fmc359
2025-11-30 19:49:33
1568文字
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【氷】離形坐忘(日文)


孤独の時、彼はいつも若き日に暗誦したあの句を思い出す。

「天地與我並生,而萬物與我為一」
──天地と我とともに生まれ、万物と我は一体である。
我らは皆、世に散る砂礫にすぎず、彼らの死も他者の死も変わらぬ。
この世には万に余る不幸があり、より深く重い悲苦も、より苛烈な責務もある。
己が一つの喪失に嘆く必要などなく、彼にはなお為すべき大事がある。
長の啓蒙は祖師の著作に始まり、人生最初の課はすなわち「徹悟」であった。
族人と死を共にすることに慣れねばならず、同胞をして無辜を討たしめねばならぬ。
すべてを看破できなければ、仙人の皮を纏った凡心は、やがて摩耗に耐えきれまい。

「審乎無假而不與物遷,命物之化而守其宗」
──真を審らかにして物に遷らず、万物の化を命じてその宗を守る。
揺らぐわけにはいかぬ。彼にはなお佩びた帶鉤がある。
鸞鳥は彼の路を指し示す灯であり、すべてを失った後、掌に残る唯一の火であった。
彼の帶鉤は他と異なる。鸞鳥の胸羽は三百年余の時に磨耗し、幾百の白髪碧眼の影が現れては消え、ついには彼の掌の中で砕けた。
鸞鳥は残ったが、爪に抱かれた円環はもはやない。
太平の要最後の長に立脚の地はなく、この生涯にもはや円満はない。
それでも、彼はなお世に留まっている。

「指窮於爲薪,火傳也,不知其盡也」
──薪を尽くしても火は伝わり、その尽きを知らず。
彼が生きている限り、彼らもまた生きている。
あの日々を、己の双翼を、彼らと共に交わした誓いを彼は覚えている。
三つの銀珠と赤き紐は、一体同心として最も若き彼の身に宿っている。
山民は、悪吏から人々を救った恩人がこれほど若いことに驚き、
官兵は、営妓を奪い去ったのが少年にすぎぬことに怒った。
彼は長の、己と寸分違わぬ顔に、容易く見通せる己の道を見、老い果てた姿をも見た。
今や彼はその道を離れ、前方には未知の自由がある。
荊棘に覆われた新たな途にて、老いに至ることは叶わぬかもしれぬ。
だが死に至るその時まで、彼は彼らと共に歩むだろう。


白は歩み、やがて朱和の背丈を越えた。
春風の荒れ田は播種を待ち、彼は山を越え川を渡り、村を巡りて耕作を教える。
飼い慣らされた鳥は自由に還り、生涯の学を世に注ぐ。

白は走った。二百双の靴を擦り切るまでに、伸ばした髪に冠を戴かせてくれる者はひとりもいなかった。
秋風の枯草は火種を待ち、彼は各地を奔走し、山を駆け寨を訪れ、縦横の策を弄して強権を争わせた。
一歩誤れば自ら墓を掘ると知りつつも、彼は構わなかった。

「方生方死,方死方生」
──生まれつつあれば死に、死にゆくゆえにまた生まれる。
彼は生きるために生き残ったのではない。

鸞鳥帶鉤の胸羽は、日々の奔走のうちに、孤独な白鸞の指先で散り失せていった。
彼は裸のまま、一切を持たずにこの世に向かう。
高く翔ぶためではなく、ただ堕ちるために。
泥濘に直落し、自在に尾を曳き、眠れる鳥獣魚虫、山川草木を呼び起こすために。
理なき天を、彼らに見せるために。

白鸞は本来、徹悟すべき存在であった。
──だが白は、確かに徹悟したのである。









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「天地與我並生、而萬物與我爲一。」——『莊子・齊物論』
「死生亦大矣、而不得與之變;雖天地覆墜、亦將不與之遺;審乎無假而不與物遷、命物之化而守其宗也。」——『莊子・德充符』
「指窮於爲薪、火傳也、不知其盡也。」——『莊子・養生主』
「方生方死、方死方生。方可方不可、方不可方可。」——『莊子・齊物論』
「往矣!吾將曳尾於塗中。」——『莊子・秋水』


「墮肢體、黜聰明、離形去知、同於大通、此謂坐忘。」——『莊子・大宗師』