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矢野【矢野雷斗】
2025-11-28 00:47:03
7543文字
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らゅ家短編小説
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マジカルパン【蜘蛛音マミ】
横浜中華街付近にある【クモノスベーカリー】で時々お手伝いをしている男子高校生。
日曜日にしか並ばない人気のマジカルパンの中身は…
「できたてほやほや!マジカルパン出来たてだよ〜!」
よく通っている近所のパン屋さんがある。
年配の男女2人と学校が休みの日に手伝いをしている男の子の3人で店を開いているみたいだけど
他のパン屋さんと違うところは、その学校が休みの日にだけ出てくる男の子の作る変わったパンが売ってるとこ。
私はまだマジカルパンと呼ばれているパンは食べたことないけど、そのパンを買っていく人達は全員レジで会計をしている時に「病みつきになる」と話している。
お客さんから大好評なのかなと思い、そのパンのことが気になって日曜日の学校休みの日にパン屋を覗いてみると店頭にはマジカルパンが置かれていた。
パン屋さんにはアレルギーがある人達のために材料で何が使われているか書いてある。
これは飲食物を扱うお店なら当たり前
だけど、マジカルパンには何が使われてるか見てみても、ごくごく普通のパンの材料
…
?
どうして、このパンはそこまで人気になっているのか謎に思っていると
…
店番をしていた男の子に話しかけられた。
学校は同じだから名前だけは知ってるけど、直接話すことは別クラスだからない。
「今日はどんなパンをお探しで?」
リナ「いつも買ってるパンと
…
少し変わったパンを探してて」
「へぇ
…
今日はその気分なんだね」
男の子はトレーとトングを手に取って私がいつも買っているクリームパンやチョココロネと順番に取っていく
…
偶然かと思ったけど、よく店に来る人の事は覚えてるのかな?
常連さんなら「いつもの!」で伝わる店もありそうだし、ここのお店もそういう感じなのかも。
大きなスーパーと違ってお客さんも見やすいお店だもんね
…
!
そんな事を考えながら男の子がパンを取っているところを見ていると「ちょっと待っててくださいね」とだけ言ってレジ前にパンの乗ったトレーを置いてどこかに行ってしまった。
今日はお客さんも午前中だから少なく感じるし、店内にはゆっくり選んでる年配の女性や小さな子供だけ
…
言われた通りにその場で待っていると、少ししたら1つだけ黒い袋を持って出てきた。
「あ、自己紹介遅れましたよね。
俺、蜘蛛音マミです
…
ほら、青葉蘭国高校!同じ学年ですよね!
た、たまに見かけて
…
」
リナ「もちろん、私も学校でお見かけするので知ってますよ!」
マミ「アッ
…
え、へ
…
そ、そうだったんですか
…
!
に、認知されてたなんて嬉しいな
…
」
リナ「
…………
あの、この袋は?」
マミ「その袋はパンです!
パンと言ってもお店に並んでるパンじゃなくて非売品の、ですよ。
非売品なので無料で渡してます」
リナ「え!そんな
…
いただいてもいいんですか
…
?」
マミ「
……
常連さんには感謝の気持ちでお渡ししてますから
……
」
持っていたエコバックに無理やり黒い袋を詰められた後、他のパンの会計を済ませてお店を出た。
最後に「イートインスペースがありますが
…
マジカルパンと今お渡ししたパン、食べていかれませんか?直接感想が聞きたいので」と言われたけど同居人達には何も伝えないまま来ちゃったし感想はまた今度来た時に伝えます!とだけ言って断っておいた。
マミくんはニコニコしながら店の外まで見送りしてくれて姿が見えなくなるまで手を振ってくれていた
…
常連で同じ学校だから親しくしてくれたのかなと考えたけど、他のお客さんがいる時にいいのかな
…
?
でも、気になってたマジカルパンも手に入ったし帰ったら同居人のみんなでパン食べよう!
それにしても
…
貰ったパンだけ、すごい甘い匂いがするような
…
他はいつも買うパンだし、いつものパンはこんな甘い匂いしないのに
…
リナ「ただいま〜!」
リオ「ちょっと姉さん!無言でどこ歩いてたの!探したんだけど!」
リナ「え〜っと
…
近所にあるクモノスベーカリーに
…
」
シン「あのパン屋行ってたんだね。
僕もたまに行ってたよ」
リナ「それで
…
今日、店番してたマミくんにこのパンを貰って」
ヨウ「あれ
…
あそこ、バイトなんていたかな」
リナ「学校が休みの時だけご両親のお手伝いか何かでお店にいるよ!
