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白殊皎(しらよし こう)
2025-11-28 20:00:00
2921文字
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FGO【歳勇/土近】
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ぬくもりはこのてのなかに
FGO【歳勇/土近(としいさ/ひじこん)】
この作品はぐだ鯖WEBオンリー『ボイラー室横より愛をこめてW 』に連動した(白殊が勝手に考えた)【白殊に歳勇小説リクエストを投げつけよう】企画にてリクエストいただいたものになります。
◆リクエスト内容
「深夜のカルデアキッチンで新選組霊衣時の土方さんと、第二再臨の近藤さんが夜食を作って食べる土近」
メニューは白殊が好きなものにさせていただきました。
……土方さん、やっぱり量多すぎません?
え? 近藤さんは食べるから平気?
そうですか……。
「歳、私と一緒に悪いことをしないかい?」
悪戯っぽく微笑んだ近藤は口元に指を一本、ナイショだ、というように当て片目をつぶった。
その日は二人で将棋をさしており、随分な時間まで起きていた末の話だ。
着流しの近藤のその艶のある仕草に、土方はドキッとする。
「悪いこと?」
「そう、悪いこと」
さも楽しそうに唇が触れそうな位置にまで顔を近づけてくる。
つい、そのまま口吸いをしようとしたらさっと手で口を塞がれ、阻止された。
「ふふ、そっちじゃないよ」
そっちなら、自分たちは恋人同士だし悪いことでもなんでもないだろう? と囁かれる。
そりゃそうか、と納得をしてみる。
「で、何をご所望だ?」
「うん、なにぶん頭を使ったからね。小腹が空いてないかい?」
「そう言われりゃ確かにそうかもしれん」
土方の同意に、近藤はにっこり微笑んだ。
「エミヤ殿には申し訳ないが、すこし厨房の素材を拝借しよう」
そうして二人は寝静まったストームボーダー内を食堂に向かった。
厨房には誰の気配もなかった。
流石の守護者たちも引き上げているようだ。
「さて、何がいいかな」
冷蔵庫を覗きながら近藤が言う。
「その前にだ、近藤さん」
土方が近藤の肩を引き、背後に立つ。
「なんだい?」
「そのままじゃ髪が邪魔だろう。まとめてやるよ」
そう言ってその浅葱混じりの黒髪を手櫛で髪を梳き、前髪も後ろに引いて器用に編み込むと手にした紐で結んだ。
「あぁ、ありがとう。姿を変えればよかったかな」
「どれでも一緒だろう」
土方はふ、と軽く笑ってそう言えば自分も髪が長い状態だったと気付く。
「歳、待った。私にやらせておくれ」
自分の方は姿を変えようとした土方を、近藤は押しとどめた。
「別にいいんだが」
「や ら せ て お く れ」
ゆっくり一音一音区切るように、どこか甘えるように言って、土方を手近な椅子に座らせた。
「わかったよ」
近藤はその癖の強い髪を愛おしむように手で梳き、結い上げるのではなくひとまとめにして紐で縛り、後ろに垂らした。
土方のように器用に編み込んだりできない自分の不器用さをちょっと悔やんだが、自分は自分なのだから、しかたないか、と思ってみる。
「いいよ、歳」
「ありがとさん」
土方は立ち上がるついでに近藤の襟元を締め、羽織を取り上げる。
「手際がいいなぁ、歳は」
「あんた限定だよ」
感心したように言えば、苦笑と共にそう返ってきた。
「じゃあ、何にしようか」
「あぁ、髪をやってもらっている間に思いついたんだが
……
」
土方は機材がしまわれている棚を覗き、結構大きめの土鍋を取り出す。
「鍋かい? いいね」
近藤はぱっと表情を明るくして頷いた。
続いて食材庫から小さめの白菜一株と豚バラ肉、とうふを取り出した。
「一株使うのかい?」
「白菜なら軽いし、あんたそれくらい食うだろう。変に残しておいてもあっちも困るだろうしな」
「そりゃあ
……
ね」
