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桜崎
2016-02-12 23:16:13
836文字
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帰路
こまひかひこまかなぞ
「できたよ、日向くん!」
食べていた途中の肉まんから唇を離して声に振り返れば、首もとで器用に形作られたマフラーがあった。
「何やってるんだよ、お前
……
」
「あは、綺麗にりぼんになってるでしょ?かわいいよ日向くん」
「あのな、男がかわいいなんて言われても嬉しくないからな
……
」
嘆息混じりにこぼしつつ前方に歩みを咀嚼と共に再開する。そこへ阻むよう現れる顔は腹立たしいほど端正だ。
「日向くん、一口ちょうだい」
「さっき買うか聞いたらいらないって言ってたくせに」
「人のものは欲しくなるっていうでしょ?」
了承を返す前に手ごと持っていかれる。そのまま半分ほどが狛枝の咥内に消えた。一口にしては大きすぎる減りに額を指で弾く。
「食い過ぎだ!」
「いたっ、120円でそんなに怒らないでよ、心が狭いよ、日向くん」
「うるさい!」
最後の一口になってしまった肉まんを放り込んで苛立ちをぶつけるように包みをポケットに押し入れる。
「あ、日向くん、ついてるよ」
「え、何処?」
「ここ」
指先が口端を掠め、欠片を拾う。薄い唇に吸い込まれていく指。なんとなく目が離せずにいれば、腕を抱き込まれた。体重をかけて擦りよるように肩へ頭が載のる。
「おい、なんだよ、重いぞ、狛枝
……
歩きにくいし」
「ちょっとだけ、ちょっとだけ」
機嫌よく返答する狛枝にふと違和感を覚えた。
「
……
なんかお前、今日異様に近くないか?」
そもそも、狛枝は人の口がついたものを好まないし、距離は近くともあんな風に触れない。
目線を向ければ、無機質な微笑が在る。
「だってもう君と一緒に帰れなくなるかも知れないでしょ?」
眉を潜めて納得した。見ていたのだろう、狛枝は。
「
……
断った」
瞼を瞬かせて、驚く様が少し可笑しい。
「あは。馬鹿じゃないの?せっかく彼女、出来るかもしれなかったのに。君みたいなのに告白する相手なんてもういかいかもしれないよ?」
そう言いながらも喜色に緩んでいる口元に、日向はそっと頭を撫でた。
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