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桜崎
2020-03-16 17:41:24
1725文字
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嫌いなわけない 【未完】
狛日♀ 未来機関パロ
嫌いなわけない
唇を噛み締めてしまうのはもはや癖のようなものだった。単純に、自身から溢れる音が恥ずかしくて厭で押し殺してしまう。まさに今もそうで狛枝が動くたびにどうしても喉元を焼くような嬌声を抑え込む為にそうしなければならなかった。
「
……
っや、っあ、
……
」
強く突き上げられて、思わず顔を背ける。背に腕を回したいけれどきっと爪を立ててしまうから日向は、代わりに敷布を強く握りしめる。あんな綺麗な白に傷をつけたくない。
暴力的なほどな快感に白く視界が明滅して、意識が飛ぶ感覚は、今夜だけでも一度や二度でもないのにいつまでも慣れない。双眸が景色を色付けても指先まで支配する快楽にゆるゆると息を吐いた。抜け出て行く異物に呼吸がようやく整ってきた日向は、薄青の瞳から視線を逸らす。何時も終わった後は特に羞恥で狛枝の顔を見ていられない。体ごと逃げるように視界から狛枝を追い出して、掛布に潜り込む。
「
……
ねえ」
「
……
なんだよ」
存外、尖った声色になってしまったのは、あんなことをした後に普通に会話出来るほど平常でいられなかったからだ。未だに心臓は痛くて、顔は赤い。日向は早く眠ってしまいたかった。翌日になれば羞恥心が少しは薄れる。それでも恥ずかしくて、狛枝が起きる前に部屋を後にする。職場で顔を合わせる頃にようやく普通に対面できるのだ。そうでなければ羞恥で目も合わせられない。
だから先ほどの痴態を必死で忘れようと努めているのに狛枝は中々、言葉を発せず、あまつさえ後ろから抱き込むように日向を囲ってくる。心肝が大きく軋んだ。背に染みる温度に羞恥が募る。
「
……
おい、やめろよ」
「
……
別にもうしないけど」
「あ、当たり前だろ!」
何回したと思っているのだ。拒めないのは惚れた弱みなのだけど。そう言い訳しながらも別に日向だって狛枝との行為は嫌ではない。ただただ恥ずかしいだけで。
「寝にくいから離せって」
どんどん心拍が上がっている。こんな状態で眠れるわけがない。抜け出そうと身じろいていれば、ようやく体躯が離れてほっとした。
「
……
そんなにイヤなの」
事後にこうやって触れてくることが。だろうか。厭ではなくて恥ずかしい。だがそれを真っ向から口にするのも日向にはひどく困難に思えて、首肯する。
「
…
お前がしたいって言うなら別に付き合うけどまあ
……
」
「ねえ、キミさあ
……
」
そういえばとふと思い至ったのは、半月経った仕事場からの帰宅途中であった。狛枝としてからずいぶん、日が空いている。そんなことを気にしていることが恥ずかしくなってきたが思い返せば、口づけすらしていなくて恋人になってから変わらず口では辛辣に罵ってくる癖にその埋め合わせかのようにべたべたしてきたのに近頃、全く触れてもこない。今まで気づけなかったのは恐ら仕事による忙しさのせいでもあるが、日向が恋人としての行いに積極性が欠けている部分が大きい。狛枝は誘わずとも勝手に日向の部屋に来るし日向は、逆に誘われない限り、理由なく部屋に行くことがないせいで狛枝から動かなければ行為の発端にまずなり得ないのだ。
狛枝に寄りかかった関係性である事実に不意に日向は気づいて、帰路を狛枝の部屋へと変える。今日は休みででかけていたとしてもこの時間帯であれば部屋にいるはずであった。だが前まできてひどく緊張していることに気づいた。恋人なのだから訪ねるの何の支障もないはずで、けれどどうして来たの、なんて言われてしまったら
慌てて鞄を探って、書類を確認する。狛枝に渡す分があったはずだ。別にそう急がなければならないものではないが言い訳には充分だと言い聞かせる。
初めてつかう合鍵で部屋に上がりこめば、狛枝は長椅子上で本を広げていた。日向の上り込む物音に気付いたのだろう。目線を本から外して日向を見る狛枝は少し驚いたようにその瞳を瞬かせて、名を零した。
「
……
来るなら連絡くらいしてくれない? いきなり入ってきたら泥棒かとおもうでしょ」
「し、仕方ないだろ、お前に早急に渡さないとダメな書類が出てきたんだから
…
」
押し付けるように狛枝に渡して日向は早速所在なさげに立ち尽くす羽目になった。
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