桜崎
2018-04-28 00:59:01
719文字
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狛枝誕生日2018

ほんと短い。

「なあ、狛枝、誕生日何が欲しい?」
日付が変わる、一時間前。そう口にすれば目前の男は不思議そうに瞳を瞬かせる。
「キミがボクに直接訊いてくるなんて珍しいね」
「そろそろ何がいいのか分からなくなってきたんだよ。毎年のことだしな」
狛枝との付き合いはそれなりでありさすがに日向も選択の余地が狭まってきたのである。毎年渡す誕生日プレゼントは日向の記憶上、狛枝は喜んでいた気もするが次を外さないとは限らない。せっかくの一年に一度のことなのだから嬉しいの一言が欲しい。結論として日向は本人に問うべきだと判断を下した。
「特に欲しいものないし別にいいよ。あは、ボクなんかのためにない頭を使わせて悪かったね」
「おい、嫌味か? 一言多いぞ。大体、お前だってそう言っても私にくれるだろ」
「じゃあ、あれとかどうかな。プレゼントとは私ってやつ」
冗談じみた口調であった。故に日向もつられたのである。
「そんなの今更だろ、私は全部お前のモノで……
眼前の頬が染まっていくのをやけにゆっくりと感じる。今、自分は何を言った。身も心もとっくに狛枝の手の中に渡してしまったのだからただの事実ではある。だが羞恥が当然日向を焼く。心拍の上昇は、同時に顔面の色すら染め上げた。すでに飛び出た言葉を戻せるはずもなく、否を唱えるのはまるで与えたことまでも悔いているようで厭だ。
結果、日向は語を噤むしかない。
「日向さんはボクのモノ」
近づく唇がかたどった。ひどく嬉しそうに。端正な顔を崩してまでも惚けたその表情にどうしようもなく囚われた。その瞬間に日向の中で拒むという選択肢は霧散する。
今年のプレゼントは当日に渡せないだろう。溶けていく思考でそれだけは分かった。