みんなも見かけたことはあると思うけど
…
」
シン「僕が日曜に行った時はいなかったけど」
リナ「あ、あれ
…
?その日はたまたまパン屋さんもお休みだったとか
…
?」
リオ「どちらにせよ一人で出歩かないでよ
…
何かあったらどうするの
…
」
リナ「心配ご無用!近所だから大丈夫だよ、朝だし!」
シン「
…………………………
」
早速、買ってきたパンをテーブルに並べてみる。
今日は沢山買っちゃったなぁ
…
と思いながら同居人のみんなに好きなパンを選んでもらった!
シンくんがマジカルパンを不思議そうに見つめてたから味が気になるのか聞いてみたら「こんなパン売ってるんだね。初めて見たよ」と言われて少し驚いた。
やっぱり、あのパンってマミくんがいる時にしか売られてないのかな
…
シンくんも頻繁にパン屋さんに行くみたいだけど、一度も見かけてないのも不思議だよね。
もしかして、私の運が良かったとか
……
?!
ヨウ「エビマヨパンなんてあるんだね」
リナ「ヨウが好きかも〜と思って追加で買ってきたんだよ!」
シン「このアメリカンドッグは
…
」
リナ「シンくんこういうの好きだったな〜って思って!」
ケイ「コイツらが好きそうなのはあるのになんで俺のはないんだよ」
リナ「
………………
」
ケイ「真顔でこっち見るなよ!
……
俺はこれにする」
リオ「この中でマジカルパン選ぶとか強欲だろ」
ケイ「はぁ?好きなの選んでいいって言ってただろ!」
ケイは数あるパンの中からマジカルパンだけを手に取って一口かぶりついた。
最後の一口だけでも味見に
…
と思っていた時にパンを食べたケイの様子が少し変わるのを感じた。
いつも険しい顔をしてたり不機嫌な態度を取ってるケイが穏やかな表情になっていて、更に同居人達への当たりも強いのに何故か優しい口調でリオに話しかけている。
何が起きたのか分からなかったけど、それくらいパンが美味しいって事だよね?!と思ってケイが横を向いてる隙にマジカルパンをちぎって食べようとする
……
と、シンくんが私の腕を掴んできた!
シ、シンくんも
……
食べたいのかな
……
?
シン「それ、食べない方がいいかも」
リナ「ど、どうして
……
?」
シン「ヤバい成分入ってるんじゃないかなって思ってさ」
リナ「え
……
?!」
リオ「ヴェッ!なんかコイツ抱きついてきたんだけど!」
リナ「え?!え?!え?!」
シン「原因は分からないけど、そのパンはケイに全部あげた方がいいね」
リナ「そういえば、イートインスペースがあるからマジカルパンと貰ったパンだけでも食べていかないか聞かれたけど
…
」
シン「ねえ、そいつって今も店にいるんだよね?」
リナ「たぶん
…
さっきはいたから休憩入ってなければいるかな
…
」
ケイとケイに抱きつかれてるリオを無視してシンくんは行こうとだけ言って腕を掴んできた。
ヨウ達も気になったのかさっき買ったパンの袋を持って一緒にシェアハウスを出る
…
他のパンは大丈夫だったみたいだしマジカルパンだけ何か特殊な成分が
……
?
いや、私は食べてないから何も言えないけど
…
シンくんは怒ってる様子だけどパンの味は美味しかったんだよね
…
?
不安になりながら早歩きしているとクモノスベーカリーが見えてきた!
さっきまでは人が少なかったけど、だいぶ賑わってるように見える
…
でも、マジカルパンを食べてるお客さんは普通の顔をしてるし
…
さっきのケイはやっぱり美味しくてあの状態になってたのかな
…
?
