるのか? じっと男を見つめると、男は気圧されたようにたじろいだ。
「ええと
……
履歴書とか、持ってきてる?」
「何それ」
「ううーん、人手不足だしなぁ
……
。とりあえず、面接しようか」
案内された一番端の席で、男と向かい合う。
「名前は?」
「夜鷹純」
「
……
どこかで聞いたことがあるような
……
。歳は?
……
二十三ね。前の仕事は?」
「働いたことはないよ」
「二十三で無職
……
、大丈夫かなぁ
……
。まぁ、顔は良さそうだし
……
。今日、これから時間ある?」
「特に予定はないよ」
「じゃあ、今日から試用期間ね。司くーん」
司と呼ばれた先程の店員がやってくる。
「彼、とりあえず試用期間ってことで。多分裏にサイズ合う制服あると思うから、案内してあげて。前髪長いから上げさせてね。新人教育も頼んだよ」
「えっ、俺もまだ先週入ったばっかりですよ」
「司くんは一度教えたら全部覚えちゃうから大丈夫! じゃっ、任せたよ」
店長はまた奥に引っ込んでいった。
「ええと、案内、しますね」
僕の案内を任された『司くん』が控えめに声を掛けてきた。
バックヤードで、フリルの付いたシャツと蝶ネクタイは嫌だと言ったら、白いシャツにフリルのクラバットを付けられた。ブルーグレーのスラックスとアッシュブルーのソムリエエプロンの上から、水色のベストを着る。
いつも私服では黒しか着ないから、白い服を着ているとまるで別人のようだ。
「このワックス使っていいので、前髪をちょっと上げて、目が隠れないくらいに流してもらえますか?」
「
……
これでいい?」
「ぎゃっ、夜鷹純
……
!?」
司くんは僕の顔を見るなり飛び退き、背後のロッカーに当たってガシャーンと大きな音を立てた。
彼はどうやら僕のことを知っているらしい。
「そうだけど」
「なななななんでこんなところに」
「
……
労働をしてみようと思って」
「司くーん、お客様きてるから、注文取ってきてー」
「はーい! と、とりあえず
……
俺がお客様に対応するので、やり方見ててください」
「うん」
この日から、司くんは僕の先輩になった。
(新人研修?をもっと何か)
新人教育係は司くんだから、当面は司くんと同じ時間にシフトを入れることになった。
昨日一日見て、やることはまぁ大体わかったが、激しく面倒だし、労働に勤しむ人の気持ちはわからない。
「メニュー? これだよ。早く決めて」
僕が二人連れの女性客の応対をしていたら、司くんが慌ててやってきた。
「(ちょっ、純さん、ダメですよ!)すみません、お決まりになりましたらお呼びください」
僕は司くんにカウンターの方へ引っ張っていかれた。
「どうしてダメなの。さっさと決めさせた方が効率がいい」
「もー! そういう問題じゃないんです!」
さっきの客のテーブルの方からは『え〜迷う〜』とかいう声が聞こえてきて苛つく。食べるものを決めるのに、何をそう迷う必要があるのか。まったくもって時間の無駄だ。
「純さん、接客業なんですから、もっと愛想良く笑顔で応対できませんか?」
「無理」
「即答だった
……
どうしてこんな接客業に
……
」
まだ二日目だが、壊滅的に向いていないことくらいは僕でもわかる。
「ジャッジアピールの時は微笑んでましたよね、あんな風に
……
」
司くんは僕のジャッジアピールを知っているらしい。
「こんな感じ?」
「ぴ
……
っ」
司くんは僕のアピール顔を見るなり、叫びそうに口を開けて咄嗟に両手で口を抑え、押し殺された変な声を上げて、ぼん、と真っ赤になった。赤く熟れた頬が美味しそうだ。
「注文お願いしま〜す」
さっきの女性客が手を上げて店員を呼んでいる。
僕は、行こうとする司くんを手で制して注文を取りにいった。
(続くかどうかはわからない)
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