2025-12-02 02:33:03
2783文字
Public 斜陽に滲む影法師
 

【斜陽に滲む影法師】Epilogue『独白』

おまけ

【ラバナスタ 辺境の墓所にて――


(Sigma Siegfried) ……よ、土産持ってきたぜぃ。
(Sigma Siegfried) 酒盛りだ酒盛り。うはは、今日は俺のおごりだ。遠慮しねえで飲めよォ
(Sigma Siegfried) (/em は墓前にひとつひとつ、酒を注いで置いていく。
(Sigma Siegfried) あいつらは留守番させてんだ。たまにゃ俺ものんびり話してえし
(Sigma Siegfried) (/em は示すように眼帯に触れた。その下に義眼はなく、今は空洞だ。
(Sigma Siegfried) ……まー色々あってさァ。奢ってやっからちィと聞いてくれや。いいだろ?
(Sigma Siegfried) (/em は最後に親友の墓前に酒を置くと、自分のグラスを軽く触れさせ、酒を呷った。



(Sigma Siegfried) ………
(Sigma Siegfried) ……まァ、謝んなきゃいけねえことがあってな。
(Sigma Siegfried) ……殺し損ねてたみてえでさ。あん時、お前らが必死こいて託してくれたっつうのにさ。
(Sigma Siegfried) で、ちと厄介になっちまってうん、まァ今度は、トドメ刺してきたんだけど
(Sigma Siegfried) ………ごめん。
(Sigma Siegfried) ……やっぱダメだな、気付かねえまま大事になっちまって、俺ひとりじゃあ、やっぱどうしようもできなかったよ
(Sigma Siegfried) (/em は目を伏せ、親友の墓に凭れかかった。
(Sigma Siegfried) ホント……しょうもねえなァ。いつまで経っても成長しねえや

(Sigma Siegfried) ……でもさ、信じられっか?あのちんちくりんのどうしようもねえクソガキだったあいつがさ、どうしようもねえって思ってた状況ひっくり返しやがってさ。
(Sigma Siegfried) ……うはは、とんだ大物拾ったもんだよなァ。ホント、ガキってどう成長すっかわかんねえな
(Sigma Siegfried) ハ、こりゃちっとくらい、いいご褒美くれてやんねえとなァ。
(Sigma Siegfried) (/em は少しだけ微笑み、酒を一気に飲み干すと、地面にグラスを置いた。

(Sigma Siegfried) ……しっかし、まァ
(Sigma Siegfried) なんで俺らが、こんな目に遭わなきゃなんねえんだって、ずっと思って生きてきたけどさ
(Sigma Siegfried) ……結局、わかんねえまま終わっちまった。
(Sigma Siegfried) 俺らみてえなのをさんざ弱らせて食うのが美味ェんだってよ。ご馳走なんだと。その為だけに、お前らも、他の村も、あれが言う下拵えに使われただけだってんだから
(Sigma Siegfried) ……意味わかんねえよなァ。ここまでくるといっそ笑けてくるよな。
(Sigma Siegfried) (/em は引きつったように笑みを浮かべながら、膝を抱えて俯いた。
(Sigma Siegfried) ………ホント納得いかねえや

(Sigma Siegfried) ……わァってるよ。理不尽なことなんざ生きてりゃいくらでもあんだ。俺らは騎士だから、そんな理不尽に殺されることなんざ、常人にくらべりゃ当たり前にあんだって言うんだろ、わかってるけどさ
(Sigma Siegfried) ………でも、さァ
(Sigma Siegfried) ………それでもさ、仕方なかったんだってもさ、……仲間を殺したくなんかなかったよ
(Sigma Siegfried) ……なァ、なんで、俺だけ残したんだよ
(Sigma Siegfried) ……俺だけ、俺だけ生き残ったってさァ、しょうがねえだろ
(Sigma Siegfried) ……、俺ァあん時、……大事な奴手にかけるくらいなら、無駄だって抗って散ったっていいって……思ってたのにさ
(Sigma Siegfried) ………悪ィ、お前らに当たってもしょうがねえのにな
(Sigma Siegfried) (/em は湿ったため息をつき、頭を振った。

(Sigma Siegfried) ……でもさ、頑張ったよ。
(Sigma Siegfried) やっぱ、……色んな奴に、助けられながらだけどさ。最後くらい、逃げんのやめて、落とし前つけてきたんだ。
(Sigma Siegfried) ……拾った弟子も、立派んなったしさ
(Sigma Siegfried) そろそろさ、……俺も、そっち行ってもいいかな

(Sigma Siegfried) ………
(Sigma Siegfried) ……
(Sigma Siegfried) ……ハ、……どうせ怒んだろ、言っただけだ。
(Sigma Siegfried) ……好きなもん食わせてやるって、約束しちまったしな。
(Sigma Siegfried) 大事にしちまった村のことだって、ほったらかしにするわけにもいかねえし。
(Sigma Siegfried) ……顔見せなきゃなんねえ奴も、いるみてえだ。ったく、あいつ言いふらしやがって余計な心配かけちまったじゃねえか

(Sigma Siegfried) ……
(Sigma Siegfried) ……なんだ、……意外とやること山積みだったな
(Sigma Siegfried) ………ったくお前らが仕事押し付けなきゃなァ。隊長だからってこき使ってんじゃねえぞォ。ちったァ労われよなァ~
(Sigma Siegfried) (/em は大きなため息をついて、墓石に凭れて天を仰いだ。
(Sigma Siegfried) ……しゃーねえ、……もうちっとだけやることやってくっかァ
(Sigma Siegfried) ……全部終わったらでっけえ手土産持ってってやっから、そこで期待して待ってろよ

(Sigma Siegfried) (/em は土埃を払って立ち上がった。
(Sigma Siegfried) ……さ、てんじゃ、ちと行ってくるわァ。お前らはゆっくり飲んでなァ
(Sigma Siegfried) ……またな。
(Sigma Siegfried) (/em は一度振り返ると、優しく微笑んで手を振った。