シン「
……
あのマジカルパン、色は普通だね」
リナ「言われてみればそうかも?」
ヨウ「マジカルパンって抹茶味じゃないんだね。見た感じはクリームパンって感じに見えるけど」
シン「でも、形は同じだから同じパンだと思うよ」
リナ「ハート型のパンはマジカルパンしかないもんね
…
」
お客さんで賑わってる中、店内に入っていくとレジにはマミくんのお母さんと思われる人が立っていてお父さんの方はパンを焼いている様子だった。
でも、私に気づいたのかマミくんが笑顔で厨房から出てくるのが見えたけど私の横にいたシンくんを見た瞬間に真顔になる
…
マミくんは「何か御用が」とシンくんに不満そうに話しかけてたけど
店の中は人がいるから外で話そうとシンくんが言い、そのままマミくんを強引に連れて店の裏へと回った。
マミ「それで、何か御用でしょうか。
それとも、パンが美味しかったから追加で買いに来たんですか」
リナ「マミくん
…
シンくんは知ってる
…
?」
マミ「知ってますよ
…
生徒会長さんでしたよね
…
」
シン「それじゃあ、僕がこのパン屋に通ってるのも知ってると」
マミ「それは初耳ですね。
俺、常連さんしか気にしないんですよ」
リナ「シンくんも結構来てるみたいだけど
…
」
マミ「たぶん
…
俺がいない時に来られてる方でしょう
それより
……
犬音さん、あのパン食べてくれました?」
ヨウ「そのパンについてなんだけど」
シンくんとマミくんの話を聞いてる間にヨウはお客さんに話しかけて常連さんだけを連れてきてくれてたようで、ヨウはマジカルパンと私が貰っていた非売品のパンについての質問を始めた。
常連さんは困惑した顔でヨウとマミくんの会話を聞いている。
ヨウ「日曜に来る常連の方に聞いたらマジカルパンはいつもこのパンだって言ってたけど、リナに渡したのは緑色だったよね」
マミ「
……
それは偶然です」
ヨウ「それに、リナに渡したこのパン。非売品で常連の方に渡してるって言ってたよね?
でも、常連さんは一度も受け取ったことがないって話してるよ」
シン「で
…
なんだよ。お前は何をしたかったんだよ!」
確認が取れたからかお客さんはパンを買うためにお店に戻っていった
パンを作ってるのはマミくんの両親みたいでマミくんが関わるのはマジカルパンだけ
…
そのマジカルパンもお店に並んでいるのは普通の美味しいパンみたいだけど、私が買った物だけ違ったみたいで
…
私もマミくんが何を考えてるか分からないけど沈黙の後、マミくんは理由を説明するために口を開いた。
マミ「犬音さんに渡したマジカルパンは特別なものです。
誰にも取られないように後ろの方に隠していて、そこから取ったものなんですよ」
シン「一緒に住んでるやつが食べたら変な状態になったけど?」
マミ「それは
……
」
ヨウ「この非売品のパンってやつは、一体なんなのかな」
マミ「そのパンも俺が今日作った一つだけしかないパンです
犬音さんに渡せるように普段から作る練習をしてました」
シン「今日来るって分かってないと渡せないよね。どっちも」
マミ「
…
家が近所なの知っていたので、尾行を」
シン「うわ!コイツ言いやがった!犯罪だ!犯罪!」
マミ「来なくても毎回作ってますよ。
ただ、今日は来そうだと思って店内に特殊なマジカルパンを仕込んだんです。偶然ですよ」
ヨウ「いや、偶然ではないでしょ」
マミくんは店の壁を片手で強く叩いてシンくんとヨウを睨むように見ていた。
学校でも穏やかそうな人だったのに2人に対しての強い殺気を感じるのは何故だろう
…
マミくんは隠すのを諦めたのか正直に話をしてくれた。
けど、それは普通の人では持たないような感情ばかりでシンくんとヨウは険しい顔をしながら聞いてたけど私はその場から逃げたくなるような不安感に襲われる。
マミ「青葉蘭国に入学した時からずっと犬音さん
…
いや、リナの事が好きで目で追ってた。
登下校中も授業中もずっとその事ばかりを考えていて自分を認知をしてほしかったからリナの目の前を歩いたり、視界に入るようにはしていたけど
…
話しかけようとしてもお前らが邪魔で!」
ヨウ「あぁ、俺なんだね」
マミ「でも、両親が営業してるこのパン屋にリナが通ってることを知ってからは俺のことを覚えてもらうためにリナが来る時だけ店に顔を出すようにしてた。
パン作りなんて朝早いし苦手だからそれまでは店の手伝いなんてしなかったけど
…
」
シン「ヤバい奴かと思ったけど、また普通のストーカー」
マミ「でも、毎回顔を出してたら疑われると思って学校が休みの日だけに限定してた。
パン屋から出ていくところを尾行した時に家を特定してそこで何度か会話の盗み聞きだってしたよ。
さっきだって、ケイってやつがパン食べたの覗きに行ってたし」
ヨウ「まとめると好きだから行動してましたってことだね」
マミ「こんな事、好きなら当たり前にすることでしょ
…
」
ヨウ「うん。とりあえず、死んでもらおうかな」
マミ「は?」
ヨウは黒い袋から取り出した謎のパンをマミくんの口に無理やり詰め込んだ
……
?!
