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たくとろ
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マッサージ
ウェブオンリーでネップリ頒布した短編集に元々掲載予定だった内容です。
短編集の表題が元々、「君との日常」みたいな感じだったんですけど、「アルバム」に変更したので掲載を取りやめました。
よく晴れた日のこと、ウルトは自室
…
もとい展望室に昨日の冒険で拾った石を飾っていた。太陽に照らされて煌びやかに輝く石を見て、ウルトもヤミラミも満足げだ。しかし、一つあまり光を反射しない石がある。気づいたウルトが手にとってみると、なんだか薄汚れている。
「んだこれ
…
洗ったのにな」
人差し指と親指で挟んだ石を睨み続け、ウルトは「あっ」と呟いた。何か思い出した様子だ。
「そういやロイがなんでも綺麗に磨ける布とかいうの持ってるって言ってたな
…
よしヤミラミ、借りに行くぞ」
ヤミラミは右手を上げて返事をし、ウルトの後をついていく。みんなの部屋があるフロアに降りたウルトたちはロイの部屋に向かって歩き始めた。すると、ミーティングルームの方からロイの声がした。
「リコ、どう?」
どうやらリコと一緒らしい。ウルトはとりあえずミーティングルームに行こうとしたが、続けて聞こえてきたリコの声を聞いて足を止めた。
「ん
…
うん。気持ちいい。あっ
…
そこ
…
」
立ち止まったウルトをヤミラミは首を傾げて見つめる。ぷるぷると震えたウルトの顔は赤い。
「あ、あいつら!こんなとこでなにやってんだ!!と、止めるぞヤミラミ!!」
頬を熱くしたままウルトは走り出した。ヤミラミは頭にハテナを浮かべながらも彼についていく。部屋に入ったウルトは声のする左側に体を向けてリコとロイを指差した。
「お前ら!!なにやっ
…
て
…
?」
ウルトの目に映るのは椅子に座ったリコとその後ろに立つロイだ。二人はウルトの方を見ながら目をパチパチとさせている。
「びっくりした
…
」
「ウルト、船の中走ったら危ないだろ。ちゃんと歩いて」
「う、うるせえ!お前らがなんか変なことしてると思ったんだよ!ってか何やってんだ?」
「見ての通り肩揉みだよ」
呆れた顔でロイがそう言うと、ウルトはリコの肩に目をやった。確かにロイの両手が置かれている。
「なんで肩揉みなんか
…
」
「私が最近ちょっと肩こりするって言ったら、ロイがしてくれたんだ。ロイのマッサージ、すっごく上手で気持ちいいんだ」
「んだよ
…
まぎらわしい」
ウルトがそう言って頭をわしゃわしゃと掻くと、リコとロイとヤミラミは首を傾げた。そしてロイがそのまま疑問を口にした。
「っていうかウルト
…
僕らが何してると思ったの?」
「リコが変な声出してっからお前らが変なことしてるもんだと
…
」
「え?私そんな声出てた
…
?」
「ちょっとウルト
…
リコで変な想像するのやめてよ」
「してねえよ!お前らが紛らわしいんだ!」
ウルトが激昂し、ロイが怪訝な顔をする中、リコは少し顔を赤くしている。ヤミラミはやっぱり何がなんだか分からず首を傾げた。とりあえず当初の目的を果たさなければ。ウルトのズボンの裾を引っ張り、腕を動かして四角を作ってウルトにアピールする。
「あ、そうだ
…
忘れてたぜ。ロイ、お前が前に言ってた布貸してくれよ。石磨くから」
「いいよ。カバンの中にあるから僕の部屋行って自分でとってきて。僕はリコのマッサージもう少しするから」
「おう、サンキュな」
「終わったらちゃんと洗ってよ〜」
ウルトはヤミラミを連れてミーティングルームを後にした。彼らを見送ったロイはやけに静かになったリコに目をやる。すると、リコの顔がとても赤い。
「えっ!リコどうしたの!?」
「ロイ
…
私、そんなに変な声出てたかな
…
?」
「え?ああ
…
ウルトの言うことなんか別に気にしなくても
…
全然普通だよ。大丈夫」
「そっか。ありがとうロイ」
安心したリコはニコッと微笑んだ。それを見てロイもマッサージを再開した。彼女の肩を指先で軽く押していき、時々強い力を込めて押す。リコの肩の筋肉はほぐれ、重みが無くなっていく。
「ロイって肩揉み慣れてるの?」
「ああ。昔からじーちゃんによくやってあげてたからね。じーちゃんが『ロイの肩揉みはいいぞ!』って広めるから島の人みんなにやってたときもあったなあ。とーちゃんとかーちゃんがいた頃は二人にもしてたよ」
「ふふ。じゃあ肩揉みのベテランだね」
「そうかも。じっちゃんたちにもしてあげよっかな」
「いいね。なら私も何かしてあげたいな」
「じゃあリコにも肩揉みの極意を教えるよ」
リコとロイは互いの顔を見て思いきり笑った。その後も会話は弾み、リコとロイの大人組マッサージ計画がまとまった。そんなところで肩揉みも終わり、ロイは手の力を抜いてリコの肩から離した。
「はい。終わりだよ」
「ありがとうロイ。すごく楽になった!」
「よかった。またこったら言ってね。いつでも揉むから」
「うん。その時はまたよろしくね」
この約束が大人になり、歳を重ねて老いても続くことを、二人はまだ知らない。知らないまま、二人はまた笑った。
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