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メメント森井もりさわ
2024-02-11 23:57:16
1292文字
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無題
たぶんリリース√が一番近い世界線です。
どう書いたら良いのか正直分からない話ですが自分のために書きました。
許してください。
『
…
だから、そう。
私たちはもう
…
いつでも、どこにでもいる。
レイヴン、ともに新たな時代を
…
』
強化人間C4-621・レイヴンはCパルス変異波形・エアと共にコーラルリリースのトリガーを引いた。
世界のあり方は変わった。時間も空間も無くなった。人類すべてが「いつでもどこにでもいる」世界では、別れも死も意味を成さなくなった。出会いも誕生も同じく意味を失った。生まれ育み見送られて死んでゆく、そのすべてが最早“無い”世界だった。サム・ドルマヤンが恐れた「人間世界の悲惨」がもたらされた。
しかし、レイヴンはそれを望んでいた。コーラルリリースのトリガーを引いた者の特権(のろい)であろうか。レイヴンだけが「いつでもどこにでもいる」世界を外側から眺める事ができる、唯一の人間になった。レイヴンはその特権を生かし、エアと共に様々なものを経験した。“あの時”とは違う選択を行なった。何度でも会いたい人に会い、何度も殺したい人を殺した。
ある時、レイヴンはエアに尋ねた。
「本当に、いつでも、どこにでも、なんだな?」
エアは不思議がった。何を改めて聞くのだろう、と。しかし、レイヴンはエアの答えは待っていなかった。
レイヴンは次の選択をした。
その男は、ふと背後に人の気配を感じた。研究室には自分以外に誰も残っていないはずだった。男が振り返ると、そこに銃を構えた人間が立っていた。
「お前で、最後だ」
「誰だ?」
研究者の男はそう問いかけたが、相手から答えが返ってくる事はなかった。男はこっそり緊急回線を繋いだが、何も起きなかった。本当に、自分が最後なのだろう。
「ここでお前を、消さなければならない」
レイヴンは銃を構えたまま、ナガイと呼ばれた男に言った。レイヴンは研究所にいる人間を殺し回って、最後にここへ辿り着いた。
ナガイがルビコン調査技研のひとりとしてコーラル技術開発に携るのは、これより後の時間での出来事だった。
レイヴンは最後の選択をしようとしていた。
確かに、俺は何度もウォルターを救った。
コーラルリリースがそれを可能にした。
貴方を企業から守った。
貴方を火の海から助け出した。
貴方が穏やかに老いて死んでいくのを見た。
それでも。
それでも、あの時貴方を失った、その痛みは
……
貴方の言う通りだった。
一度生まれたものは、そう簡単には死なない。
この痛みは、かなしみは、さみしさは。
どうやったら消せる?
俺は、貴方と出会うべきではなかった。
貴方も、俺と出会うべきではなかった。
火が灯る前に消えてしまえば、貴方が俺を必要とする事も無い。
貴方から使命を取り上げるには、きっとこうするしかない。
貴方との別れを無かった事にするためには。
レイヴンはナガイを殺害した。
そして、銃口を自身の側頭部に当て、
レイヴンはトリガーを引いた。
こうして、人類がコーラル技術を開発する事は無くなった。
そのまま平穏な時代が過ぎ、1万5千年かけて人類はゆっくりと滅びた。
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