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三毛田
2025-12-01 22:17:30
1067文字
Public
1000字5
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93 093. 喜びも悲しみも詰め合わせて
93日目
これからは共に
お前と出会えた喜び。
共に味わった悲しみ。
一つ一つの記憶が、かけがえのない大切なものになっていて。
「
……
」
自然とあふれこぼれ落ちた涙をそっと拭う。
「お世話になりました」
扉を開け、頭を下げてから部屋を後にする。
鍵を大家に預けて改めて世話になった礼を告げてから、二人の思い出が詰まった箱を大事に抱え、駐車場まで歩く。
「待たせた」
「ううん。別に待ってない。お別れは済んだか?」
「ああ」
箱を後部座席においてから、助手席に乗り込みシートベルトをして。
「それじゃ、新居に向かって出発!」
慣れた手つきでエンジンを入れ、サイドブレーキを下ろしてアクセルを踏む。
俺の中の彼は、学生の時から変わらずにいて。無意識に、時を止めていた。
だから、再会して様々な資格を取得しておると聞いた時はかなり驚いて。
『丹恒から見た俺って、そんなにガキ?』
ビールジョッキを手に、頬を膨らませる姿は昔と変わらず幼く見えたのは、内緒。
「手続きとか、全てを任せてしまったな。助かったが、本当にいいのか」
「いいのいいの。俺が、丹恒と住みたくて頑張ったんだ。褒めてほしいくらいだよ」
「新居に着いたらだな」
「約束だからな?」
「ああ」
車を運転する横顔は、格好いい。
女性たちが放っておかないだろうに、彼は俺を選んだ。
『他の誰でもない。お前じゃないと、意味がないんだよ。丹恒』
内見に行った帰り。本当に俺でいいのかとこぼした言葉を聞き、俺の手を取りながらしっかりと目を見つめて。
それに絆されたというか、彼の覚悟が伝わってきて。俺も、彼を好きなのだと再確認した。
だから、一緒に住もうという提案に一も二もなく頷いて。
「俺さ。丹恒のためにずっと頑張ってきたんだ」
信号で停まって、ふとこぼした。横顔を見る感じ、そんな感じで口にした様子に見え。
「穹」
学生の時に出会って、何度俺がお前に救われたか知らないだろう。
その言葉を口にする前に、車は動き出してしまった。
「丹恒も知ってるけどさ、俺って本当なら働かなくても生活できるんだ」
「学生の頃から言っていたな」
「うん。でも、お前に養われてるとかヒモだとか言われたくなくて、働いてる」
「そんなことを言う人が
……
」
いた。俺たちの関係を知っている上、彼の身の上も完全に把握している身内が。
彼女だって似たようなものだろうに。
「俺が丹恒を養えるように、もっと頑張るから」
「ほどほどにな」
頑張りすぎて、体を壊したら元も子もないからな。と口に。
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