ヨウの力に耐えきれなかったのか詰め込んだパンを半分だけ飲み飲んだマミくんは白目を剥きながら半分齧られたパンを地面に落とした。
そういえば、この貰ったパンを食べたらどうなるかまだ聞いてなかったけど
…
ヨウ「本当に死んだかな」
マミ「
………………
」
リナ「え、ちょ
……
ちょっと、マミくん!大丈夫?!」
シン「シバくくらいならいいけど、さすがに店の裏でやりすぎじゃない?
加減って知らないの、お前」
ヨウ「このくらいの罰が下って当然だよ。
犯罪行為してたわけだし」
硬直していたマミくんだったけど電源が入ったロボットのように動き始めた
…
と思いきや、心配して近づいた私に抱きついてきた!
私は悲鳴を上げながら抱きついてきたマミくんと一緒に倒れる。
悲鳴を聞いて何事かと思って様子を見に来たお客さん達が慌て始めた!
お客さん達を席に戻すように必死になって声をかけるシンくんと、抱きついたマミくんを引き剥がそうとするヨウだったけど
何故か力が強すぎて剥せる気配が無い!
あ、圧迫骨折する
……
!
好きと連呼した後に放送禁止用語を連呼するマミくんの目は正常には思えない!
ヨウ「ちょっと
…
!これ何の効果なわけ?!
マジカルパンと変わらないんじゃないかな?!」
リナ「そ、それより
…
剥がさないと
…
圧迫骨折
…
す
……
」
シン「って、おい!お前!
堂々とスカートの中に手入れるなよ!」
リナ「( ꒪⌓꒪)」
ヨウ「
……
アイスピック持ってきてるんだけど、刺してもいいよね」
シン「そんなことしたらこっちが色々と疑われるからやめろ!」
ヨウ「お前、もしかしてこんな場所でいかがわしいことしようとしてる?
やっぱり痛い目見ないと止まらないよね」
シン「アイスピックをしまえ!話を聞けよ!
というか
…
パンで殺すつもりが逆効果になってるじゃないかよ!」
お客さんを店や席に戻した後、マミくんに一瞬だけ隙ができたと同時にシンくんがマミくんを思いっきり蹴り上げて剥がすことに成功した後にマミくんが落ち着くまでヨウがマミくんの背中の上に座って押さえていた。
危うく大事な何かを失うところだった
…
けど、何もされなくて良かった
…
ヨウとシンくんも怪我してないみたいだし。
しばらくして落ち着いた後のマミくんに話を詳しく聞いてみると、マジカルパンは恋愛的に相手を好きになる成分が込められてるという嘘みたいな事を言われ
非売品と言われて渡されたパンはマジカルパンに入ってる成分の更に上の
…
なんというか、ここで言葉にするのはダメな気がするけど
…
シン「万年発情期の奴に押さえ込まれてるのも可哀想だな」
ヨウ「誰が、何だって」
シン「そ、それよりこんな危険なパンを食べさせようとしてたわけでしょ
…
?
嘘みたいな話だけど目の前で起きたことだしな
…
」
ヨウ「まあ、そんなパンみたいな小細工しなくてもリナは俺のこと大好きだけどね」
シン「お前本当にムカつくな、黙れよ」
リナ「でも、目の前にいる人を好きになる成分ならヨウも目の前にいたわけだけど
…
」
マミ「そ、それは
…
視界にはリナ以外いなかったから
…
他は見えてなくて
…
」
ヨウ「あ、生きてたね」
リナ「大丈夫だよ、マミくん
…
ご両親には言わないからね
…
」
シン「まあ、客には見られてたけどね」
あの事件はシェアハウス内
…
いや、学年全体で広まってマミくんはとても居心地悪そうにしてた。
それでも、あんな事があってからも変わらずにパン屋には日曜
…
だけとは言わずに平日も時間がある時は店のお手伝いをしてるみたいだった!
理由を聞いてみると「何もしてないよりはいいし、君が来てくれるなら」と話している。
あ、でも
…
緑髪のギザ歯の男の子が毎回大量にパンを買ってくから会計の時は忙しくて困るって話はしてたかな
…
何にせよお客さんで賑わってるなら安心かも!
パンは美味しいから私もシンくんも変わらずにクモノスベーカリーにはお世話になってるよ!
マミくんのご両親のパンはシェアハウスのみんなの口にも合うみたいだし!
そして、お客さんはあの事件の時
…
私とマミくんがただ抱きしめ合ってたように見えただけと話してたようでマミくんの評判が悪くなるようなことは常連さんの間でもあまり無かったみたいだった。
あの異常な成分が無ければ普通の子だとは思ってるから、私も距離は置かずに前と同じように話してるけどシェアハウスの人達は不満に感じてるみたい
…
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