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望月 鏡翠
2025-11-29 23:37:33
1143文字
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日課
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#1920 ジョアンの耐えがたい主人について10
#毎日最低800文字のSSを書く/我らが王の身罷りて 二次創作
膨らんだ反感に相応しい反論は出てこず、口を噤んだ。
「このタイミングで兵を増やすというのはそういうことだろう? レシーがついにその気になった。なら、やられる前にやらねばな」
どこかの家に忠誠を誓われているわけでも、同盟を結んでいるわけでもない。危険を感じれば、同盟を組んでいる家同士で手を組んて、攻勢に出るだろう。
だから今は身を守るために、武力を増やす手段を封じて安全である事を周囲にアピールするという。
「
……
だが、そんな弱腰ではいつかやられる。血の流れない戦などない」
「無論、兵は要る。絶対だ。だが今ではない。事を構える気があると周囲に悟らせるのは、準備が整ってからだ」
だから商人に穀物の取引を持ちかけた。穀物の買い入れは平時の領地の治世の範疇だ。直接に軍備とは結びつかないが、食料を蓄えることも立派な国力だ。
「私がその時期を見誤ったと」
「そうだな。お前が今日動いたのは、そうせねば俺の不在の間に謀を済ませられないと考えたからだろう? 一ヶ月でもギリギリ間に合うかどうか。だがまあ、本国さえ動かしてしまえばどうとでも言い逃れできるからな。だが、その一ヶ月というのが、戦が始まったときに増援が来るまで耐えねばならん時間だ。本当に戦いが起これば、敵からの妨害も始まる」
年若いジョアンは戦争を体験したことはない。しかしリュネストの民は海を知っている。一度でも航海を経験すれば、補給がない恐怖は理解できた。
水や食料が徐々に減っていくことや、それが人の精神状態にどんな影響を与えるのか、肌感覚で知っているのだ。
「無論、ここで攻撃に出るという策がないわけではない。だが、それでも他の家の懐をもう少し探るべきだ。俺がディルストーンにって戻るまでは、待つべきだと思うがな」
ジョアンは言葉を失って、黙り込んだ。
「私の不明を明らかにして満足か? 満足したならこれ以上辱める前に、殺すが良い」
「悪いがそれは聞けない頼みだ」
辱め、言い負かし、その上で自分で手を下すこともしない。
「一体どうしたいんだ」
悪戯に苦しみを長引かせようとしているようにしか見えなかった。
「だから言ったろう。お前に心得てもらいたいことは一つだけ。俺はこの地の裁量を任されていて、それはレシーの決定だ。この地、この家に属するものは俺のものになる。もっと良い策があれば、意見すれば良い。何をしているのかわからなければ、党がいい。間違えているなら諫言も受け入れよう。俺も所詮は平民のでだ。お前たち貴族の作法は心得ない」
構えた曲剣がジョアンの肩を打つ。
「それでも、お前は俺のものだ。その事を弁えろ」
騎士の作法には程遠い。
トルガは強欲に、全てを奪い去る海賊の笑みで歯を見せた。
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