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桜崎
2016-03-18 22:00:02
792文字
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柄にもないことをいってしまった。
お題?のセリフみたいな。ちょっと違うかった気もしますが短い感じで。狛日♀
「好きだよ、日向さん」
不意に落とした語は空虚なものだった。ちょっとした戯れのつもりで、本気で口にしたわけではない。何時も何時も嫌味と侮蔑をぶつけられている相手からのそれにどんな表情をするだろうかと膨らんだ好奇心の結果だ。
己が原因で友人というには険悪過ぎる仲だと自覚している狛枝は、気味悪がられるか、馬鹿な冗談を言うなと怒りを向けられるのではないかと想定づけている。
愉悦を隠しながらも、表面上は平静を装って隣の反応を伺おうと、下に視線を向けて、息を詰めた。想像に大きく反して真っ赤になった頬と呆気に取られたよう緩く開いた唇。嗚呼、これではまるで。
「
……
わ、わたしもすきだぞ」
想像が現実のものになるまで一瞬だった。見つめられながら辛うじて聞こえる声で吐き出される恋情に動いた心音を気のせいだと必死で言い聞かせる。きっと普段とは違う様に動揺しただけだ。面を染めてはにかむように笑う日向を可愛いなんて思ってない。
だって、日向は平凡で狛枝の愛する対象として相応しい様な才能、希望を持っていないのだ。
早く嘘だと言わなければならない。
そして、日向を何時もみたいに嘲笑して、騙された愚かさを突きつけるだけだ。
なのにどうして、唇が思うように動かないのだろうか。
「
……
じゃ、じゃあな」
思考に囚われている間に、日向の部屋の前まで来てしまったらしい。
未だにほんのりと色づく面で口にした別れで我に返った狛枝は、漫然としたまま曖昧に頷く。開かれた扉の前でしかし、日向はふと立ち止まった。
振り返って狛枝と名を呼ばれた。声に引き寄せられるまま、目線を下した瞬間、唇を柔らかいものが掠める。
「
……
また、な」
それを口づけだと認識した時には日向はすでに扉の向こうに消えていた。脈打つ心臓が煩い。
広がる苛立ちが何なのか知っている。抗えない熱に浮かされながら、狛枝はその場に立ち尽くした。
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