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ぽふむん
2025-11-29 13:49:17
1963文字
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ワンドロ
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逢魔が時
#童しの版深夜の真剣物書き60分一本勝負
「手袋」
作中にはこのワードはありませんが、実は元ネタというか発想元は「「手袋」を買いに」です。
二人の女が別人であること
時代背景上、現代では不適切と思われる表現があること。
その微調整のため➕30分
結局回りくどくなると判断し「この時代だもん」と自分に言い聞かせてます。
童磨が食う者、食うつもりのないものの対比です。
木々の間を吹き抜ける寒風に、しのぶはその小柄な体を縮こませぶるっと震えた。
日が沈み始めた。
もう逢魔が時だ。
鬼が出る時間が近づいている。
ここは旧宿場町にほど近い山間部。宿に駆け込んで暖を取りたい。熱い湯に浸かりたい。
だが、そういう訳には行かない。
それは、これが潜入捜査だからだ。
この山の中腹に一件の山寺があるという。
そこに鬼が住んでいるのではないかとの報告があり、確認のための潜入だ。
まだ齢十三。これが初任務となるしのぶは気負っていた。
姉の補助はないからだ。
姉は柱として別の場所に任務に出ている。
本当は三人で班を作り行動していたのに、同行していた隊士の足が止まった。
「やっぱり...ダメだ
……
怖い。俺もういやだ」
「俺も」
そう叫ぶと二人の隊士は、男のくせにまだ幼いしのぶを置き去りに、すたこらと逃げてしまった。
「あ!!
……
ちょっとまってぇ」
静止する間すらなかった。
ひとり置き去りにされ、道を見失った。
どうしよう
……
寒い
そう思ったその時だった。
「どうしたんですか?こんな所に女の子がひとりで」
振り返れば、ひとりの剃髪の男が手提灯を提げ立っていた。
※
「寒かったろう。可哀想に」
風変わりな風体の大柄な男が、酒で粉末を練りながら言う。
これはあかぎれの妙薬なのだという。
「どれ、見せてごらん。ああ、かわいそうに」
外が寒かっただけでは無い。
日頃の雑務で赤く腫れたしのぶの手を男は労わるようにさすった。
この寺の教祖なのだと言う。
外国人なのだろうか。明らかに日本人とは思えない風貌の若い男だ。
僧職よりも、役者、旅芸人の方が天職なのではないだろうかと思うほどの美丈夫だ。
そういった感情に疎いしのぶですら、なんだかわからない高揚感を感じる。
気恥ずかしいというのはこういう感覚なのだろうか。
周囲には、気の触れたと思われる男女が言葉にならない呻き声を上げている。
盲に
啞
おし
もいる。
この異様な雰囲気でなければ、夢心地になってしまっていたのだろうか。
「ああ、怖がらなくていいよ。これ、皆すまないね。客人が怯えているようだ。先日の子と違って道に迷っただけの良家の子だ。
君たちのようなものを知らないらしい」
しのぶが怯えていると察した青年教祖は、周りの者たちに声をかけた。
「先日の?」
しのぶがたどたどしく問うと、教祖の隣に控えていた補佐官だろう。
剃髪の男が代わりに答えてくれた。
なんでも、数ヶ月前。若い女が生後間もない赤子を抱え駆け込んできたことがあったという。
亭主に、僅かな酒代の為に麓の旧宿場町にある
曖昧茶屋
あいまいちゃや
に売られた女だったという。
実は売られた時、既に孕んでいたらしい。
その曖昧茶屋の旦那に「話が違う」「これでは働けぬ」と酷い折檻を受けることが度々あったという。
それでも借金返済と酒代の為働いていたのだという。
曖昧屋と言うのはそういう場所。
堕胎を命じられたが、何とか守りきって産んだはいいが、今度は生まれて間もない子を間引かれそうになり
たまりかねて足抜けしてきた女がいたそうだ。
「あの時は大変だったねぇ。亭主が怒鳴り込んできたよ「女房を売って貰った前金は使ってしまったから返せない。早く女房を店に返せ。子どもは殺せ」だってさ。だいぶ借金をこさえていたらしい。追い返すのに難儀したよ」
妻を遊郭に売る夫
噂には聞いていたが本当にいたのか。
「行くあてもない者を保護し見守るのが俺の役目なんだよ」
そう青年教祖は言うが、特殊な訓練を受けてきたしのぶにはわかっていた。
教祖という男の瞳孔に、通常の人には見えない文字があることを。
上弦
弐
この教祖は鬼だ。
しかも上弦。
見習い隊士一人では勝ち目はない。
でも
周りの家族から見放された、見捨てられたと思われる苦難を背負う者達の顔は安らかだ。
食う気もないらしい
(鬼
……
本当に駆除しなければならないほど悪いやつなんでしょうか)
しのぶの心に微かな疑問が芽生えた。
─────────
しのぶは知らない
前夜におぞましいことが起きていたことを。
山門の前でそれは起きた。
「運が良けりゃ拾って貰えるよ」
こんな山寺
しかも冬の寒空に
拾われる前に獣に食われるか凍え死ぬ。
既にその赤子は弱っている。
もう泣き声すらあげる様子もない。
禁令はあれど、まだ暗黙裏に行われた子捨てだ。
女は振り返りもせずに立ち去ろうとした
どさ
女が突然血を吹いて倒れ込んだ
赤子の微かな泣き声も止んだ。
「かわいそうに。お母さんと一緒に俺と永遠の時を生きようね」
青年教祖が涙を流しながら佇んでいた。
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