桜崎
2020-03-16 17:40:21
568文字
Public
 

名前のない二人 【未完】

狛日♀ 未来機関パロ

名前のないふたり
 それはあまりにも自然であり、まるで今日の天気を話すかの如く平凡な日常会話に左右田は聞こえた。
「なあ、妊娠したんだけどどうすればいいと思う?」
かちゃりかちゃりとスプーンと食器が重なる音がする。食堂には日向と左右田以外人が大勢いて喧騒に声が聞きずらいくらいなのにやけにその金属音が耳についた。
………は? 妊娠した?」
脳が処理を放棄したのだろう。馬鹿みたいに左右田の唇からは、反芻した言葉が零れただけだ。思わず目をやった腹は薄い。そのせい余計現実味がなく、左右田は唖然とするばかりであった。
「ああ、そうだ。相手はまあ一人しかいないから分かってる」
当然、相手は身に覚えが全く無い左右田ではないのでわかっているなら相談する相手を間違えている。本人とよくよく話し合ってほしい。
その忠告は伝える前に日向の次いだ言葉で霧散した。
「狛枝なんだけど」
「は!?狛枝!?」
左右田の中では狛枝と日向のこの二人、喧嘩している姿しか記憶にない。よく飽きずに繰り返しているものだと感心するほどそれは頻繁に勃発する。
「いつの間に付き合ってたんだよ!おめーら!」
そう言って日向が微妙な顔をしていることに気がついた。食事の手はすでに止まっている。
……まだ付き合ってるのか?」
そんなの左右田が聞きたい。