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桜崎
2020-03-16 17:39:23
1308文字
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乱雑な思考論【未完】
狛日♀ 未来機関パロ
乱雑な思考論
その場で口にしたことは日向にとってさほど重要視していない発言であった。
告白された。が断りを入れただけの話だ。ただ何の理由もなく付き合えないと言ったところで引き下がらないような雰囲気を感じたので嘘を吐いたのである。恋人がいる、だなんて真っ赤な嘘を。そこで話が終われば良かったのにどんな人ですかだなんて聞かれてしまった故に日向は懊悩する羽目になったのである。
もちろん恋人なんていない彼女は苦渋の決断の上、片想いしている好きな男をその唇から語らなければならなかった。半端な言い方は信憑性が損なわれ、そこから襤褸が出る。それだけは避けたかった。
一度、余計な罪悪感に苛まれて曖昧に返事をした結果、ストーカーに悩まされて仲間にひどく迷惑をかけたのだ。
周りからもそのお人好しさを忠告されて以来、日向は学習した。その気が一抹も無いのあればはっきりと断らなければならない。
決して恋人でも何でもない相手をつらつらと並べたてるのはただただ羞恥でしかなかったが染まった頰にたどたどしさが顕著であったその様に本気を感じてかようやく諦めて貰えたようで安堵したものである。
しかし、何故か次の日、仲間内で噂が蔓延していた。出勤して開口一番に左右田に裏切ったなチクショウだなんて涙目で言われ、訳のわからぬ日向が問い詰めた所、その噂が発覚したのである。
背筋を冷や汗が伝った。恋人がいるなんて噂、別にさして問題ではない。
肝が冷えたのはその中身である。日向が断りを入れた時、口にした言葉までも皆、知っていた。
普段は腹立たしいし、殴りたくもなるけどたまにいいとこもあるし、蔑んだ冷たい目がたまに優しく笑うとことか好きなんだ。
わかる人間にはわかる。
狛枝そのものであった。日向は気が気ではなかった。周りの仲間に筒抜けなのはまだいい。が狛枝本人に知られるのは耐えがたい。
仮想世界から目覚めてからすぐの頃の険悪さに比べて随分、改善され会話は成り立つが関係が良好であるとは言い難い。
ひっそり死んでいく恋だった。別に叶わなくてもいい。けれど否定されるのは厭だった。このままでいられるだけでいい。停滞し続けられるのが日向にとって幸福だった。
「ねえ」
心臓が跳ねた。間違えるはずのない声が背後から聞こえて日向はぎこちなく振り返る。
「な、んだ、狛枝」
「
……
キミ、恋人なんていたの? キミに?」
キミなんかに、と如実に示した胡乱な瞳が過ぎていくのは、普段であれば腹立たしいことこの上ないが日向は今回に限り、ひどく安堵した。どうやら狛枝はそれが自身を示しているだなんて一抹も思わなかったようだった。
「あは、騙されてるんじゃない? キミ、馬鹿みたいにお人好しだからすぐ他人に同調して結婚詐欺とかに引っかかりそうだし」
「
本当、どこがいいのだろうか。
「あー顔、とか?」
書庫の整理を苗木から頼まれた日向は、独り閑散とした部屋で黙々と作業していた。苗木も今、手持ちの仕事を終えれば手伝いにくると言っていたが、たった二人での整頓、片付くのは果たしていつになるのか、途方もないほど乱雑に散らかっている。
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