三毛田
2025-11-30 20:57:48
1069文字
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92 092. 肩に寄りそう幸せ

92日目
片想いだけど幸せ

 そっと肩が触れ合う。
 俺はドキドキしているけれど、丹恒は気にした様子はない。
 それはそれで寂しくて悲しいけれど、俺たちはまだ友人だもの。こんなものだ。
「アンタたち、いつもそうやってくっついてるけど、その距離感って合ってる?」
「どうだろうな。俺は穹と距離が近くても、嫌ではない」
「お、俺もっ。丹恒とくっつくのは嫌じゃないからっ」
 半ば叫ぶように告げると、なのはどうしてか呆れた顔に。絶対気づかれた、断言できる。
 一瞬だけ彼女へ視線を向けたらしき丹恒は、多分気づいていない。
 俺が抱く好意を。
「はいはい。いつもの通りってことだね。ご飯時はちゃんと集まるんだよ?」
「ああ。穹と一緒に居るから行くと思う」
「思うじゃ駄目! みんな列車にいるんだから、一緒に食べる!」
 いいね?! と念押しされ、自室がある客室車両へと向かう。
 それを見送ってから、そうっと丹恒の肩へっと手を伸ばす。と。
「ひゃわっ!?」
「どうした?」
 丹恒が俺の方へともたれかかってきたので、悲鳴が飛び出た。
「た、丹恒こそどうしたんだ?」
「なにが」
「お、俺にもたれかかってくるとか、め、珍しいなって」
……そういう気分だっただけだ」
 ふい。と、そっぽを向いてしまう。
「ソウデスカ」
 深く追求したとしても、素直に答えてくれるわけじゃなさそうだ。
 まあ、それが丹恒だからだな。と自分を納得させる。
 彼は、俺に寄りかかったまま器用に読書を続けて。
「穹、丹恒」
 名前を呼ばれ、そちらを見るとパム。
「どうしたんだ?」
「ちょっと配膳を手伝ってほしいのじゃ。料理の品数が多くしすぎてしまっての」
「カウンターに並べて、バイキング形式じゃ駄目なのか?」
「そうするにしても、俺一人じゃ大変なのじゃ」
「わかった。丹恒、手伝いに行こう」
「ん、行こうか。本を資料室に置いてきたい。いいだろうか」
「よいぞ。オレは先に戻っているからな」
 パムがいなくなると、丹恒は体を起こし、大きく伸びをする。
「丹恒、どれにする?」
「実際に料理を見ないと、選びようがないな」
 一度資料室へ寄り、それから食堂へ向かう。
 パムがワゴンに乗せてきたお皿を、カウンターに並べていく。
「丹恒、俺これ食べたい」
「それはパムに言え。そうだな……俺は、この料理を食べたいと思う」
「二人の分は別で用意してある。じゃから、それとそれの量を多めにしよう」
 と言いながら、キッチンへと消えて。
「あ。ワンプレートでお願いします」
「俺も、それで頼む」
「うむ」