近藤はちょっと恥ずかしそうに目だけで脇を向き、頬を僅かに染めた。
「で、何をすればいいんだい? おまえばっかりにさせるわけにはいかないからね」
さっと切り替えて土方の手元を覗き込む。
「白菜を洗って、一枚ずつ剥がしてくれ」
まな板を取り出し、丁寧に洗ってから包丁と共に調理台に置く。
「剥がしたよ」
「んじゃ、これを、こうして
……
」
大きめの一枚をベースに、豚肉を重ね、塩こしょう、また白菜を重ね、と作っていく。
「同じように白菜と肉のあるだけ作ってくれ」
「わかった」
出来上がった白菜で肉を挟んだものは結構な量になったが、土方は意に関してないようだ。
「それから?」
「あぁ、こいつをこれくらいの幅で切ってくれるか」
重ねた断面が出るように、四~五センチの幅になるように切ってみせた。
「どんなものになるか、楽しみだね」
ざくざくと小気味よい音を立てて刻む近藤をにこにこと見つめながら土方は次の準備にかかる。
「あとは
……
」
土鍋に適量の水と顆粒の出汁の素を入れてよく混ぜると、近藤が切ってくれた白菜の豚肉重ねを丁寧に敷き詰めていった。
「おぉ、綺麗だね」
断面が上を向き、白菜の緑と白、肉の桃色が調和したその様子に、近藤は感嘆の声を上げた。
「まぁな。本当は出汁をちゃんと取るのがいいんだが。まぁ夜中だ、手抜きでもいいだろう」
近藤の嬉しそうな様子に、まんざらでもない様子をみせ、鍋に蓋をし火にかける。
くつくつと柔らかい音を立てて、白菜と肉に火が通ると、最後に中心を箸で拡げ、そこにとうふを落とし込んだ。
土方と近藤の夜食は白菜と豚バラのミルフィーユ鍋、とうふ入りだ。
「さ、これでいい」
鍋をカウンターから一番近いテーブルに運び、取り鉢を用意する。
「うん、いい匂いだ」
「そのままでもいいし、醤油でもポン酢でもいけるぜ」
近藤の鉢にまずは適量、あとはお好みで、と盛り分けてやる。
「ありがとう、歳。では、いただきます」
それを受け取って、自分の前に置き、律儀にきちんと手を合わせる。
自分も適量器によそい、近藤に習って手を合わせ、近藤の反応を見守る。
「うん、これはいける。白菜の優しい甘みと肉の脂がなんともいえないね」
「ならよかった」
近藤は土方の安堵の声を聞いているか聞いていないかで最初の分をペロリと平らげ、次を器に盛った。
「──てな事が夜中、ここであったんスよ」
翌日の朝、賑わう食堂で新選組の数名がテーブルを囲みながら話す中、原田左之助が一部始終を語ってみせた。
「夜中に二人で白菜鍋か、色気より食い気だなぁ。局長も」
まぁ、その方が平和でいいか、と永倉新八が笑ってみせる。
「でも原田さん、夜中にそんな光景見たんだったら、お腹空いて食堂に行ったんじゃないですか?」
「そうっス」
「じゃあお鍋分けてもらえばよかったんじゃ? 大量だったんでしょ?」
沖田総司のあっけらかんとした言葉に原田は目を伏せた。
「
……
死なない自信はあるんスけど、さすがに邪魔できないっスよ」
馬に蹴られたくもないし、だから腹減ってたけど我慢しました。
原田はそう言って朝から山盛りのカレーライスをかき込んだ。
「おや、楽しそうだね。私たちも混ぜてもらえるかな?」
そこに、ごはん大盛りの定食をトレーに乗せた着流しの近藤と、いつもの如く沢庵山盛りの丼飯を持った土方が顔を見せた。
「あ、おはようございます、近藤さんに土方さん。どうぞどうぞ」
全員、さっきまで聞いていたことは忘れた顔をして席に隙間を作る。
「すまないね」
昨夜、というか今日の夜明け前、大鍋いっぱいの白菜鍋を食べたとは思えない近藤の食欲に、総員『うわぁ』と変な声が出そうになったが、黙っていた。
なんとなく朝からすごい、といわれているのを雰囲気で察してか、近藤はふふ、と土方に微笑んでみせた。
「近藤さん?」
「楽しかったね、またやろう」
「考えとく」
土方もフッと笑うと、パリっと小気味よい音を立てて沢庵を囓るのだった。
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